第2章 39 寝床探して三千里
寝床を探しながら二匹で夜の雪原を歩き回っていると、ふとあることに気付く。
…そういえば、レアスライムちゃんの名前決めてない…!
頭に乗せているレアスライムちゃんに目線を向ければ本スライム?は気付いたのか《ドウシタノ?早ク行カナイト、夜更カシノシ過ギデ体調ヲ二匹共崩シチャウヨ?》と不思議そうに私をそう急かす。
…確かに、夜更かしは判断を鈍らせたりしちゃうからもし戦うって時に死にやすくなっちゃう……ってそういう話じゃなくて!
…レアスライムちゃんってお名前ないよね〜って思って!
《名前?》
…そうそう、私はニコって名前があるじゃん?今はあんまり好きになれないけど……でもレアスライムちゃんって名前ないからレアスライムちゃんって呼ぶしかないじゃん?
《ア〜、確カニ…ジャア貴方ガ名前ヲツケテヨ!》
…!?私が名付け親に!?あんまりこういうの得意じゃないんだけどなぁ…ネーミングセンスとか私あんまりないよ…?
《デモ名前ッテ、他ノ人?カラ貰ウモノデショ。ダッタラ今コノ場ニイル貴方ガ名前ヲ付ケルベキカナッテ…。》
少し恥ずかしそうな感情をレアスライムちゃん滲ませてそう言う。
《ソレニ…オ友達カラ名前貰エルノッテ、スゴイ嬉シイシ…。》
……。
…そこまで!そこまで言うなら名付けてあげよう!!!お友達の私が!!ふふん!!
ご機嫌にそう言えばレアスライムちゃんは
《ア、アマリニモ変ナ名前ハ怒ルカラネ!》
と照れくさそうに言った。
嬉しさに思わず二又の尻尾がぴーんと立ってしまう。
任せてよ!とるんるんで名前の候補を出そうと考え始めたところで《寝床、先ニ見ツケヨウヨ。ノンビリシテタラ、襲ワレチャウカモシレナイシ…。》と声を掛けられる。
…確かに…!じゃあ名前決めは寝床を見つけてからだね…!…最高の名前を考えておくから楽しみにしてよね?
レアスライムちゃんにそう返せば、本スライムは嬉しそうに《ウン!》と頷いてた。
そうやって歩いて体感二、三時間は歩いた。否、今も歩いている。何故なら
洞窟の、どの字もない!!!!!
《ネ……見渡ス限リ、全部ガ雪…。》
…このままじゃ…寝るに寝れないよ…って、レアスライムちゃん暗視持ってたっけ?前にステータス見た時は持ってなかった気がするけど…。
《今サッキ手ニ入レタ!ソレデモ全然見エナイケド!》
おー!おめでとー!レベルが上がればもっと見えるようになるはず…!多分…だけど…。ってそんな話じゃなくて!今は寝床だ…。
周りをいくら見渡したって隠れて寝れる場所は周囲のどこにもない。かといって、歩き続けてもこのまま体力を消耗するだけだろう。しかしここで丸くなって寝るにはあまりにも周囲の安全を確認できない。
…気配感知等を使えば、ワンチャンあるけれど気配感知を使うということは一晩中起きていなければならないのだ。眠っている状態でも使えはするけれど、眠ってしまって気配感知に反応が来ても私が気付けなければ意味がない。
レアスライムちゃんに手伝ってもらってもいいけれど、不寝番をするのはお互い休みにくいと思うし…。
そこまで考えたところでふとレアスライムちゃんのスキルが頭を過ぎる。
…レアスライムちゃん、そう言えば念力ってスキルあったよね?
《エ?ウン、持ッテルヨ!ソレガドウシタノ?》
…私に、いい考えがあるんだよね…寝床がないなら、作ろうと思うんだけど…一緒に手伝ってくれない…?
そう言えばレアスライムちゃんは嬉しそうに
《モチロン!》
と返してくれた。
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じゃあまずやることは、レアスライムちゃんが念力を使って雪を集める!
《ハーイ!》
レアスライムちゃんが念力で少しずつ雪を運んでくる。まだ一回に運べる量は少ないものの、念力のスキルレベルが上がればいつかいっぺんに運べたり重いものを浮かばせることもできるようになるだろう。安全な寝床を作るついでにレアスライムちゃんが成長できるのはすごく喜ばしいことだと思う。
その間に私はレアスライムちゃんが運んだ雪の山を固くしていく。肉球だからやりにくいけれども、固めないと寝床にならないのだからこのまま頑張るしかない。
私が作ろうとしているのはいわばかまくらだ。
かまくらなら寒さを凌げて尚且つ、周りの魔物にすぐに襲われることもないはずだ。少なくとも壁があるし、入り口に関してもレアスライムちゃんの念力で雪を持ってきてもらって、隠せば多少は見つかりにくくなるはず。
かなりレアスライムちゃんに頼りきりで申し訳ないが、こればっかりは仕方ない。
…スキルポイントあるし習得すれば?とかそこ言わない!…私は雪の山を固めながら周りに魔物が来てないかを確認する役割があるんだし…!
そう一人で呟きつつ、気配感知を発動する。今のところ周囲に魔物の気配はないため、安心をした。夜だから、眠っている魔物が多いのかもしれない。
《ネェ、コレドレクライ運ベバイイノ?》
考え事をしながら、雪を固めていたらレアスライムちゃんにそう声を掛けられる。
…うーん…私とレアスライムちゃんが入れればいいからなぁ…これくらいの雪で大丈夫かも…。
目の前にある私とレアスライちゃんより少し大きいくらいの雪山を眺めてそう返せば、元気そうな《分カッタ!》という返答があった。
《アトハ、ドウスルノ?》
…あとはね〜…穴を掘るだけ…!
できた雪山に穴を掘っていく、がしっかり固めてしまったからか思ったより力がいる作業で、ヒィヒィとなりながら作業を進めていく。
…次は作る時は固めすぎないようにしておこう…反省…。
《頑張レー!頑張レー!》と呑気に聞こえてくる声援を糧に体感じっくり十分から二十分くらいかけて穴を掘れば、目の前には一匹と一体が入れそうなかまくらが。
…か…か…。
…完成だーーー!!!!!!!!!
《ヤッターーーーーー!!!!!!》
一匹と一体の歓声が夜の雪原に響いていた。




