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9話 実力の確認

ちょっと更新時間を変えてみた

 明くる朝。

 朝食を終え人心地ついた後、榛香とエルフィリアは雅に連れられて家の裏手から山頂へと続く山道の途上に居た。


「さて、昨日話した通り今日はエルフィリアさんの正規退魔執行官の資格取得に向けて実力の確認と指導を行いたいと思います」


 そう言い、途中から道を逸れ足を向けたのはしめ縄で入口を封鎖され結界を施された洞窟。

 ここは代々御巫家が管理する封印地であり修行場の一つ。

 入口から数メートル先には外の光が届かなくその先には暗黒の世界が広がっている。

 雅は躊躇なくその中に身を滑り込ませると素早く印を組むと術式を編み上げる。


【招聘術・焔魂(ほむらだま)】異界より炎を纏う式神を召喚し使役する陰陽術。

 大して力のある式神では無いが周囲の明るさに応じて光量を調節してくれる頭の良い式神である、今回のように灯り目的で使役される事が多い。

 焔魂によって照らされた回廊を抜けると大きく開けた空間に出る。


「それじゃあエルフィリアさんはそこの均された床の中央に立って。実力を測るのに色々な方法があるけれど今回は単純に実戦形式での動きを見る事にするわね」

「雅様か榛香と戦うのですか?」

「その方法も有りではあるのだけれども対人戦はまた今度ね。私たちは基本的に人とやりあうことは少ないから……準備が出来たら合図をお願いね」


 エルフィリアは広間の中央に立つと雅に向けて合図を出す。


「いつでも大丈夫です。お願いします」


 合図を聞き届けると雅は意味深に微笑み片隅に設置された祭壇に歩み寄り、何やら動かし始めた


「そうそう、エルフィリアさん。今回は簡単なテストのようなものとは言うものの……油断すれば怪我では済まない事になるわ」

「えっ?」


 途中までは穏やかに話していたものの纏う空気を一変させ物騒な事を言い始めると辺りに不穏な空気が立ち込め、嫌が応にも警戒態勢をとらされる。


「今回の相手は本物の妖……私たちが対峙すべき相手です。直接交え己が力を示しなさい」


 話しながらも祭壇に掛けられた封印を解除する手は淀みなく動かされ、徐々に辺りに瘴気が満ち始める。


「榛香、いざという時は何時でも援護に入れるように準備はしておきなさい。二人で手に負えないようでしたら私が対応します」


 そうこうしているうちに広間の瘴気濃度が濃くなり、低級霊が顕現し始める。


「本来ならば元凶を断つ為に封印の事も考えて動くのですが、今回に限っては戦闘だけに集中して下さい。さぁ、早く対処しないと妖が増える一方ですよ」

「くっ……【魔力の弾丸(マナブリッド)】【射出(ショット)】…」


 数が増える前にエルフィリアの手から放たれた魔力弾が片端から撃ち落とす。

 速射性に優れた魔力の弾丸は的確な狙いで低級霊が現れた先から撃ち抜き消滅させ増加を許してはいないが徐々に濃くなっていく瘴気の中、他のモノが顕現し始めてきた。


 悪意ある精神体の妖、怨霊や悪霊と呼ばれている存在。

 低級霊との違いは、怒り、恨み、妬みといったおおよその人の持つ負の感情を露わにした存在であり、その目的は唯々生者に対しての悪意、害意、殺意だけである。


 低級霊は意志を持って現世に悪影響を与える存在では無い。

 単体で存在するだけならば何の害も無いのだが、存在するだけで僅かな瘴気を発する為に瘴気濃度の増加を促し続く被害の火元となる。

 自ら人に襲い掛かって来る事は稀であり一律で妖としての等級はD級とされている。

 対して怨霊はその性質や形状が多岐に亘る為に等級審査もD~A級と幅広い。


「怨霊……だけどD級ね。明確な意思を持って襲って来るけどそれ以外は低級霊と差して変わらないわ」


 雅の呟きが聞こえているのかは解らないがエルフィリアは新手となった怨霊に対しても焦る事は無く、落ち着いた様子で対処している。

 雅や榛香が扱う陰陽術と系統が違う為に詳しくは解らないが術式の展開速度、精度は一流であるB級以上の一流と呼ばれる退魔執行官と比べても遜色の無い練度で纏まっている。


 戦闘開始から今までエルフィリアは妖が近づく事さえ許さず対処していたのだが、ここで変化が訪れる。

 先程の怨霊に隠れて居た様だがC級以上の妖である。

 青白い炎の塊が中空を駆けエルフィリアに向かって降り注ぐ。

 着弾と同時に土煙が上がり視界を閉ざす。

 次いで顕現するのは精神体の妖では無く複数の物質顕現した人型の妖。

 土煙の中弾幕が途切れたのが幸いと、炎を放った怨霊を残し耳障りな奇声を上げて一斉に土煙の中に駆けて行く。


「C級の怨霊に餓鬼ね。最低でもこれを対処できなければ見込み違いだけど……」


 あの炎でやられる心配はしていなかったものの土煙の中どうするのかという予想はいい意味で裏切られた。

 すぅっと空間の揺らぎと共に怨霊の背後にエルフィリアの姿が現れ、そっと薄く光る右手で撫でる様に触れると怨霊は何の抵抗も無く浄化されていった。


「……【神聖なる御手セイクリッドアンカース】…」


 手を止める事無く空いている左手を土煙に向けると別の術句を唱える。


「……【地を這う雷光グラウンドライトニング】…」


 地面を這うように進む稲妻がその鎌首を枝分かれさせ餓鬼の集団に襲い掛かる。

 眩い閃光が洞窟内を照らし餓鬼は断末魔の悲鳴を上げ黒い泡沫となって消え失せる。


「凄いわね、転移術をあんなに簡単に使えるなんて。術選択の判断力、立ち回り……とりあえずは合格、かな」


 戦闘能力もさる事ながら気になる点が一つある。

 瘴気の増加量が思ったより少ない、というよりエルフィリアの周囲の瘴気が自然と浄化されている点だ。

 こちらの世界でも似た体質持ちが存在する、聖者もしくは聖女と呼ばれる存在である。

 エルフィリアは恐らく聖女と極めて似通った性質なのだろう、妖と対峙するに当たってその性質は非常に有利に働く。

 雅は純粋に戦闘能力の確認をするつもりだったので思わぬ誤算だったが、問題は無い所か思わぬ拾い物といった所だろう。


 結果は上々、すっかり掃討された空間を横目に雅は上機嫌で祭壇の再封印に取り掛かった。

言い訳・・・

年度末仕事が忙しいです。花粉症が辛いです。鼻と目が、目がー(ムスカ風

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