ハッピーエンド
「どうして、勝手に婚約しているんだ!」
父が叫び、
「愛し合っているからよ!」
私も叫び、
「お前の羞恥心の基準が不明だ」
ブライアンが突っ込みを入れる日常が帰ってきました。
ですが、ブライアンは私の婚約者です!何も変わっていないわけではありません。
「巫女になるなんて。父は、お前にはもっと自由に生きてほしかったのに」
「自由って、一番欲しいものを制限された自由のどこが自由よ!」
ブライアンにしがみつきながら言い返せば、父が、少しだけ悲しそうな顔をしました。
「大体、どこの貴族の家にお嫁に行っても、普通に家のことに追われて自由なんて、お茶会くらい?私はアルディと会えればいいわ」
神殿と王家の中をつなぐため、神殿に必要以上の権力が集まらないために、私は定期的にアルディと会い、仲良くするという大義名分があります。
ってことは。
愛する旦那様がいて、親しい友人がいて、衣食住に困らない生活が保障されたのですよ。
「なんて素晴らしい日々なの!」
少々巫女としての祈りとか祈りとか祈りとかが増えても全然苦じゃない。っていうか、幸せすぎる!
「父と離れて寂しいと言ってくれ!」
「どこにお嫁に行っても、父とは離れるわよ!ついてくる気なの!?」
父に言い返しながら、相変わらず、どんなに抱きついても抱き返してはくれない腕に巻き付いて、幸せアピールをしました。
今日は、父と母に、挨拶をしにきたのです。
結婚式はまだ先ですが、巫女となる儀式の方が早いのです。
だから、神殿に住むことになって、父がごねているのですが。
母から「幸せにね~」と軽い言葉で見送られて、簡単な荷物を持って、神殿に帰ります。
帰るだなんて。この、男爵家以外に使うことになるだなんて、変な気分だ。
ふふっと、機嫌よく笑いながら、隣にいるブライアンを見上げました。
笑い返すでもなく、見下ろされました。
・・・・・・あれ、嫌な予感。
「どうした、早く乗れ」
「馬車は別がいいです」
「いきなり別居か」
「違います!ブライアンは二人きりになると恥ずかしいから」
「人がいるときにする方が恥ずかしいだろう」
「なんか、人が変わるし。今日はわざとたくさんくっついたから、その報復が待っている気がしています」
「ほお。よく分かっている」
悪人の笑みを浮かべながら伸びてくる手を一所懸命遮りながら、叫びました。
「やっぱり!?嫌です。嫌だったらーーーー!」