9.邪神開眼初級編1
アブラギッシュのバーコード頭。
怒ると超怖い。
しかしやつの鑑定結果は散々たるものだった。
榊原阿久男。
評価値、1。
同僚の最下級社員Bの吉岡しげみを見た。
黙々と作業を繰り返すブサ面男だ。
俺は魔鑑定を発動させてみた。
評価値 48。
結構高いじゃねぇか。
しかし彼も俺のように底辺の軽作業者なのだ。
どうして??
いや、ちょっとだけ違う。
彼も俺同様にコミュ障のようで会話はほとんどないが、俺が部長にこっぴどく怒られたときは、決まって無言のままおにぎりやパンを分けてくれる。無表情でそっけない態度だが、その行為で俺は何度も辞表を出すのを我慢したことがある。
そういえば、彼の入社は俺より後だが、彼が入ってから、退社する社員が少し減ったような気もする。
俺を恐怖の存底に落とし続けていた鬼の価値はたったの1だった。
俺の鑑定能力は、部長をクズと評価したのだ。
少しだけ清々しい気持ちになりもしたが、しかしながら榊原部長は度須黒製作所の部長なのだ。
それなりに社を支えてきているような気もするし、スキルだってあるような気もする。
ムカつくやつだけど。
まぁ、いっか。クズってわかった以上、怖くなんてねぇ。
こんなクズ上司なんて適当にあしらって、俺は行政書士の道へ……
『イノウエよ。これより最初の試練を与える。邪神開眼初級編とでも命名しようか』
「はい?」
『もしこれを突破できなければ、貴様には暗黒帝王になれる資質ないと判断し、貴様の寿命を最速で終わらせて新しい肉体に転生する』
「お、おい! 何を突然! 勝手に人の人生を終わらせるな」
『では内容を発表する』
「ま、待てよ」
『サカキバラ部長の価値を1000以上に成長させよ。期限は15日以内に』
は?
おい、こら。
こんなクズの価値を上げてどうなるんだよ?
『予は判断した。イノウエの最初の奴隷はサカキバラだ。存在価値1の奴隷など不要だろ。調教して1000以上に引きあがるのだ。わかったな!』
分からねぇよ!!