21話 白ずきんの森
ある日のこと、一人の女が森の中で巨大な熊と遭遇した。
巨大な熊は言う、女に向かって、「人間よ、この森から出てゆけと」
女は恐怖し全力で逃げ出した、森の奥へと、何故ならば熊は森の入口に居たからだ。
熊は森の中心で待ち構えていて、やってきた女にこう言った。
「人間の娘よ、忘れ物だ」
それは白い貝殻の小さなイヤリングだった、女の母親の形見であり、もうずいぶん前にこの森で失くしたものだった。
女はお礼にと、歌を披露した、彼女は街でも有名な歌姫だった。
熊はその歌を大層気に入り、女を嫁にしたいと言ってきた。
女は、それを快諾した、彼女の住んでいた街はもうない、どこかの国の兵隊によって滅ぼされたのだ。
女は、この森に死にに来たのだった、失くした形見がどこかにあるはずのこの森で。
――――というのが白ずきんの両親の馴れ初めなんだとか。
いや正直何故熊が失くしたイヤリング持ってたいたのかとか、母親がすんなり熊、しかも喋る獣の嫁さんになってもいいとか思ったのかは、俺の知るところではないのだが、まあ二人は幸せだった、らしい。
そう、「だった」だ、二人はもうこの世にはいない、幼い白ずきんを残して、殺されてしまったらしい。
英雄気取りの狩人、名前はロビンとかいう野郎のせいで、そいつが白ずきんを奴隷にした張本人で、
式典に参列していた、五大英雄なる連中だという。
そうこの世界には英雄と呼ばれる、『この世界の勇者』が既に居たのだ。
女神からもらった情報によればだが、俺を召喚した際に、この召喚はあの……名前は忘れたが巫女さんに神託という形で知られ、そこに隷属という魔法陣を無理矢理組み込まれたとかでどうやら、俺以外の連中はほとんど洗脳された状態に近いらしい、まあいきなり召喚されたにしてもあの態度、おかしいってもんじゃなかったしな。
いや実際のところ、異世界召喚はおとぎ話でもなんでもなくなってたんだよな、最近神隠しとかニュースで流れてたし、ネットなんかじゃ異世界召喚されたけどみたいなのがよく書かれていたりした。
だからまあ、本当に召喚されたんだったら「マジかよスゲー」ってワクワクしてしまう年頃だったりするわけで、イケメン君の反応には俺も共感していた部分もあったが、それは巫女さん側の思考誘導だったというわけだ、まあその中で、中々言うことを聞かなかった俺が、本当に召喚されたものだと知った巫女側は、白雪を裏切って奴隷にした、あの魔法使い風の男、確か名前は白雪が言ってたけど・・・マーリンだったか?を使って俺を奴隷に落としたんだとか。
女神曰くやつの魔法は簡単に防げないものだとかで、奴隷落ちしてレクスに頼めばすぐに解放できるものという思惑で見逃したとかなんとか。
女神の力があれば、奴隷にならずに済んだらしいが、それをすると巫女にバレるとかで、それは避けたかったらしい。
女神を頼ると巫女に筒抜けになる、まあ元よりそんなつもりもないがな。
話が脱線したな……まあとりあえず今この森は死の森となっているようだ、奥に進むほど木々は枯れ果て、アンデット系モンスターが蔓延っていた。
ボス的な大型モンスターもいるようで二人で進むにはちょっと無理があった、白ずきんは悲しいそうに俯いている。
仕方ねぇから頭撫でて慰めておく、なんかずっと一緒に居る気になるが、こいつらとはまだ出会って二日ぐらいしか経ってない。
ここで絆を深めるのもいいんじゃないか、まあなんか昨晩なんかあってこいつらの俺への好感度はMAXになっちまってるらしいが、……なんか顔真っ赤だぞこいつ。
「はあ、……で、次はどこに飛ぶか、白ずきん、お前どっか良さそうな場所知らねぇ?」
「えっと、赤ずきんちゃんが昔住んでたっていう森が東に行ったあたりにあるらしいのですが」
赤ずきんのか……行ってみるか、しかしまた森かよ、今度は何か得るものがあればいいが。
俺はゲートを使い、東の森を見た――――おいおい、なんか燃えてんぞ真っ赤に。
俺は白ずきんを異空間に送還し、代わりに赤ずきんを召喚する。
「ふえ?」
間抜けた声を出す赤ずきんの手を取り、俺は急ぎ、転移する、赤ずきんが住んでいたという森へ――――
白ずきんの過去の話プラス、感想で説明不足というか、まあ出しどころを見計らっていたんですけど、ここで出してみることに。
といいつつ、五大英雄とかその場の思いつきでございます。
この物語の八割は後付け設定なので追々狂ってくるかもしれませんが、その場合は修正を入れていきます。




