21世紀のニュースより抜粋
この話を読む前に
【大規模VRハザード発生!犠牲者の数は数万に!!】
VR業界最大手で世界的企業であるBC『Blayn-Communication』社VR技術の粋を集めた大規模VRMMOゲーム『エターナル・クエスト・ファンタジア』内において、大規模障害が発生。
被害者は十万以上、犠牲者の数も数万に及ぶ未曾有の大災害に各国政府も対処を迫られている。
このVRハザードは、『エターナル・クエスト・ファンタジア』にログインした後でログアウトできなくなるというもので、『エターナル・クエスト・ファンタジア』内で死亡するとプレイヤーも脳死状態に陥り混乱が発生。
『エターナル・クエスト・ファンタジア』ウィリアム・ペンフィールド開発主任の自殺で外部アクセスが遅れ、事態が回復した時には数万もの人命が失われるという近年みない大災害となった。
各国政府はこれを受けて共同査察団をBC社に派遣し、BC社もこれを受け入れる方針を表明。
遺族への賠償など経済的損失は数兆円に及ぶ見込みでBC社の株は急落したが、VR技術の根幹特許を押さえ生活や経済活動において欠かせなくなったVR技術を開発し続けてきたBC社そのものはなくす事はできないと見られており、賠償などを行う整理会社とVR技術開発維持管理を行う新会社に分割する案が浮かんでいる。
【各国にてVR規制法成立 VR監視機構立ち上げへ】
BC社『エターナル・クエスト・ファンタジア』のVRハザードによって進められていた各国のVR規制案がまとめられ、国際組織『VR監視機構』が発足する事となった。
元々、VR技術の進展に伴い、それを悪用する犯罪も多発しており、各国警察の対処のみではどうしても後手後手に回る事が多かった。
だが、『エターナル・クエスト・ファンタジア』のVRハザードが開発主任個人の犯罪である事が明らかになるにつれ、各国ともにこの問題を放置する事はできないと判断。
BC社をはじめとするVR開発企業と、世界各国100ヶ国以上が集まった『VR相互運用・規制監視条約』によって国際機関『VR監視機構』が成立。
第二の『エターナル・クエスト・ファンタジア』を防ぐべくVR監視機構代表ジェニファー・エインズワース代表は……
【ロー・ヘイヴン law haven】
ロー・ヘイヴンとは、『エターナル・クエスト・ファンタジア』のVRハザードによって締結された『VR相互運用・規制監視条約』対象外の国や地域の事で、タックス・ヘイヴン『租税回避地』の言葉をもじって作られた。
VRの進捗による経済活動はもはや無くてはならない所にまできており、同時にマネー・ロンダリングやソース・ロンダリングの問題も顕在化させていた。
『VR相互運用・規制監視条約』によって世界規模にて監視と規制の網がかけられると、タックス・ヘイヴン諸国・地域の一部がこの条約批准を拒否。
その結果、アンダーグラウンドの資金や情報が流れ込んで尋常ではない経済発展を遂げると、途上国の数カ国が『VR相互運用・規制監視条約』を脱退。
先進国は開発援助を約束してこれらロー・ヘイヴンの撲滅を図ろうとしているか、現状はあまりうまいっていない。
【VRMMO開発者変死 自殺か?】
本日未明、都内某所にて会社員栗島栄治さん35歳が路上にて倒れているのを通行人が発見、死亡が確認されました。
ビルから飛び降りたものとみて警察が調査を進めています。
栗島さんは、VRMMOゲーム会社『フューチャーフロンティア』にて新作VRMMO『ユグラドシル・クロニクル』を製作しており、『エターナル・クエスト・ファンタジア』のVRハザードによって開発が中止。
『フューチャーフロンティア』社も資金繰りが悪化し倒産しており、警察は関連性を調べています。