表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/99

20話・危機一髪


「おーい、そっちはどうだ?」


「こっちは終わったぞ」


「見つかったのか?」



 遠くから恐らく仲間の石工だろう。がやがやと声がしてきた。数十名の男たちが向かってきているようだ。



「何てことだ。仲間が他にもいたのか」



 カルロッタが参ったなと呟くと、ノームに手首を掴まれた。



「お二人とも早く、こちらに」



 ノームが促した場所には穴が開いていた。躊躇うと突然「失礼します」と、声がしたと思ったら背中を蹴られていた。あっという間に穴の中に落ちていた。



「うわあ──っ。ナニコレ──!」



 中は異様だった。明るく白い空間が細く長く続いているようだ。見かけはそんなに大きな穴に思えなかったのに、穴の中はトンネルのようになっていた。中は滑り台のようになっていて、体が滑って下へ下へと落ちていく。ようやくこの先に終わりが見えてきたと思ったら、穴から飛び出していた。


 抜け出た先はリビングのようだった。天井や、床、壁がきらきらと光を放っていて綺麗だった。テーブルや椅子も材質は白木の木材のように感じられるけど、それよりもしっかりとした質感が感じられ、見た目よりも硬質な気がする。


 恐らくここはノームの住まいなのだろう。ノームは鉱石の中に住まいを作ると言っていたから、ここはその中に違いなかった。足元には若草色したふかふかの絨毯が敷かれていた。そのおかげで落下時の衝撃は抑えらえた。

 穴から飛び出した私達を出迎えたのは、優しそうな風貌をしたノームのお婆さんだった。



「お帰り。ウェデル。あれまあ。カルロッタさま?」


「チムか? 久しぶりだなぁ」


「婆ちゃん。知り合い?」


「こちらは坊ちゃんの護衛を務めていらっしゃる、アコダさまの奥さまよ」


「この子はチムの孫だったのか」



 意外にも助けたノームの祖母チムと、カルロッタは知り合いらしい。チムは私に目を止めた。



「こちらのお嬢さんは?」


「夫の姪だよ。ジグルドの娘だ」


「まあ、そうでしたか。私はこの子、ウェデルの祖母のチムです。あのジグルドさまに、このような大きなお嬢さんがいるとは思いもしませんでしたわ」



 優しそうな風貌をした老婦人は、にこにこと笑いかけてきた。チムは私の父のことも知っているようだ。



「でも、どうしてお二方がウェデルと一緒に?」


「それはこの方たちが助けてくれて……」



 ウェデルが私達に会った時の話を聞いたチムは、深々と頭を下げてきた。



「孫のウェデルを助けて頂きありがとうございました。大したおもてなしは出来ませんが、食事を一緒に如何でしょうか?」


「良いのかい?」


「勿論です。もうそろそろ、うちの主人もお客さまを連れて帰るでしょうから。主人は張り切って先ほど、出かけて行ったんですの。坊ちゃんとそのお連れさまを、我が家へご招待したいから、ご馳走を用意しておいてくれと言って」



 坊ちゃんという言葉が出て来て、もしかしてチムの旦那さまとは──と、思っていたら、「うわああああっ」と、言う聞きなれた大声と共に、私達が先ほど出て来た穴からロ-ジイと、人が飛び出してきた。アコダとノアールだ。大声を上げていたのはアコダのようで、ノアールは澄ましていた。



「チム。今、帰った」


「お帰りなさい。旦那さま」


「いま、坊ちゃんのところに顔を出したら、二人がまだ帰って来ていないと言われてのう。そのお二人じゃが……おんや? どうしてここにカルロッタさまとサーラさまが? 今、お誘いに上がったところですじゃ」



 チムに出迎えられたロージイは、まだ客人が揃っていないと言いたかったのだろう。ところが先にカルロッタと私がいたので驚いたようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ