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初等部編48

今回は5年の歳月の中での皆の変化についてです。


 あっという間に5年の月日が経ち、今日から私達も初等部の最高学年、6年生となる。


 この5年間、たくさんのことがあった。



 リカルド様とノアは学園に入学。二人とも変わらず仲が良く、セバスの元で魔術の修行をしている。ノアはめきめきと才覚を表してセバスを抜くのもあと少しだそうだ。

 リカルド様も随分と魔力制御が上手になって暴走させることはなくなった。なので、公の場に出ることも増え、ノアと修行をできる時間が減ったと嘆いていた。それでも「将来は兄上をサポートできるようになる」と前向きに色んなことに取り組んでいる。ゲームの中のような傲慢で我が儘で淋しがりやの彼はもういない。


 カトリーナは昨年、留学から帰られたスクラート・シュツェ様と12月に婚約をする。

 パンケーキやサングリアが大ヒットし、観光地としても注目され始めているため、シュタインボックス領の経済状況は大きく改善した。だから、スクラート様と婚約しなくても良くなったのだが、カトリーナ自身の意思で婚約の道を選んだ。理由を聞いても意味深に微笑むだけで教えてもらえなかったが、スクラート様との文通の話を聞く限りではかなり良好な関係を築いているみたいで安心した。

 カトリーナよりもレーン様の方が引きずっているようで、お茶会や舞踏会で見かけた時は大概カトリーナに熱い視線を送っている。


 イザベラは新しい婚約者候補を作らず、レオへの猛アタックをしている。ありがたいのか残念なのか分からないが、私が未だに婚約者候補第一位で、イザベラが二番目なこともあり、「負けないわよ!!」とライバル宣言をされながらも、良い友人関係であることは変わらない。


 レオは国政へ関わることが増え、今はお米の生産と平民向けの学校設立プロジェクトを中心に周囲の力を借りながら取り組んでいる。

 そして、イザベラの猛アタックを受けながらも私へのアプローチを繰り広げてくる。私としてはレオのことは好きだが、未だに恋愛感情が良くわからないので、どうしたら良いのか分からず、はっきりしない態度になってしまっており、レオにもイザベラにも申し訳なく、情けない限りだ。


 フランチェスコは変わらずステーキへの熱い愛情を持ち続けており、良くも悪くも彼が一番変わっていないのではないだろうか。


 そして、一番変わったのがプリオスだ。ドMのシスコンは相変わらずだが、女たらしへと変貌した。私達といる時以外は常に複数人の女生徒をはべらせ、付き合っては別れを繰り返している。そのうち刺されるのではないかと思ったが、意外にも別れた令嬢達はプリオスのことを一切悪く言わず、むしろ夢のような時間を過ごせた、一生の思い出ができたとプリオスのことを未だに好いている。きっと私には理解できない何かがあるのだろう。まぁ、理解したいとは一ミリも思わないが。




「ねぇ、ジンス。この5年間、本当に色々なことがあったね」

「そうだな。まさか、俺がスコルピウス公爵家に住むとは夢にも思わなかった」

 懐かしむように目を細めながらジンスは笑う。


 1年生が終わる頃、パンケーキとサングリアが本格的に市場へと出回り始めた。すると、発案者がジンスだと知った貴族達がこぞってジンスと懇意になろうとした。そこまでは良かったのだが、彼を自分のものとして利益を独り占めしようとする下衆な輩まで現れ、誘拐未遂が起きたのだ。

 未遂で済んだのはそうなることを予想したジンスが防犯グッズを作成していたからだ。防犯ブザーから催涙スプレー、スタンガンなんてやり過ぎではと思うものまで常に所持していたらしい。どれもこの世界にはないものだから誘拐犯も予測できなかったのだろう。催涙スプレーで動きを鈍らせ、スタンガンで気絶させられた犯人は一人や二人ではない。

 因みにうちの忍のような仕事をしている影の者達がジンスの護衛に当たっていたのだが、出る幕がない程、ジンスは自衛に長けていたそうだ。


 しかし、いくら自衛に長けて護衛を影ながらつけているとは言っても、そんな危険な状況に置いておく訳にはいかないとお父様がジンスを公爵家の一室に住まわしたのだ。




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