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41話 先に書いておくがこれは後から聞いた話だ


 先に書いておくがこれは後から聞いた話だ。


 僕が見つけた足跡をたどり、森をすすんで行ったエッダは、大きな木の陰に座り込んでいた少女を見つけた。

 女の子は

「おばさんの家からの帰り路にいきなり暴れ馬が飛び出てきた。馬から逃げようとして森に逃げ込んだ。無我夢中に逃げ回っていたら道に迷ってしまい、足も挫き、途方に暮れて泣いていた」

といった話を泣きながらする具合。

「あの道は動物が出ないように魔法をかけてるはずなのですが」

とはエルフ領の幹部連中の話。


 まぁ釈明するなら、だからみんな森を見ていなかったということだろう。普通意図せず崖から落ちることはあっても、意図せず森には入らない。

 とにかく魔法の効力がどうであれ暴れ馬が道まででてきたのは事実。なので今後エルフ族で狩りを実施するという事になった、


 話を戻そう。問題の少女を見つけたエッダは、ドワーフ族に備わるすごい能力でエルフの少女をおんぶしたままあの険しい山をおり、村の衆に伝えたのだという。


 そこにはちょうど外からやってきた親方様と衛兵ご一行様もおりあれこれやりとりをした、


 これはよかった、探してる連中に連絡をしてもどってこさせよう、みなさんありがとうございます、些細なお礼ですがお昼を食べて行ってください、お酒も出しましょう、私はまずその子をみなくちゃな、足をくじいた程度だろうけども、親御さんに連絡を、そうだそうだ、いやとにかくよかった。


 そんな具合で森の内外に人が飛び回り、そして集会場に集合した。

 

 それから簡素ながら食事会。親方様、エッダ、エルフ族の族長(名前はキーリーというらしい。あとから人に聞いた)探索に加わったエルフ、協力したドワーフに人間、親方様が気を利かせて外から呼んできた医者の先生、食事の用意をした奥様方が席に付き乾杯。

 仕事があると先に帰った衛兵も手には食事を詰めたパックを渡す。エルフ領の食事はうす味だがうまいのだとか。

 そして少しばかり(監視役が多いので大酒という分けにはいかない)の酒。今回は手柄もあるというわけでみな上機嫌に食事と会話を楽しんでいた。


「なぁそういえば、あのお兄ちゃんはどうした」

 そんな食事会の中、ドワーフの一人が顔なじみの人間にこう口を開いたそうだ。

「誰のことだ」

「異世界から来た兄ちゃんさ。いないんじゃないか?」

「あぁ馬に乗れないらしいから、女共と飯炊きの手伝いをするってことで置いていった。食堂の下働きだからそんくらいはできるってよ」

 

 ドワーフの彼は僕を機にした理由は割と単純。


 あの男は新入りだし外から来たんだ、こういう宴会じゃ肩身も狭かろう、すこし構ってやろうか、というおせっかいなおっさんメンタル。


 というわけで次に聞いたのは、エルフの女衆と世間話に花を咲かせていた自分の嫁さん。

「おい、お前よ」

「なんだい。お代わりなら自分で盛りなよ」

「ちげぇっよ。あのお兄ちゃんはどうしたんだ?ほら、異世界から来たあの子さ」

「あの子かい?少し思いついたことがあるとか言って出て行ったよ。そういえばいないわね。どこにいるのかしら」

「地図が見たいとか言ってたから、集会場にあるって教えてあげたましたよ。そっちに行ったんじゃないかしら」

「そうか。じゃぁ族長様なら知ってるかな」

 この会話を終えたあと辺りになるとおっさんの頭の中にはちょっとした不安があったそうだ。

 まぁ何と言ってもついさっきまで迷子の捜索をしていたんだ。こういった疑いを持つのは当然といえば当然。


 若いながらしっかりしてる印象だったが、異世界から来たこの辺の地理もよくわかってないよそ者だ。道になれて元気があるエルフの子供でも森に迷い込んだら帰れなくなったんだ。あのお兄ちゃん、何か間違えて森の中に迷い込んじまったんじゃなかろうか。間違いならいいがな。


 そういったわけで、各種族の代表があつまり食事をしながら談笑してるテーブルに一人近寄っていた。

 特に深い理由はないが、なんとなくみんなそのテーブルとはちょっと離れて食事をしている。

 まぁこ普段から気軽に会話出来て階級を気にしない人たちといっても、この地域の権力者が一つのテーブルに集まってるからこうなるのも仕方ない。


「親方様。キーリー様、楽しんでる最中にすいません。坊ちゃん。ちょいといいですか」

「なんだ?あらたまって」

 エッダはおじさんの言葉に、手に持っていたフォークを置いて聞く姿勢を見せる。

「あの兄ちゃん、異世界から来た子ですよ、の姿が見えねぇんですが坊ちゃんはなにかご存知ありませんか。嫁に聞いたら地図を見たいと言ってたから集会場に向かったんじゃねぇか、って言うんですが。ほら、子供じゃないと言ってもここいらのことをまだ良く知らないよそ者でしょう?もしかするとどっかで森に迷い込んじまったってことはねぇかと気になっちまいまして」

「あぁ」

「あぁ」

 エッダとキーリーは別の意味で同じ反応をした。


 それでだ。

 僕が問題の少女と違うのは大の大人だということとと、別に馬に追われたわけでもないということだ。

 つまり、エッダに言われた通り道端で座り込んでた。

 そこに通りかかった例の迷子のおばに事の次第を聞き(馬ではなくロバに乗っておっとり刀で駆け付けたらしい)待っててもどうしようもないということで「というより君忘れられたんだろう、田舎者はみんなその辺緩いからね」というおばさんの後ろについて帰ることにした。

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