幼少期:リカルドside4
ノアが3日で出来たというのに、俺は2週間たっても出来ない。
やっと昨日7色にはなった。ただ、半分近くが赤色で全く均一に色を並べられなかった。
「……ノア、お前本当に3日で?」
ここまで出来ないとノアが3日で出来たとか信じたくない。
「なんで僕が嘘つくんだよ。なんの得にもならないだろ」
そりゃそうなんだけど、ここまで才能の差を見せつけられると凹む。魔力は俺の方があるはずなのに。
「2週間でどこまで出来るようになった?」
聞けば自分のプライドがズタズタになると分かっていたのに思わず聞いてしまった。
「5日で部屋の模様替えを魔術でしたら怒られて、その後10日間位は魔術使用禁止だったから……」
「使用禁止って……。模様替えって言っても、家具の移動だろ?そんなに怒られるようなことじゃないと思うんだけど」
「部屋の家具とカーテン、絨毯の色を全部変えた」
「………………え?」
聞き間違いか?
「だーかーらー、家具とカーテン、絨毯の色を全部変えたんだよ」
聞かなきゃ良かった。俺が才能がないのか、こいつが特別なのか。
明らかにテンションの下がった俺を見て、面倒くさそうな顔をした後、手招きで近くまで呼ばれる。
「こういうのは感覚だから。一回やってみて」
言われた通りにやれば、6色しかない上に紫と青の部分がやけに狭い。
そんな俺の立方体の上にノアは手を乗せ
「魔力の流れを感じて……」
と言い、立方体に入っている俺の魔力を動かし始め、あっという間にお手本の時のような綺麗な虹色にしてしまった。
「分かった?」
「すまん、もう一度お願いできないか?」
魔力が動いたのは分かったが、それ以上は分からなかった。その後俺はノアに何度も頭を下げ何十回とやってもらい漸く感覚をつかんだのだった。
そして約束の3週間後に2つの立方体を虹色に染められるようになり、城へと帰ることになった。
でも、ノアはまだスコルピウス家の別邸で師匠から指南を受けるそうだ。何でも、次期公爵として魔力量を増やし、最小の魔力で最大限の効果を発揮できるようになるにはまだまだなのだそうだ。
俺も魔力制御がギリギリ及第点なだけなので、師匠とスコルピウス公爵にお願いをして2週に一度だが、ノアと一緒に指南してもらえることとなった。
城に戻る馬車を待ちながらガーディンとキャルロットはまだ俺のことを待っていてくれただろうか……と少し不安になった。
それでも、早く会いたい!褒めて欲しいと思い、到着した馬車を見ると……。
「ーーーーー!!!!」
馬車の扉を開けて二人が立っていた。
「おかえり(なさい)」
そう言いながら、ガーディンの武骨な手に頭を撫でられ、キャルロットに手を取られる。
思わず泣きそうになったがグッとこらえる。しかし、その苦労はあっさりと意味がないものに。
「ガーディ兄さん、ロット姉さん、リカルドのことよろしくね。友達なんだ」
後ろからノアの声が聞こえたが、もう振り替えれなかった。無言で手をあげて挨拶をして馬車へと乗り込む。
師匠には先に挨拶しておいて良かった。こんな顔、恥ずかしくて見せられない。
そんな俺のことなんてきっとお見通しなのだろう、楽しそうに笑う声が聞こえてきたのだった。
次回よりアリア視点にもどります。漸く初等部編となります。
新章では新キャラも出ます!!
よろしくお願いします<(_ _*)>