21話・10代の無鉄砲な少年かと思ったら
「ウェデルが、お二人に助けてもらったのだそうですよ」
「おまえはまた、危ないことをしたのか?」
「だって、爺ちゃん。あいつらまた、仲間の家の屋根を掘り起こしてどっかに持っていこうとしていたから」
「確かに無鉄砲な行動だとは思ったが、仲間思いの良いところがあるじゃないか。ロージイ」
「それはそうじゃが……」
「まあ、勇敢なのは良いことだ。家族を守るためにはそれぐらいの意気込みでないとな」
「それにしても、おまえと言うやつは。一歩間違えれば……」
ロージイは目を吊り上げた。ウェデルは不貞腐れた様な顔をする。カルロッタとアコダはさりげなくウェデルのフォローをしていた。ロージイが孫を叱るその脇で、チムは涙ぐんでいた。
「しかし、坊ちゃん。大きくなられましたねぇ」
「チムまでその坊ちゃんと言うのは、止めてくれ」
チムはふふふっと笑った。ノアールは参ったなと頭を掻く。横では説教が続きそうな気配があったが、チムがロージイを諫めた。
「旦那さま。お客さまは揃ったのでしょう? もうその件は終わりにしてお食事にしましょうよ」
「……そうじゃな。では皆さま、こちらへどうぞ」
ふかふかの絨毯はリビングいっぱいに広がっていた。その一角に、床座席とクッションが置かれていた。
「さあさ。皆さま。席に着いて下さい。お食事の用意は出来ております」
「サーラ、こっちだ」
ノアールに促されて席に着けば、アコダ達も席に着いた。足のない椅子に座るのは初めてだけど、なかなか座り心地は良かった。そこへお盆に足が付いたような物を持って数人のノームが現れた。それぞれ私達の前に置いていく。そのお盆には料理が乗っていた。新鮮な野菜サラダに、揚げパン。豚肉と野菜や豆をとろとろに煮込んだ具沢山スープに、こんがり焼き目のついた鶏もも肉のコンフィー。そして果実の飲み物らしきものがグラスに入っていた。どれも美味しそうだ。
「ここはロージイさんのお住まいなのですか? 家族が多いのですね?」
給仕をしているノーム達は、ロージイの家族らしく、婆ちゃん次はどうする?と、指示を仰いでいることから、側にいたロージイに聞けば頷かれた。
「我々ノームは大家族なのですじゃ。先ほどサーラさまが会ったウェデルには、7歳になる子供もおる」
「えっ?」
「奴は30にもなって落ち着かなくてのう。先行きが心配じゃい」
それには大変驚いた。ウェデルはてっきり見た目の幼さもあって、10代の無鉄砲な少年かと思い込んでいたのだ。
──私よりもはるか年上?!
思わず注目してしまうと、ウェデルは恥ずかしそうに目を逸らした。家庭持ちで子供もいたら、少しは落ち着いて欲しいと親としては思うのだろう。だからロージイは、きつい言い方をしていたのかと思った。
「じゃあ、爺ちゃん。婆ちゃん。私達帰るね」
「皆、ありがとうね」
料理を全て運び終わると、給仕してくれていたノーム達が、ロージイ達に声をかけて部屋から出て行ってしまった。




