43話 行政上の理由
「漁場の管理人?それは私が領主になったときくらいに廃止されたよ」
エッダとキーリー、ウェイバー公の三人が森の入り口まで探しに来てくれたのでそこで合流した。
僕の感謝の言葉は
「むしろ謝ってもらうのが筋だろうよ」
という親方様の言葉で打ち消され、エッダが謝罪することになった。
そのうえでウェイバー公に
「私は一旦集会所に帰って皆に挨拶して帰るが、君はどうする?山道は疲れただろうし、帰るというなら一緒に載せていこう」
と聞かれた。
他の人間たちは、来たついでにということで今度の猟の相談なんかをドワーフやエルフとしてから帰るらしい。
新人がそんな話し合いに参加しても仕方ないし、俺はもういいや。疲れたし。
ということでウェイバー公の好意に甘えてついて帰ることにする。でもどうせあの牛車なんよな。
そしておばさんは三人に言われ、私たちと別れて子供と会うために自分の家に向かっていった。
別れ際になにかよくわからないカンパンのような菓子をくれた。見た目は薄いカンパンなんだが、口の中でかんでいるとガムのように伸びる。よく噛むと歯にいいのよ、とのこと。ほんとにガムだ。
そして集会場へ戻る道すがら、ウェイバー公に先程おばさんに聞かされた話をして
「可愛そうだからなにかいい方法はないか」
と言った旨の話をしてもらったアンサーが冒頭の一言。
「親方様になって初めて挨拶にしにいったときに聞きましたね。いや、あれはその連絡を聞きに行くついでに挨拶にいったんだったっか?」
「どっちでもいいじゃないか。常駐の管理人は顔なじみとの管理がなぁなぁになりやすいし小さな漁場だと負担も大きいってことで廃止されたんだよ。今は漁をする際に監督者を決めて監督者が漁場を見回ったり漁師の事故防止に努めること、緊急時の避難場所の用意、あと問題が起きた際なんかに連絡事項を言い渡す地域の代表の任命の3つが漁場維持の条件になってる。まぁ泊まり込みの管理人がそれらをやって悪いなんてことはないけどね」
「うちの漁場では漁をやる連中で組合を作って監督や代表を持ち回りでやってますが、避難場所が鍛冶屋の倉庫なんですよね。あれっていいんですか?」
「いざって時に寝泊まりできて病人やけが人を収容できるならどこでもいいよ。こっちは医者の家の牛舎の二階だからな」
偉い男二人はそんな話をしながら、偉い女の顔を見た。
何も言わない。ただ顔は「どうなってるんだ?族長さんよ」というニュアンスが出ている。
エルフの族長は言い訳を考えていたが
「下のものと相談してみます」
と一言。言い訳の余地がなかったようだ。




