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20話 そして仕事

「いただきました」

 食べ終わったあとはなんとなくの習慣でそのように唱える。

 料理長は二言三言、なにかよくわからない言葉をつぶやく。お祈りかおまじないの類かな。

 メイドは特に何もつぶやかないが、料理長に合わせて少し待っている。


「すまんな。片付けようか。そういえば君は何か仕事がきまってるのか?」

「特に何も、とりあえず豚小屋と家の仕事をなんかやらせようか、的なことは執事のおじさんから聞きましたが、たぶん今日決めるんでしょう」

「そうか。なら暇だろう。すこし手伝ってくれないか?」

と言われた。


 こういう頼み事は断れない。そういう人間。


 頼まれた仕事は芋の皮むきだった。

「手が冷たいから手伝い風情で皿洗いはしたくない」

とごねた所こっちに回された。

「兄ちゃん上手だな」

 一緒に皮むきをする新人にそんなことを言われた。

 新人、と周りは呼んでるがもう40過ぎ。ここで10年は働き一人で厨房を切り盛りすることもできる男だが、新しい新人が入ってこないのでいまだに周りから新人呼ばわりなんだとか。


 そんな状態だから芋の皮むきを新人がやってトップの料理長が皿洗いをしている今の状態は特におかしくない。


「得意なんですよ。こういうの」

 手先は器用なのだ。それが人生で役に立ったのは、小学校の図画工作の授業くらい。

 実際問題、異世界に来てここで初めて発揮された。あとは力仕事だったし

「そんだけ上手なら即戦力だなぁ。ジョンウェイさんに言って台所に回してもらえんかね?」

 即戦力、というのは彼なりのお世辞なのだろう。

 実際、私が芋の皮むきを一つ終わらせる間に新人は二つ終わらせている。

「どうでしょうね」

 確実なことは言えない手前、そんな曖昧な言葉で濁して私はもう一つ芋を取った。


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