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37話 エルフ領

 エルフ領は森の中にある、というよりも森の中にエルフ領がある。


 高い木々の森を間引いて広場を作り、畑を作り、作業場を作り、家を建てている。どこから入ってくるのかわからない光のおかげで外と同じくらい明るい。

「この明るいのは魔法だよ。外の光を通しているのさ」

「これが魔法。そんな事せずに森の外で暮らせばいいのに」

「それを本人たちに言うなよ。プライドみたいなものなんだから、損得で割り切るもんじゃない」

 エッダがそう注意した。確かに軽率。土地に愛着がない僕のような流れ者の意見だ。

 そんなことを考えながらついていくと、集会場の周りにいたエルフの一人にエッダが話かけた。


「いいか」

「これはドワーフと人間の旦那様方。トラブルがあっておもてなしはできませんが」

 ずいぶんと腰が低いエルフの女だ。

「事情は知ってるから。俺たちも手伝いに来たんだ」

「そいつはありがてぇ。どうぞ中に入りなすって。族長様がおいでです」


 エルフの族長というのは金髪の美人だった、

 エルフ族というのは金髪が多いのか。体のラインを見せないゆったりとした服に、勇ましい金属と皮の鎧。

 年齢は僕より若いがあのメイドよりは上、大学生か高校生くらい?まぁ僕と同じくらいな見た目のエッダが40過ぎなのだから宛になるものではない。

「ドワーフ族の殿下、これは」

「そういった挨拶は良いよ。子どが居なくなったという話を聞いたんで一つ手伝いに来たんだ。人はいくらいてもこまる事はないだろうとおもってね」

「ありがとうございます」

 そういって族長は深々とお辞儀をした。鎧が机にあたり音を立てる。

「失礼。まだ慣れないもので」

 そういって恥ずかしそうに笑う。まぁ若いか新人なんだろう。そう考えておく。実年齢100歳とかでも驚かない心構え。


「そういう話は後回しに。どこを探してるんだい」

「とりあえず四方の森に人を送っています」

 そういって地図、といってもすごく曖昧に「この辺が山」「ここに岩」位のことがわかる程度の物、を数か所指さす。

「餓鬼は意外と遠くまでいくからなぁ。元気はあるのに帰ることを考えない。うちの近所の子供なんか家出だとか言って公国まで行きやがった。向こうの国境警備兵に捕まって送り返してくれたからよかったもんで」

 確かにそうだ。先ほどのエルフやドワーフの体力や身体能力を考えると、そのつもりがあれば子供といっても相当遠くまで行くだろう。

「えぇ、ですから森でも危険な地域をまず虱潰しに探している状態です。森の外まで行ってなければいいのですが」

「そうか」

 エッダはそういって親指をしゃぶる。考え事をするときの癖か。こういうおっさんいるよな。


 そして

「じゃぁ人間さん達は来て直ぐで悪いが森の外を見てきてくれないか。あんたらにしたら森の中を歩き回るよりいいだろう。エルフの子供なんか目立つから誰か見てればすぐにわかるはずだ」

「分かった。森の近くのやつも聞いてみるよ。牛は置いていくからみなに馬を貸してくれないか」

 おじさんはそういった。

「もちろんです。我が家の馬をお使いください」

「子供だからむやみやたらと連れまわしてもだめだろう。もし外で見つかったらそっちで保護しておいてくれ」

「わかった。よし行くぞ」

 相談が終わった後、エルフ族の長は近くに控えていたエルフの男に指示をだした。

 男はおじさんたちを連れて外に行く。エルフ領には馬がいるのか。

「じゃぁドワーフは森の捜索に加わろう。森の道沿いを中心に探すことにしようか。奥さんたちは、エルフの女と一緒に飯でも作ってくれ」

「ヘイ!」

「わかったました」

 体力自慢のドワーフはあの健脚で走り回る計画ということか。

 ドワーフ族長の息子、というだけあって頼りがいがある。

 エルフ領でそんなでかい顔していいのか、と思うがまぁエルフ族の長も周りも文句言ってないからいいんだろう。

 まぁつまり残ったのは


 「僕はどうしましょう」


 馬なんか乗れんよ。

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