第二十四話「普通の肩こり」
「…なんで…こんな…ところで…寝て…」
息が上がっておりまともに話すこともままならない。
「あれ?雪お姉ちゃん?」
「…とにかく…今…ここにいると…まずい…」
人気のない開けた場所の当てが外れてしまった。
というか、むしろ絶対に守らなければならない対象が目の前にいる…。
(…これは…朝倉に任せた方が良さそうだ…)
「…おい…つい…た……」
「…この…おにいちゃんを…たぶらかす…いんらんあくまめ…」
…誑かすは100歩譲って無視するとして、淫乱とは聞き捨てならない。
なにせ小4で成長が止まってる幼女体型である。
淫乱に誑かせるなら手本を見せて欲しいものだ。
…とツッコミを入れている場合ではない。
パクチーを起こして、少女が発砲しても当たらないよう抱き込むようにして庇う。
脳がブドウ糖も酸素も欠乏して、それ以上の選択肢を出せない。
出せたとしても、視界は暗くなってきて、地面がぐるぐると回っているような感覚で、完全に限界である。
(…体力勝負で中二病ヤンデレ引きこもりに負けた…)
地味にショックである。
耳鳴りが酷くなりまともに音が聞こえなくなりつつある中、乾いた炸裂音がわずかに聞こえた。
その直後…。
左肩甲骨のやや内側の上のあたりに熱いものがめり込んでくる感触があった。
(…体内で止まると摘出めんどくさそう……でも威力を殺せないでパクチーも被弾するのは絶対にダメだ!)
…
……
………。
痛みが表面だけだ。
おかしい…。
あ、というか、痛いのは元からか?
どうやら威力過剰のトカレフ弾すらめり込んで止めてしまうくらいに、私の肩は凝っているらしい。
確かに『鋼鉄の肩を持つJK』なんてふざけたハンドルネームを使ってたが、事実になってしまった…。
その直後、背後で少女の叫び声が聞こえた。
「放せぇぇ、このぉ!」
「黙れ、銃刀法違反、荷重所持、殺人未遂現行犯!」
朝倉が少女を捕縛したようだ。
…
……
………
緊張の糸が切れた。
ブトウ糖も酸素も足りなさすぎる状況で強引に動かしてた思考がついに停止した。




