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外れスキル【収納】、熟練度9999 ~苦節60年で覚醒した最強チート。アイテムを【収納】するだけで無限に強くなる~  作者: ハヤケン


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第31話 マルティナと屍竜使い21

 それから――


 ワシ達は暫く、そのまま王都に滞在した。

 破壊された王城の復旧を手伝うためだ。


 一連の騒動の被害としては、王城の半壊以外は特に目立った物は無い。

 ティナがいち早く避難を促し、人々が王都の外に逃げ出せたのが良かったようだ。

 今は何事も無かったかのように、街には人が戻り、日常を取り戻している。


 そして王城の復旧の方も、かなりのスピードで進んだ。

 バーヴェルや、その配下のドラゴニュート達のおかげだ。

 力自慢で空も飛べる彼等が、復旧作業で大活躍だった。


 ドルミナが倒されたため、その力でかりそめの命を与えられていた彼等は、本来ならば存在し続ける事が出来ないはず。

 が、【屍竜使い】のスキルはワシが【収納】したため、その力はこの世に遺されたことになる。


 なので、彼等はそのまま存在し続けていた。

 バーヴェルの子分達は性格も凶暴化していたようだったが、それも本来の性格に戻す事が出来、喜んで王城の復旧作業を手伝ってくれた。

 バーヴェルがドルミナとの戦闘で負った大怪我も、ワシの【屍竜使い】のスキルで治療する事が出来、完全に元通りだった。


 そして王城の復旧にもメドが立ち、ワシ達はその日を迎えていた。

 勿論、王都を出て冒険に旅立つ日の事だ。


「アッシュ。アッシュ。そろそろ起きろ」

「んぅ……もう朝かのう――」


 もう少し寝ていたい欲求はあるが、思い出す。

 そうだ、今日はこの王都から旅立つ予定の日だ。


 ぱち。


 目を覚ますと、ティナの嬉しそうな笑顔がすぐ間近だった。


「おはよう。アッシュ」

「おおティナおはよう。今朝も顔が近いのう」

「うん? 私がキスして起こすのを待っていたんじゃないのか?」

「いや、そういうワケでは……それにどうせ――」

「そうだな。朝晩一回はな――」


 ちゅっ。


 とワシにキスを一つして、ティナはワシの手を引いてベッドを出る。


「朝食の準備は出来ている。食べて最後の確認をしたら、早速出発だ! アッシュと冒険なんて、50年以上ぶりだな! ワクワクする!」


 ティナはすこぶる上機嫌である。


「しかしティナ、本当に良いのかの?」

「何がだ、アッシュ?」

「ティナはこの国の女王じゃ。それをワシが連れて行ってしまうのは……の。ワシの身勝手かも知れんと思ってな」


 城の人達は、ティナが無事だった事を本当に喜んでいた。

 若返った事には驚いていたが、それによって健康不安が無くなるならいい事だと、それも喜ばれていた。

 それらはティナが、人々に慕われている証。

 人々に必要とされている証だ。


「身勝手でいいんだ。アッシュにとって私は、そんなに簡単に諦めの付く存在か?」

「いや、そうではない。ただティナが、無理をしてワシに合わせておらぬかと思っての」

「全くそんな事は無いぞ。今まで散々国のためにつくしたんだ、もう私は引退して自由に生きていいはず……その時のために、ちゃんと後継ぎも用意している。余計な気兼ねはせずに、私を連れて行ってくれ。それが私にとっての幸せなんだ」

「そうか――」


 と、すすすっとティナがワシの目の前にやって来る。


「あまりうじうじしいてるようなら、また私のキスで元気づけようか?」

「いや、大丈夫じゃ」

「何だ、せっかくのチャンスだったのに……」


 と、残念がるティナに、今度はワシからちゅっ、と一つ。


「……!」

「ありがとう、ティナ。何十年もワシを待っていてくれて……本当に感謝しておる」

「うへへへ……アッシュからしてもらうのは、また格別だぞ」


 ワシは真面目に言ったのだが、ティナはニヤニヤして余り聞いていない様子だった。


 ともあれそのまま準備をして、ワシらはいよいよ王城を出るべく城門へ。

 エルフィン陛下や宮廷魔術師のエリカ殿をはじめとして、多くの者が見送りにやって来てくれた。


「陛下――やはりどうしても行かれてしまうのですか?」

「当り前だ。それに私は元陛下。今の陛下はお前だぞ? しっかりしろ」

「し、しかし私にはまだ荷が重く……若返られて健康に問題が無くなったのであれば、もう一度王に復帰頂いても――」

「馬鹿を言うな。私はアッシュと冒険に出る。元々アッシュと冒険する途中の道草で、女王をやっていたに過ぎん。本来の私に戻らせてくれ」

「そうですよ! 何十年も前の約束をお互いに守って、今一緒になられるなんて素敵じゃないですか! ロマンチックです! せっかくのお幸せの邪魔はしてはいけませんよ!」


 と、エリカ殿はエルフィン陛下に発破をかけていた。

 エリカ殿はティナが旅立つことに肯定的なようだ。


「はははっ! そういう事だ! エルフィン、エリカ。お前達は私が見い出した【聖戦士】と【大賢者】の後継者。二人力を合わせれば、決して私に劣らず上手くやって行けるはずだ。後の事は頼んだぞ」


 ティナはエルフィン陛下とエリカ殿の肩を、ぽんぽんと撫でる。


「はい……! お言葉、肝に銘じて――!」

「身寄りのない私達を引き取って、これまで育てて下さり、ありがとうございました!」


 二人は涙ぐんで、ティナに深々と頭を下げていた。


「では行こう、アッシュ!」

「おう!」


 ワシとティナが城門を出ると、バーヴェルやドラゴニュート達が待ち構えていた。

 彼等も、ワシとティナを見送ってくれようというのだ。


「アッシュ! マルティナ! いよいよ門出だな」

「おうバーヴェル。色々世話になったの。礼を言うぞい」

「お互い様だ。そなたがドルミナの力を奪い取ってくれたおかげで、我はまだこうして存在できているのだからな」

「そうっス!」

「俺達も正気に戻れたっスから!」

「感謝してるっス!」


 バーヴェルの配下達は非常に能天気で明るく、気のいい者達である。


「私からも礼を言うぞ。お前達のおかげで、城の修復が実に早く済んだからな」

「構わんさ。あの程度、朝飯前だ」

「しかし、お前達はアッシュの眷属になったのだろう? 一緒に来ないのか?」


 バーヴェルはふっと笑い、静かに首を振る。


「そんな野暮はせんよ。二人水入らずで、旅を楽しむがいい。なあに、我等はそなたが言うように、既にアッシュの眷属。離れておっても呼びかければ通じるし、召喚する事も出来よう。必要があれば使ってくれればよい」

「図体の割に気の利く奴だな――ならば思う存分、アッシュとイチャイチャさせて貰うとするぞ」


 と、ティナは感心している。


「お、おう……」


 バーヴェルは少々気恥しそうだ。

 ワシも堂々とそう言う事を言われると、少し恥ずかしい。


「だが、ではお前達はこれからどうする? ラーシアに残るのならば、エルフィンに話を通しておくが……?」

「いや、あまり人里に長居をしては、いずれは望まぬ諍いが起きよう。どこか静かに暮らせるところを探して、腕を磨いておくさ」

「そうか――」

「では、我々もそろそろ行くとしよう。ではな、アッシュ、マルティナ!」


 ばさり、とバーヴェルの翼がはためいて宙に舞う。


「何かあったら呼んでくださいっス!」

「何も無くても話し相手になるっスよ!」

「逆に何か美味いものがあったら食わせて欲しいっス!」


 ドラゴニュート達もそれに続いて行った。


「……では私達も行こうか、アッシュ!」


 と、ティナはワシの手をぎゅっと握った。

 ワシらの見た目は、ワシが10歳でティナが17、8歳くらい。

 こうしていても、恥ずかしいカップルではなく、仲のいい姉弟だ。


 そもそも『生命の宝珠』の力を『一蓮托生』で共有しているのに年齢差が生まれるのは謎だ。ワシが10歳ならティナも10歳になりそうなものを。

 が、お互いに健康状態に不安がある老人よりはいいだろう。


「ああ、そうじゃの! 特に目的も無い、気ままな旅じゃ!」

「いやアッシュ、私としては目的はあるぞ?」

「うん? 何じゃ?」

「今の私達は、アッシュが子供で私が大人だろう?」

「ああ、そうじゃな」

「これを、もう少しアッシュが成長した姿にする方法を探すんだ! 今のままでも可愛いくていいが、やはりもう少し大人の姿になって欲しいぞ!」

「何故じゃ?」

「決まっている、そのままではまだ私達の子供を作れないだろう? 早く若い男女になって、私を孕ませてくれ!」

「ははは……ティナ、あまりそう言う事は大声で言わんでくれ」


 ワシらの歩く場所は、王城から延びる大通り。

 ティナの発言が聞こえた人達が、ぎょっとしてこちらを見ていた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 此処まで読んできての感想は、収納がメインスキルの発想が面白く、救済措置の縛りの程度が厳しくて笑った。内証にこだわりすぎず、話の展開が早くてサクサク進むのも良い。 [気になる点] やや話が単…
[一言] >孕ませろ ジジババにはもう恥ずかしいとかないんやな だがそれがいい
[一言] 最終回じゃなかったのが一番嬉しいwww
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