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始まりはいつも急展開(中編)(千世の場合)

時は過去へと舞い戻る…………。


 わしと、一人息子の秋人(あきひと)を残し、妻は先立ってしまった。


 お前同様、息子も、いじめや暴力、つらい人生を送りながらも強く生き……やがて家を出て、この寺の噂の届かぬ他府県の大学を卒業し……サラリーマンとなった。


 そしてある年『結婚した』『いずれは、この寺を継ぎたい』などと秋人が、花嫁(千世の母親)(春実(はるみ))を連れて戻って来た……。


 彼女は春実(はるみ)さんといって……美人で働き者で、性格、人付き合いもよく……なにより、オッパイも大きくて心棒たまらん!(あの、おっ爺さん?)


 まさに良妻の手本みたいな女性じゃ……そんな人妻を、下劣な野獣共が、見過ごすわけが無い……ある朝、境内を掃除しているところを、数人の襲わた!


 悲鳴を聞きつけ、わしは境内をさがし……ようやく土蔵に駆けつけたが。

間に合わず、目の前には、性欲の野獣と化した男どもに、衣服を引き散られ、乱暴され……悲鳴すら上げられず、ただ人形のようにされるがまま……泥と汚物まみれた彼女の姿が……。


「お爺さん(千世の父)」

かすかに聞こえた彼女の声に……我を忘れたわしは、体術で瞬殺……。


 そして夜……会社(出張先)から帰宅した秋人が(腹違いの兄)その事を聞くなり「なぜ!」叫び混乱し暴れ狂った。


「落ち着け! たしかに彼女は汚されたもしれないが、生きてる……問題は、我を失っていたとはいえ」

「俺も! 俺も、その場に居たら同じ事をしていた! だから親父が殺人犯になっちゃだめだ!」


 死体にくっきりと残った手形など、証拠を消すためだと、秋人は、野獣の死体を金属バットで叩き潰し……土蔵を血だらけに……その足で神社の裏にある目がくらむ高さの断崖絶壁へ

「これで俺が犯人だ……でも、つかまるのがいやだから、死んでやる……はははは」

 と……抜け殻の妻を残したまま……わしの説得もむなしく、最後は、狂ったように笑いながら、身投げして……死んだ。



(野獣共は……失踪届。行方不明から三か月で、死亡したと推定され……死亡扱い)

 そして数日後……警察や新聞も『一件落着』と落ち着いた頃……。



「わしはなんて事を、秋人よなぜ死んだ! ……そんな事より、そうだ、直系の跡継ぎは」

 と、愚かにもわしは、息子が死んだ事よりも『影に生きる者』の血筋が絶えてしまう不安に、恐怖しては春実と顔を合わすたび物を投げつけたり、やつあたりしていた。


「義父さん泣かないで下さい……跡継ぎでしたら、私ここを継ぎます」

「直系(血筋)でないと……秋人でないと意味がない! このよそ者が!」

「ごめんなさい! 私が嫁がなければ、彼と出会わなければ!」

「そうじゃ全てお前のせいじゃ!」

 わしは感情任せにそこに有った物を彼女に向けて投げつけた!

「ごめんなさい!」


 彼女の額から流れる血よりも……物がぶつかり揺れる乳に

性欲が怒りに勝ったのか、わしを我にかえらせた……(だから、お爺さん)


「うう、すまない……まいど暴力をふるって……すまない、痛くないか」

「大丈夫です」

「過ぎた事とは言え……直系の跡継ぎが……『影に生きる者』の血脈が絶えてしまう、それは断じて、断じて」



「お義父さん……『影に生きる者』がどれほど大切かなど……よそ者の私には分かりません」

「うう」

「ですが跡継ぎ……いえ、この寺を(そんぞくを)心配する気持ちは、分かるつもりです……そこで提案です……もしよければ、私の体をつかって下さい」

「え。今なんと?」

「分かりませんか? 私があなたの子供を産みます」

「良いのか?」

「ええ……ただ野獣共に汚された体ですが……同じ愛する者(秋人)を無くした者同士……ちょっと法的にアウトかもしれませんが……ふふふ」



これはフィクションです

(秋人も、三か月失踪で、死亡扱い……だから離婚届は不要? ……あとは現世と春実の婚姻届けが受理されたら……問題なしというご都合かいしゃくです)



 その言葉を聞くなり、わしは彼女を押し倒して

………………モザイク全開! 見せられないぜ! ………………



 あ~~気持ちえがった……いや

「直系の跡継ぎのため、とはいえ住職のみでありながらなんと外道な事を!」

「安心してください……私は、ずっとここに居ますよ」

と笑みを浮かべ約束してくれた春実。


 だが彼女も人間だ。

 もしある日『気が変わった』と逃げられ……挙句の果て警察に通報などされたら……息子の死すら無意味になるどころか、全てが水の泡(身の破滅)


 また湧き上がる勝手な思い込みが、不安や恐怖に変わり……眠っている彼女を土蔵に鎖で繋ぎ監禁……翌朝。

『自分の言ったことを信用してくれなかった』とがくぜんとする春実

 食事などを運び、顔を合わすたび。

やつれてゆく彼女に……わしは、許さらない罪に土下座し……優しさに感謝した。


 そして千世……お前が生まれた

わしと春実は、その命のひの眩しさに、目を細めてよろこんだ。


「名をつけてくれないか」

「千世……私の様なこんな狭く汚い世界に囚われず……千の世(よ)を生きる……願わくばその全てが幸でありますように」


「良い名を、有難う……して先週言ってた……望みとは」

「……私を殺してください……」

「何をバカな! こんなわしが言えた義理ではないが、命は大切にしろ! 千世にはお前が、母親の愛が必要だ」


「いえ……見て下さい……私はもう身も心も、疲れ、汚れきっています……知らず虐待をし、不幸しかあげられない……こんな女が母などと……だからいっそ今、

ここで私を殺してください……千世には体の弱い母が、生んだと同時に亡くなったと伝えて下さい…………お願いします」


「頼む。頭を上げてくれ…………分かった……最後。千世に乳を飲ませてやってくれないか?」

「……はい」


 春実は千世に乳を吸わせながら……涙を流す

「ごめんね千世……ごめんね……お母さん、一緒に居てあげられなくて……ごめんね……ごめんね」


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