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03 アプリ


「って……言うか。アナタの前で『外ズラ』の私を発動してももう意味無いか……ごめんね鹿芽クンつい癖で」


「え、ええ」

(癖なんだ……)


(あれって癖なのか……)


(え、ヤバ)

呆けた顔をしながら3人は久野の態度の変化に疑問に思う。


「あんがとねー、鹿芽クン。おかげでこいつらに言いたいこと全部言えて最高だったわー〜 じゃ、バイバイね二人とも」

親指でクイッと陽キャ二人のことを指さして悪態をつき、久野さんは僕にそうお礼を言った。


(僕何もしてないけど……いいキッカケになれたのかな?)


「えへへ、あのえっと。ど、どういたしまして」

仏頂面でさえ可愛い久野さんにお礼を言われたので僕は律儀間にそう返事した。


「ふっ、アンタも気をつけなねー 女の子って本当は怖いからね♪ あは」

可愛子ぶりっ子して僕にそう僕に注意してくれる。

何故か僕にだけは、久野さんの態度が少し優しい気がする。


……うん、少しだけ。


「どいてくんない? ジャマなんだけど」


「は! はひぃいい!!!」


「わっ!! ヒィいい!!!」


久野さんが覇気を纏いながらぶっ倒れている陽キャ2人の前を通ろうとそう言うと二人は人間に怯える小動物の様に震えながら道を開けた。


「じゃねー、あ。あとこの事言いふらしたらそんときはアンタ達。『ぶっ殺す』からよろしくね きゃはっ」


そうホラーな警告をボク達3人に向けて言い放ちスタスタ受講室から久野さんは華麗に出ていった。


「……ふぅ……とりあえず生きてる良かった……」

安堵し、自分の胸を撫でる僕。


「おい……響木大丈夫か?」


「ああ。何とか……心と脳は完全に破壊されたけどな……俺って自分で心も身体もイケメンって思ってたけどそんな事無かったんだな……」


「おい、ナルシで狂人無敵な最強の自己肯定感で生き抜いてきたお前だろ、今更そんな事言うなよ!!」


「フッ……そうだな。俺が俺で居られる様な、位の範囲でさっき久野さんに言われた事改善してみるよ」


「そうこくちっちゃな!! 響木ィ!!」


(なんだコイツら……仲良いじゃん……)

僕は直ぐに受講室から退室せず、何だかんだでこの2人の様子をずっと見てしまった。


「それにしても……やばいな久野のやつ……」


「ヤバかったな……ただの可愛くて大人しい子かと思ったがアレは……」


「くはー!! 女ってこえー!! 今度からグループに加える女は吟味しようぜ、響木」


「ああ。そうだな」


「それにしても早めに久野の正体わかってよかったよあんがとな。えっと、鹿芽」


「はっ、はひい!!」


「プッ!! やっぱりお前陰キャだなあー〜なんだよはひぃって」


「おい、だから弄るなよ……みっともないって大村」


(やべ、これまた喧嘩始まるぞ)


「ああん? だとコラ……響木ィ!!」


(ほらほら)


「全く……大村……君ってやつは」


(ヤバいまじで勃発するぞこれ……)


「あはは!! 2人とも良かったですね!! 早めに久野さんの正体見れて。では僕はこれで失礼します!!」


__ダッ!!


「お、ちょ待てよ!! 鹿芽ェ!!」


『しっ、失礼しまああぁあす!!!!』



運動神経の悪い鹿芽であったが、恐怖感のおかげで勢い良くその場から逃げる事に成功した。



※ ※ ※※※ ※ ※※※※※※※※※※ ※※ ※



__そして。


丸椅子の上で人目もはばからず外で大の字の姿になり「僕はもうダメ」と呟く大学生デビューが失敗した青年が一人つぶやく場面へと時は戻る。


「どうしよう……」

(今日も友達作れなかったなあ……しかも女の子の友達だけじゃなくて男の友達さえできる気配ないや……)


「ええい、もう今日は残りの授業サボっちゃえ」

彼にしては珍しい学校を『サボる』と言う選択を取る。


きっとさっきの1件の精神的ストレスが抜けないのであろう。


「はあ、また音楽でも聞いてここでふて寝でもするか……」


そしうしてケータイを再き音楽アプリを開くととある広告が目につきそれに謝って触れてしまう。


(やべ……めんど広告触れちゃった)


「ん? さいつよマッチングアプリ『強制マッチアプリ ラブップリ』? なんだコレ、クッソ怪しいじゃん……」


『本アプリは普通のマッチング性のアプリとは訳が違います、それは『強制』で異性をマッチしデートをしてもらう最強のアプリです』


「Pr強気だな……相当運営、自信あんのなこのアプリに」



__そして、『初期費用5000円でとりあえず絶対異性に会えます』の触れ込みが目に付いた。


「ふーん絶対に、か……」



怪しいとバカにした鹿芽だったがふと目に入れたそれが頭から離れないのであった__。


その広告を無視しようとする心とは裏腹に課金のプリペイドカードを買うためにあしは近場のコンビニへと進んでいた……我ながら矛盾した行動だ。


__数日後、慣れないアプリ課金をし、自動ランダム強制マッチングで取り付けた女の子とのデートが決定した。


えーっとマッチング相手の仮名は『onpuni』さんか。


◇____________________◇


(『よろしくお願いします『sika sika』と申しますマッチ系のアプリ初めて使います仲良くしてくれたらなと思います』)


__ティロン。


(『よろしくお願いしますマッチありがとうございます『onpuni』です!! 私も初めてなので(笑)大丈夫ですよ!! 気楽にだらだらしゃべりましょ』)


◇____________________◇



メッセージはとっても元気でしかもそこはかとなく清純な感じの丁寧な文章を送ってきて僕は一瞬でその子に心がときめいてしまった。


話もよく合うし彼女はアニメも大好きらしい、話しているアニメのジャンルは朝やっている女子児童向けの作品結構コアなそうのファンが付いているんだけど近場で語り合える人が居なく。


『onpuni』さんとそのアニメを激しく語れるこの時間が毎日友達が居ない大学へ通うつまらない人生を救ってくれる毎日の癒しとなり、僕にとっ『onpuni』さんとのメッセージのやり取りがつまらない僕の日常を救ってくれる唯一の癒しの時間であった。


そしてまた僕は帰宅後、スマホを取り出し今日も『ラブップリ』をタップしアプリ開いた。


◇____________________◇


(『onpuni』さん!! 聞いて下さい明日の『きら星妖精プニプニティ』新キャラ登場ですって!!)


(うん!!知ってるよ『sikasika』クン!! その子のキャラデザ激ヤバじゃない!? 絶対敵幹部から味方になるよその子www わたしのプニティ脳がそう囁いてるww)


(ですよね!? このパターンでプニティ化したら絶対クッソ可愛いっすよねこれw)


(激ヤバたんだねぇ……どうしよ、プニティ化したら私に私にぶっささるかもこの子……)


◇____________________◇


今日も『onpuni』とのチャットに癒される晃也。



「あしたは、ついに『onpuni』さんとのデート ふひひ あー楽しみすぎるぅ眠れないよ……」


◇____________________◇


※__ティロン。


(「じゃあ寝るね、今日も楽しかったよ『sikasika』クン」)


(「はい、では明日楽しみにしています」)


(「うん、じゃ明日!! おやすみっ!!」)


二人は『プニティ』談義につい時間を費やし気づけば夜になっており、遅刻せんと、早めに目を閉じ就寝する。



そして__彼は出会う。


「お待たせしましたー!!えっとこの木の前が待ち合わせ場所だよね 白の帽子が目印の女の子……あ!居た もしかして君が『onpuni』さん?」


「きゃは!! 待ってたよん♪ 「sikasika」クン!」



めちゃくちゃ可愛い声でこちらを『onpuni』さんが振り向き輝く笑顔を見せる。__見せるのはいいんだけど……。


「へ!?」


「ひゃ!!」


先日、大学で見たあの彼女とよく似た……と言うか。


全く同じ顔の美少女久野アリサと。




「え」


「え……」


『アンタ!?』


「あ、アリサさん!?なんで貴方がマッチングアプリなんか使って!? ちょは!? 『onpuni』さんがアリサさん!?!?え、どうなってんの??」


『ちょ、バカ、アンタ黙りなさい!!』



僕とアリサさんの二人の物語はここから始まった__。


そうここから。




つづきます!!そんなに長くならないと思います。

本作は集中連載短編にまとめたいと思います。

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