表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/111

46話・物事には裏と表がある


「そうだな。図体ばかりでかくて、私たちの息子のような感じだな」


「それはないですよ。クロスさん」



 メーラとクロスに挟まれ苦笑した。見た目からいっても、自分は彼らよりはやや年上に思われる。その自分が子供なんておかしいと言おうとしたら、クロスに頭をわしゃわしゃと撫でられた。



「いいから。素直に甘えておけ」


「……」



 クロス達といると、自分が子供になったような錯覚を覚えることがある。実際、彼らには面倒を見てもらっているだけに何も言えない立場にはある。だから息子のようなものと言われても仕方がないようにも思う。



「さあ。一雨来るらしいから、さっさと取り込むぞ」


「あ、はい」



 クロスに急かされて、慌てて洗濯物の存在を思い出した。メーラは行ってしまったが、クロスはその場に残り、洗濯物を取り込むのを手伝ってくれた。最後の洗濯物を手にした時、ポツポツと頬に雫が当たった。



「どうして……、どうしてクロスさん達は、僕に良くしてくれるのですか?」



 面倒見の良いクロスに、心の中で思っていたことを問いかけていた。



「この歌劇団は脛に傷を持つ者が集まっている。俺たちには子供がいた。でも、自分達の都合で手放した。その子供への贖罪のような意味もある」



 クロスたちに子供がいた? 初耳で驚いてしまった。仲が良い二人なので、籍は入れなくとも事実婚状態にあるのはおかしくないと思ってはいた。だが、その子供を手放したと言うのはどういうことだろう? 若い頃の話だろうか? 歌劇団を立ち上げたばかりで子供を養う状態になかった?



「贖罪?」


「ああ。俺たちは深い業を背負っている」


「でも……、それには事情があったからでしょう?」



 あまり深く立ち入ってはいけないような気がするが、子供を手放したと聞いて何かが引っ掛かった。この歌劇団は裏稼業も行っている。実はこの歌劇団のスポンサーは、この国で一番高貴なお方。そのお方のお気に入りの歌劇団として注目を浴びる一方で、その高貴なお方から命じられて手を汚すこともある。誰かに教えられたわけではないが、彼らと生活をしていく上で何となく察していた。



──だから子供を手放した? 子供に害が及ばないように?



「女王陛下のお気に入りの歌劇団とはいえ、ここは小さな劇団だからな。芝居だけで劇団を回していくのには心もとない」


 裏稼業で得た収益で、ここでの生活を賄っているというクロスの発言には間違いがない。ノヴァが裏稼業に気が付いたのも、帳簿も任されるようになってきていたからだ。メーラたちが仕事を請け負った翌日には、多額の報奨金らしきものが入ってきていた。



「物事には裏と表がある。我々黒のペガサスは、金のクリュサオルの為に存在している。そのうち、おまえにもそれが分かるようになってくるさ」


「金のクリュサオル? クリュサオルって女王陛下直属の捜査官の?」



 ノヴァも話には聞いたことがあった。クリュサオルという女王陛下の直属の捜査官の話を。そのクリュサオルと、このペガサス歌劇団は関係していると聞き驚いた。しかも、裏の仕事を請け負う時は、黒のペガサスと名乗っているらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ