12話 年寄り、怖い。
ネーミングセンス壊滅。
赤ずきんが頭巾をかぶり直した辺りで咳払いをして、静粛にしろと言ったらみんな黙ってくれた。
「じゃあ、次行くぞ――――白ずきんでいいよな、はい契約な」
もはや単純作業、と言わんばかりの暴挙――――
赤ずきんの頭巾を白くしただけの似たような容姿の少女――――こいつも耳付いてるな、頭に手を置いたときにそんな感触があったので、つい、白ずきんの頭巾を取ってみると。
……熊?
「な、なにするんですかっ!?」
「いや、耳ありそうだったから、つい……で、お前さんは何の子供なんだ?」
ある夏の日のこと、ここから西に大きな森があり、白ずきんの母親(人間)はその森に薬草を取りに来ていたそうだ。
ところがその日彼女は出会ってしまった、森の主たる、巨大な熊と。
「西の森の熊じゃと? ……ではお主はダルガルーグの娘なのか?」
百番は何か心当たりがあるらしい。
百番が色々と、長話を語りだしたので、要約すると。
――――西の森の精霊王、ダルガルーグは森の王者たる熊の姿をしている。
ただこれだけのことを三十行ぐらい語りやがった、これだから年寄――――また睨まれた。
んで白ずきん曰く、その熊さんは童謡の森のくまさん、あの歌詞のまんまのやり取りを白ずきんの母親とやったとかで……
(ちなみに森のくまさんという童謡はこの世界にはない。)
何をどうしたらそうなるのか、結婚して白ずきんが生まれたんだとか。
つまり半霊半人って奴かこいつ。
「まあ、深くは追求しない、さっきみたいに中断されたら面倒だしな」
さて、あと二人もいるんだ、さっさと済ませてしまおう。
そういえば、さっきから全く一言も発していない奴がいる。
十九番――――若草色というかまあ緑髪で表情もない、服装に至っては正直……葉っぱだ。
いや葉っぱ一枚とか三枚とかそんなんじゃないぞ、決して、なんっていうか?
葉っぱのドレスっていうか、森の妖精さん的な。
「えーと、十九番……お前って何なの?」
ストレートに聞いてみることにした、まあ喋れるのかすら疑わしいんだが。
「え、僕?……植物?」
はい、僕っ娘ってやつですかね、それとも実は男とか?
いやレクスはみんな女だって言ってたしな――――
「そやつは、まあ、森の女王アルラ・クウネ、大昔から生きている半花半蜘蛛の化物よ」
百番、そんな昔も知っているだなんて一体あなたはおいく――――睨まれ以下略。
いやそれってどうなんだ? やっぱあだ名つけるべきだよな。
「んじゃ、花子でいいや」
頭に手を置き、契約の魔法陣を刻む。
「ハナコ……花の子、まんまだね」
よくわからん表情を浮かべているが、満更でもないらしい。
「じゃあ後、百番だけだな、んじゃお前はバ――――」
ドンッ――――
百番さんの足踏みである、なおこの際結構な揺れを観測……店内の品物が一斉に崩れたぞ、どうすんだアレ……
「死にたいのか?……小僧」
おお、怖い怖い、まあ別にそういう意味ではなかったが、bで始まるのはアウトらしい。
「じゃあフィージュ」
「意味は?」
ねぇよ、そんなもん、我らが日本の誇るFUJIをFIJUと並び替えた感じなだけである。
まあその二つの双丘に免じて、この名を贈ろうという。
「なるほど要するに、やましさと山をかけていると」
「まあ、そういうことだな……ってさっきから気になっていたが、お前人の心読めるのか?」
「ふむ、まあ大体はな」
なんてこったい――――後で全力土下座か。
何にしても、今この時をもって俺のギルドメンバーは揃ったのであった。




