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プロローグ
「お母様、お母様!」
「うるさい小娘!クラウディアの魔力に集中できん!」
白い虎の尾に払われ、瓦礫の上を幼女が転がる。
大きな虎は人型になると、次々と大きな岩を退けていく。
幼女は怪我をしたのも気にせずに、瓦礫を動かしていく。
手から血が滲んできても、全く気にすることもなく、石を持ち上げる。
目の前を埋め尽くす瓦礫から、母親のか細い魔力を感じるからだ。
瓦礫の中から一人の女性の姿をみつけると、虎は駆け寄る。
「クラウディア、何が…。」
唖然とした虎の目の前には、今にも消えそうな波動の魔力しか感じられない幼女の母親が、大怪我をして横たわっていた。
母親はゆっくり目を開けて、弱り切った声で虎に話しかけた。
「あの子をお願い…。」
この日この幼女の母親は死んだ。幼女の幸せな日々は暗転していった。




