表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/135

初等部編37


 イザベラは私とレオに向かって宣誓をした後、すぐに何事もなかったかのようにご飯へと視線を移した。


「皆さん何をぼやっとしてますの?早くしませんと折角のご飯というものが冷めてしまいますわよ。

 それにしても、この胡麻はどうするのかしら?それにサーモンの塩焼きなんて初めてですわ。どうやって食べるのが良いのでしょう」

 頬に手を当てて真剣に悩むイザベラの変わり身の速さに私だけではなくレオやカトリーナまで唖然としていた。


「イザベラは昔から驚くほど切り替えが早くてね。本人の中ではさっきの話が完結してるんだ。最初は驚くこともあるだろうけど、そのうち慣れるさ!」

とプリオスが微妙なフォローを入れ、イザベラはイザベラで「慣れてくださいませ」とマイペースなことこの上ない。


「そんなことより、折角だからより美味しく食べたいものだな。やはりジンスに食べ方を聞くべきかな?」

 流石双子と言うべきか、私達の驚きをそんなこと扱いしている。


 レオって王子様なのに何か皆の対応が雑よね。そんなことって言われてるし……。まぁ、その中には私も入るんだけど。


 何とも複雑な表情をしたレオに対してもう一人のマイペース人間……というかステーキが絡むとマイペースになるフランチェスコがステーキを切りながら話しかける。

「このご飯というやつは不思議な食感だが素晴らしくステーキに合うな。ほら、レオナルドも早く食べなよ。一緒にステーキとご飯の相性について語ろう」

 そんな彼のお皿の中のご飯は既にほとんど無くなっており、メイドにお代わりまで要求している。


「フラン…………いつの間に食べ始めてたの?」

「ん?レオナルドがアリア嬢を口説いてた時には既に食べていたが?そんなことより、早く感想を聞かせて欲しいのだが」

「…………分かったよ。カトリーナ嬢の聞くのは後にする。という訳でカトリーナ嬢、食べ終わったらシュタインボックス領について少し聞かせてもらえないかな?」

「え?……えぇ、勿論ですわ、レオナルド様」

 何か言いたげなカトリーナの視線をレオナルドは笑顔でかわし、フランチェスコに催促されるままご飯を口へと運んでいる。


 フランチェスコにまでそんなことって言われているレオナルドって……。仲が良いと微笑ましく見るべきなのか、はたまた王族扱いを受けてないだけなのか。

 カトリーナに視線を向ければ、そっと首を横に振った。

 ……あぁ、うん、そうよね。ここは見て見ぬふりが一番だよね。


 楽しそうに話すイザベラ兄妹とステーキ魔神のフランチェスコ、苦笑いぎみのレオナルド。個性的な彼等を見ながら私もそっとご飯を口に運んだ。

 もっちりとしていて(ほの)かな甘味が口一杯に広がっていく。あぁ、幸せ……。

 サーモンの塩焼きも一口。絶妙な塩加減に脂がのっていて、ご飯との相性も抜群だ。

 モグモグと食べ進め喉の渇きを感じ始めた頃、ジンスが人数分のお茶を持ってやってきた。湯気の立っているお茶を皆にくばっている。


「これは、緑茶かな?」

 レオナルドの言葉に私以外の皆がカップの中を覗きこんだ。

「あら、緑色ですわね」

「いい匂いだわ。何だかホッとする香りね」

「初めて見るけどレオナルドは飲んだことあるのかい?」

「モグモグモグモグ……」


 思い思いのことを言う中でフランチェスコだけはご飯を食べ続けながらカップを見ている。

 やはり最優先はステーキらしい。ぶれない人だなぁ。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 身代わりの速さ ⇒変わり身の速さ 不思議な食間⇒不思議な食感
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ