2-5.出会い
夕食後、エリオスに案内された2階の客間でベッドに腰掛け、フィオナは大きな溜息を一つ吐く。
今日はあまりに、色々なことがありすぎた。
(エリオス様が居てくれなかったら――今頃、どうなっていたか…)
エリオスが力強く握り返してくれた右手を、無意識に見つめるフィオナ。
と。
窓の外から微かに聞こえた鳴き声に、フィオナは顔を上げる。
カーテンを開けると、バルコニーの上にちょこんと腰掛けたウォルナットと目が合った。
「ウォルナット!こんな高いところまで登って来たの?」
ガラス戸を開けるなり、ウォルナットはするりと部屋へ入って来る。
ベッドの上にぴょんと飛び乗り、身体を丸めて寛ぎ始めた。
そんな様子に、フィオナもくすりと微笑む。
「ウォルナット、今日は私と一緒に寝てくれるの?」
そう言って柔らかな毛を撫でると、ウォルナットも尻尾で返事をする。
うとうとと夢見心地なウォルナットを優しく撫でてやりながら、フィオナは彼と初めて会った嵐の日に、思いを馳せた。
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その日は、夕方から大雨の予報が出ていた。
ハインツ教授に森林の植生調査を頼まれていたフィオナは、午前中の講義を終えるなり急いで観測所に向かった。
雨が降る前に済ませられれば、と思っていたが、予報よりだいぶ早く、昼下がりにはポツポツと降り始め。
そしてあっという間に、滝のような土砂降りになった。
フィオナは慌てて建物内に避難したが、窓の外に、木の精たちのざわめきを感じ取る。
(――?)
“同調”の呪文を唱え、耳を澄ますと。
「――森の中に、人がいるの?こんな嵐の中に…!?」
フィオナはすぐさま、木の精たちに言葉を返す。その人物を、この観測所へ案内してほしい、と。
レインコートと旗を手に、フィオナは嵐の中へ踏み出した。




