第三話 ごとうち1
隔日こーしん。
テストがんばってます。
「「ごちそうさまでした」」
パチンと手をあわせる音が響いた。
「これ以外の食べ物って、残ってないのかな」
ぽつり、少女がこぼす。
世界が変わってしまう前、彼らはしっかりとした食事を取っていた。
野菜、魚、肉……
「人間どころか、生物もいないじゃん。ここ」
片耳で聞きつつ、少年はレーションの空き缶を拾った。
「そうだな」
振りかぶって投げる。
カラン――コラン、カタン。
壁に当たって止まった。
「そもそも雑草すら生えてないじゃん」
そう、緑色はこの世界に存在しない。
少なくとも、地上に上がってきてからは一度
も。
「……雑草食べたいのか?」
少年は眉をぐっと近づける。
少女は肩をすくめる。
「味が決まってるレーション食べるぐらいならね」
ため息を一つ。
「……正直こむぎこメインのほんのりとした味付け、飽きたの」
少年がカバンに手を突っ込んだ。
かき回してから引っ張り出す。
「じゃあ、この『ご当地レーション』とか言うふざけた食べ物食うか?」
たしかに表面には『ご当地レーション』と、そうかいてある。
「……どこで見つけたのそれ」
「昨日の昼頃、民家で。面白そうだから拾ってきた」




