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王子殿下と愛娘の誓い

 そういえば、お節介ながらコルネリウス様の事を心配しておりましたが、レオナルド王子殿下はどうなのでしょうか。


 レオナルド王子殿下は私とそういえば年齢が変わりません。私より一、二歳歳上だった筈です。そろそろ結婚していてもおかしくない年齢だとは思うのです。


 ただ、私が心配するのは失礼な気もするので、あまり面と向かって聞けもしないのですが……。


「レオさまはけっこんしないの?」


 リーゼロッテが本人に遠慮なく聞いてしまったので、私としては固まるしかありません。

 勿論リーゼロッテに悪気はないのです。純粋に不思議に思ったからでしょう。イザークさんも結婚して奥様が子供を授かった、というお話を聞いたから、そこから疑問が発展したらしいです。


 単刀直入に聞かれたレオナルド王子殿下は気分を害した様子もなく、ただ苦笑に近い笑みを浮かべてリーゼロッテを撫でて膝に抱えます。

 ロルフ様が居たら「娘に軽々しく触れるな」とぷんすかしてしまいそうですが、また突撃訪問な為ロルフ様も不在。リーゼロッテも喜んでいるので、私から止める事もないでしょう。


「そうだねえ、特に相手も居ないし、そもそも出来ないかな?」

「そうなの? すきなひといないの?」

「リーゼロッテ、あまりそういう事は聞いちゃ駄目よ」

「いやいや構わないよ。実際好きな女性は居ないし、そもそも僕には妻帯が許されないんじゃないかなあ」

「え?」


 妻を持つ事が許されない? と目を丸くした私に、レオナルド王子殿下はどこまでも穏やかな笑み。


「僕は魔術の発展に寄与するという条件の上で自由にされてるんだけどね。流石に結婚ともなればそう自由じゃなくなるんだよ。当然父上……国王陛下に承認を得なければいけないし」

「あ……」

「ちょっと難しい立ち位置に居るから、あんまり希望は持てないかな、と。まあ好きな女性が居る訳でもないし、居たとしても多分僕は結婚しないよ。弱味は作りたくないから」


 色々と今でも狙われる事が多いからね、と溜め息混じりに呟いてリーゼロッテの頭を撫でているレオナルド王子殿下。

 娘は嬉しそうに瞳を細めていますが、ふときょとんとした不思議そうな顔に戻って仰け反るようにレオナルド王子殿下を見上げます。


「レオさまは、ねらわれてるの?」

「そうだねえ。此処に居る分にはクラウスナーを本気で敵に回すと怖いって分かってる兄上達も手を出さないんだけど、僕が外に居た時に誰か大切な人が居たら、危ないかなあ」


 レオナルド王子殿下、多分それ言っちゃいけないやつですよね。兄に狙われているって断言してますもの。


 レオナルド王子殿下は、非常に優秀な方です。ロルフ様も「性格に難はあるが、王族でも群を抜いて優秀な男だ。少なくとも兄弟同士で醜い争いをしている第一第二王子よりは」と評していました。

 ……性格云々は多分ロルフ様も人の事言えませんからね。私はロルフ様のそんな所も好きなのですが、多分ロルフ様は一般的に普通ではないですからね。


 さておき、内部抗争に近いそれを私に言っても良かったのでしょうか。いえ、以前お聞きした時も近いものは聞いていたのですけど、まだ続いていたのですね。

 ……レオナルド王子殿下は、別に王位とかは全く興味のない人だと思うのですけど……何処をどうしたら、敵になるのでしょうか。


「……レオさま、あぶないの?」

「いーや? 僕は比較的研究所の職員にも愛されてるし、私邸に入り込もうとする馬鹿は罠に引っ掛かってちょっと痛い思いをしてかはお縄についてるし。それに」

「それに?」

「報復する手段は持ってるから」


 にこっと、それはそれは爽やかな笑顔を浮かべたレオナルド王子殿下に、私は曖昧に微笑むしかありません。

 ……瞳がちょっぴり怖いのですが、リーゼロッテが気付いた様子がないのが幸いです。


 リーゼロッテはよく分かっていないのかしきりに首を傾げていましたが、ふと疑問がほどけたように瞳を輝かせるのです。


「レオさま、あぶないならわたしがおおきくなったらまもってあげるね!」

「リーゼロッテが?」

「うん! おとーさまはわたしにつよくなってほしいっていってたし、レオさまもまもれるくらいにつよくなるね!」


 ……ロルフ様はリーゼロッテの才能に期待はしつつ自由にさせるつもり、だったのですが……まさかこんなところで強くなる決意をされるとは。

 リーゼロッテはレオナルド王子殿下の事を素敵なお兄さんとして見ているようですし、かなり好きな部類に居ると思うのです。まあ子供なので恋愛とかには発展しないとは、思うのですけど。


 レオナルド王子殿下はリーゼロッテの笑顔を眩しそうに受け止めて「ありがとうね」とリーゼロッテを撫でています。

 もし本当にレオナルド王子殿下の側近辺りを目指したら、ロルフ様はどういう顔をするでしょうか。駄目だと言い張る……でしょうね。それで親子喧嘩しそうな気もしますが。


 まあ、リーゼロッテがしたいというなら、私も止める理由もありませんし、好きにして貰えば良いとは思うのですけど。


 レオナルド王子殿下から「いいの?」という視線は来ましたが、私はそれに微笑みを返すだけに留めました。

 まさか前回の更新から一ヶ月経ったとは。もう少しこまめに更新するつもりがままならず申し訳ないです。

 昨日で『旦那様は魔術馬鹿』の書籍発売から一ヶ月が経ちました。時間の経過が早くてびっくりしています。

 昨日から『旦那様は魔術馬鹿』の電子書籍版が発売しております。電子書籍派の方もこの機会に宜しければお手に取っていただけたら幸いです。


そろそろスピンオフか同じ世界でのまた違うお話が書きたいところ……。

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