35話 白馬に乗るエルフ
みんなで暇をつぶすためにそんな話をしていると、道の向こうから馬が駆けてきた。
白馬。
馬というのは速くて大きいんだな。やはり豚や牛とは違う。
「ありゃだれだろう?急いでるな」
人間の一人がそう周りの人間に聞く。その答えが出る前に馬が近づいてきた。
緑色の丸い帽子に長い金髪を一つにまとめた美丈夫。白馬の上だからジャケットの緑色と携えた真っ黒な弓が目立つ。
「ヤァ、やぁ」
その掛け声で馬を器用に止めて集団の前に降りてきた。
「皆様。申し訳ないが今日の狩りにエルフは参加できない。伝えることも忘れていたのだ」
「何かあったのかい」
皆を代表してエッダが聞く。身分的にはここで一番偉い。
「朝方から子供が一人どこかに消えてしまった。おそらく朝の仕事の際に森の方にでもいったのだろうが、朝食になっても戻らない。迷子ならいいが、けがや人さらいともなれば大ごとだ。だから領の手が開いている者がみなで探している」
「そりゃ大変」
ドワーフのおばさんは驚いたようにそういいました。
「あんたら、狩りなんかどうでも良いから子供探すのを手伝ってやんなさい」
「母ちゃん勝手なこと言ってはならんで」
「奥さんのいう通りよ。どうせあんたがた、狩りも適当に切り上げて酒飲むだけでしょ。なら子供を探した後に酒を飲んだ方が神様が喜んでくれるわよ」
狩りもしないうちから酒を飲んでたドワーフの旦那方は返す言葉もない。
「そうだな。エルフ族の方はどうかな?」
「手伝っていただけるならぜひともお願いしたい。森を探すのには人がいる」
「ならドワーフ族長代理として決めようか。諸君、死後に神のご加護を得るために今功徳を積もう」
エッダの一声で決定したようだ。
「人間の皆さんはどうする?」
「どうするったて?」
一応人間の代表となっているおじさんがそういって
「手伝うのは良いが、子供がいねぇって事ならまず衛兵さに伝えるのが筋だろ」
「それなら親方様にも伝えなきゃな。エルフ領とは言えこの領地の子供だで、それも筋だ」
「俺は手伝おう」
「俺もだ。家帰っても嫁さんに嫌味言われるだけだしな」
「それじゃぁ、俺が親方様と衛兵に伝えてくるからその馬を貸してもらえんかな?牛よりは早い。代わりにみなと一緒に牛車に乗って帰ってくれ」
「いや、そういった事なら一緒に行こう」
そういって二人はうまい具合に馬に跨った。
そこまで大柄な馬には見えないが、大人二人を乗せても平気な屈強な馬。さすがに先ほどより速度は遅いが、それでも牛より早い速度で駆けて行った。
「君はどうする?こんなことになっちまったけど、君はよそ者だからな。帰っても誰も文句は言わないよ」
「そんなこと言われて帰れると思いますか?手伝いますよ。早く見つけて昼前には終わらせましょう」
そういわけで、狩りは中止。迷子探しとなった




