表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/37

清らかなる駄菓子の乙女とは?

シエリアの店は駄菓子だがし滅法強めっぽうつよい。


これは祖父そふ、ボンモールのこだわりをいだものだ。


古今東西ここんとうさいのものがそろっていると言っても過言かごんではない。


今日も在庫ざいこ管理かんりしているとおきゃくさんがやってきた。


こしにとても細長ほそながつるぎした浪人風ろうにんふうの男性だ。


なにせ駄菓子だがし充実じゅうじつした店だ。


このコーナーには老若男女ろうにゃくなんにょがやってくるし、男性客だんせいきゃくめずらしくはなかった。


流石さすが剣士けんしめずらしいが、シエリアは特に気にかけなかった。


彼女はいて立ち上がると微笑ほほえみかけた。


「いらっしゃい。何かおさがしですか?」


浪人ろうにんはなぜだかシリアスな顔をしている。


「私はムサシというものだ。ここに″チトセアメ″はいてあるか?」


シエリアはたなからそれを探した。


「えっと、千歳飴ちとせあめっていうと棒状ぼうじょうででとっても固くて、けそうになるアレですね?」


アメを取り出して男性にそれをわたすと彼は首を左右さゆうった。


「すまん。言葉足ことばたららずだった。私が探しているのは″チトセアメ・ブレード″だ」


奇妙きみょう名称めいしょうだったが、駄菓子だがし玄人くろうとであるシエリアには心当こころあたりがあった。


千歳飴ちとせあめ武器ぶき転用てんようしたアレですか? ってこの世にれぬものは無いって言われている……」


それを聞いたムサシは雑貨屋少女ざっかやしょうじょかたつかんではげしくすった。


「それ!! それだ!! 取りあつかってはいないか!?」


シエリアはへろへろになりながらこたえた。


「あれは、伝説でんせつクラスのアイテムで。それにウチは雑貨店ざっかてんなので武器は売ってませんよぉ」


なぜだか彼は深くかたを落とした。


「まずい。まずいぞ。せいなるチトセアメがないと、よこしまなチトセアメをくだくことは出来できない。このまち危機ききだ!!」


なんだか物騒ぶっそうな事を言っている。少女は事情じじょうを聞くことにした。


どうやら彼は邪悪じゃあくちからを持つチトセアメを追って旅をしてきたらしい。


同時にせいなるチトセアメも探してきたが、まだ見つからないという。


なんでもよこしまつるぎにはすさままじいちからがあり、人間をカッチカチのアメにしてしまうという。


このままではセポールの住民は全員がチトセアメになって全滅ぜんめつしてしまうらしい。


眉唾まゆつばだったが、彼女は人の言うことをよくしんじじるタイプだったので親身しんみ対応たいおうすることにした。


そんな時。だれかがトテトテととシエリアの店へ走ってきた。


雑貨屋ざっかやの友人でのろいのアイテムをあつか呪術屋じゅじゅつやさんだ。


全力疾走ぜんりょくしっそうしてきたのか、ひどいきが上がっている。


これはただごとではないと一目ひとめでわかった。


「ハァッ、ハァッ、シエリアさん、よこしまなチトセアメ・ブレードがまちに入ってきたんですよ!! まだ被害ひがいは出てませんが、人から人へわたっているみたいなんです!!」


あせる彼女を落ち着かせて、呪術屋じゅじゅつや、シエリア、ムサシとの3人で情報を共有きょうゆうした。


すると浪人ろうにんこしつるぎいた。


それは千歳飴ちとせあめ出来できていた。


「くっ、これは何の変哲へんてつもない得物えものだが、かくなるうえはこれで邪悪じゃあくやぶるしかあるまい!! 黒いローブの少女よ、よこしまなチトセアメのところへ!!」


声をかけられたのろいの専門家せんもんかは首をコクリコクリとたてった。


「え、あ、はいッ!! いきましょう!! セポールを守らないと!!」


2人はものすごいいきおいで街中まちなかへ走っていった。


シエリアは完全に置いてけぼりになってしまった。


そしてなんだか無性むしょうに心配になってきた。


確かにムサシはたよりになりそうだし、うでが立ちそうなオーラを放っていた。


しかし、いかんせん武器はただの千歳飴ちとせあめである。


ひびきからしていかにも強そうなよこしまなブレード。


それ相手あいてではが悪すぎるのではないかと思えてきた。


かといってせいなるブレードが用意よういできるわけでもない。


シエリアにはをこまねくしかなかった。


「うーん、図鑑ずかんとかにのってたっけなぁ……?」


彼女は記憶きおくを頼りに普段ふだん、使わない本をとり出してきた。


「おっ、あった!!」


そこにはせいなるチトセアメ・ブレードの解説かいせつっていた。


「なになに? きよらかな駄菓子屋だがしや乙女おとめのみがつことがてきる名刀めいとう……?」


これならなんとかなるかもしれないと少女の顔色は明るくなったが、ひっかかるところがあった。


きよらかなる……乙女おとめって何?」


思わずシエリアは頭をひねった。


「う〜ん、おはらい的なものかな? とにかくやってみよう!!」


こうして早速さっそく、彼女はおはらい用の装備に着替きがえた。


手にはおはらぼうを持ち、鉢巻はちまき左右さゆうにに2本のロウソクをした。


それに、うらなのベールをかぶり、服は喪服もふくを着た。


誰が見ても間違まちがった様式ようしきなのは一目瞭然いちもくりょうぜんだった。


かみかみ神様かみさまよ。まよいし子羊こひつじねがいかけに答えてください!! どうか私をきよらかに!!」


はらい棒をブンブンとまわしつつ、彼女はしおをあちこちにバサバサとりまいた。


そしてかした大量の千歳飴ちとせあめ棒状ぼうじょうかたに流し込んだ。


そこにザーザーとしおらすと、ふたたびおはらぼうまわした。


その頃、セポール中央ちゅうおうのダンチェの噴水ふんすいではムサシがよこしまなブレードの使い手と激しくち合っていた。


野次馬やじうま映画えいが撮影さつえいかなにかと思っているようだ。


「コジロー!! やめろ!! つるぎたましいを持っていかれるぞ!!」


やたら悪い顔をしたコジローと呼ばれた浪人ろうにん邪悪じゃあくなチトセアメをった。


「ハハッ!! ムサシ、貴様きさま弱音よわねくまで軟弱なんじゃくになったか!! もっとも、そのナマクラでは仕方しかたないがな!!」


コジローの打撃だげきにムサシは鍔迫つばぜり合いしたが、ただのチトセアメではやはりが重かった。


キイイィィィン!!


ムサシの折れたつるぎちゅうい、地面にさった。


「くっ、もはやここまでか……」


その時、聞き慣れた声がした。


「ムサシさん、これ!!」


コジローが叩きかかると同時にムサシのもとへ、チトセアメ・ブレードが飛んできた。


ムサシはそれをキャッチすると相手の攻撃を受けた。


受け取った千歳飴ちとせあめ・ブレードは白くかがやいていた。


「こっ!! これならッ!!」


目にも止まらぬ早さで2人は打ち合った。


ムサシが押し始め、コジローはうなった。


れぬものとれぬものの戦い。


そして決着がついた。せいなるものとよこしまなるもの。両方りょうほうがボッキリ折れたのである。


手に汗握あせにぎっていた呪術屋じゅじゅつやさんはガッツポーズをとった。


「やったッ!! セポールはすくわれたんです!! ねぇシエリアさん!!」


くとそこには不審ふしんかい服装ふくそう人物じんぶつたのだった。


「すまぬ。貴重きちょうなブレードをってしまって……」


あやまるムサシにシエリアは声をかけた。


「いえ、いいですよ。もともとこのために打ったものですし……」


無事ぶし危機ききを乗り越えたが、それでも呪術屋じゅじゅつやには疑問ぎもんが残った。


「ところでシエリアさん、なんですその格好かっこうは。何かの儀式ぎしきでもしてたんですか?」


珍妙ちんみょう服装ふくそうの少女はカタログをゆびさした。


せいなるチトセアメ・ブレードはきよらかなる乙女おとめじゃないと打てないんだって。きよらかっていうからには念入ねんいりにおはらいしなきゃと思ってね。でも、その甲斐かいあって、いいブレードができたでしょ?」


ムサシも呪術屋じゅじゅつやさんも思わずこれにはくちごもってしまうのだった。




まさか伝説でんせつ武器ぶきが作れるとは思いませんでした。


きっと駄菓子だがしに対する熱いおもいのおかげだと思います。


もちろん、おはらいも効果抜群こうかばつぐんだったんではないでしょうか。


……え? ユニコーンの伝説でんせつ……? あっ、あ〜///というお話でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ