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天下布愛! ~男少女多のあべこべ世界、賭けるは男子の戦国ゲーム~  作者: 橘 ミコト
第二章 それは『愛』だっ!――vs毛利家編

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3-16. 宗麟抜きで

「肥大させた領地の端を三方向から攻める。宗麟様の策を簡単に言えばそういう事よ。だから、私たちが動くのはまだ()の」


 また、大内家からの離反者が少ないのも大きかった。


 ここまでボコボコにされれば、毛利家へ心変わりをする者も通常なら多く出てくる。

 しかし、宗麟の献策によって、大内家中の心の安寧が保たれたのだ。


 宗麟の威光である。


 領地を奪われたのではない。

 渡したのだ。


 そう考えられる根拠と解決策を宗麟は大内家へ提示した。


 逃げる必要などないのだ。

 実際の動きは逃げの一手であるが。


「そろそろ毛利さんも内政に舵を切ると、お姉さん思うな」

「そうですねえ。もっと東西に延びてくれた方が嬉しいんですけど、まあ、そろそろ潮時ですからね」

「つーかさ、三方面戦で勝っても、そのまま領地を毛利が返して来たらどうすんだ?」

「それはそれで良いみたいよ」

「何でだよ、鑑理あきまさ?」

「宗麟様は『武』を以って『覇』と成すつもりはないって事」

「あー、うん。私には分からん」

「貴女ねえ……。何のために『毛利もうり隆元たかもと』を調略したと思っているのよ」

「え、内乱でも起こすんじゃねえのか?」

「それだと宗麟様が悲しんじゃうわ。お姉さん的に不可」

「何でも対話への布石らしいですよー」

「対話ぁ……?」


 道雪は不思議そうな顔だ。


 尼子あまごとの挟撃に隆元たかもとの寝返りがあれば恐らく勝てる。

 いや、十割勝てる。


 ただし、領地をそのまま返され争いが続いたら意味がない。


 『天下布愛』の理念を理解してもらい、今後は協力体制を敷きたいと宗麟は考えていた。


 そのためには、宗麟が直接元就(もとなり)と話すのが最善と判断した。


 そのための隆元たかもとだ。

 当初は、だが。


 今や芸能活動で人知れずPとして動いている彼女の事など、大友家の皆は勿論知らない。


 宗麟としても、隆元たかもとに挙兵してもらい、輝弘てるひろには協力して欲しい旨しか手紙には記されていなかった。


 義隆よしたかの閃きと彼の拡大解釈によって、大内おおうち輝弘てるひろはアイドルとなったのだ。


 予測できる訳がない。


「つまり、私たちは義長よしなが様たちを匿いつつ、後ろに睨みを利かせ、長門ながと方面から毛利を攻めるって事よ。道雪であればこれ位で十分ね」

「ああ、そんくらいなら丁度良いわ」


 鑑理あきまさの皮肉が通じない。

 いつもの彼女たちである。


「ア、そうでス。鉄砲届きましたヨ?」


「早いわね!?」


 唐突に、何でもないように、大切な事を口走るザビエルだ。


「本国からではなク、南の方にいる同郷の方々から安く譲ってもらいましタ!」

「ザビエルさんは商人にもなれそうね。お姉さん感心しちゃう」


 あっけらかんと笑うザビエルに長増ながますも微笑む。

 それで済ませて良いのだろうか。


「宗麟様の御威光に皆が平伏しましタネ!」

「え、南って、どこ……?」

澳門マカオデスガ?」

「それでも早いわよ!?」


 遂に日乃本を飛び出した。


 鑑理あきまさは喉から絞り出すような息を吐く。


「アア、それト」

「まだあるの!?」

「お手紙、届きましたヨ。受け取っておきましタ!」


 ザビエルはドヤ顔で懐から書状を取り出す。


 ただ、彼女の服は和服ではない。

 修道服だ。


 無理矢理に胸元へ突っ込んだのか書状は皺くちゃ。

 更に日乃本では中々お目にかかれないサイズの胸がバルンッと揺れる。

 谷間にでも挟んでいたのだろう。


「一度やってみたかったんですよネ、懐からスって取り出すヤーツ!」


 とっても良い笑顔!

 全く「スッ」というが形ではないが。


 鑑理あきまさの額に浮かぶ筋が増えた。


「どうどう、鑑理あきまさ殿。ザビエル殿はまだ日乃本に来て日も浅いですし」

鑑速あきすみ、これは文化の違いなの? 外国ではこれは無礼ではないの? それともデウスとか言う神が許すって言うの?」

「ぎにゃぁぁぁ! 鑑理あきまさ殿が割と本気で怒ってるっぽいですよぉ!?」

「とりあえず文を読んで落ち着かせましょう。ほら、鑑理あきまさ義鑑よしあき様と一緒に読みましょうねー」

「読み聞かせかよ」

「道雪殿、お口閉じて!」

「何だよ、この運び!?」


「んー? これ、宣戦布告状じゃないのかのう?」


 そんな中。


 義鑑よしあきの言葉で皆が固まる。


 もしそれが本当なら由々しき事態だ。


 このタイミングで宣戦布告をする御家など、


「早すぎるわ!?」

「向かうから来るとは、お姉さんも予想外ねえ」

「悪知恵が働くなんてもんじゃないですよ!? 嫌がらせですよ!」


「ぴーぴー喚くなよ、五月蝿えな」


 ざん


 道雪が立ち上がる。


「敵が来たんだろ? なら倒しゃあ良いだけだろが。喚くな」


 既に戦闘態勢。


 バトルジャンキーは止まらない。


 届いたのは、毛利家から大友家への宣戦布告。


 宗麟がいない広間には不安がのたうつ。


「迎え撃つなら……門司もじ城、かしら」

「時間稼ぎしないと不味いですもんねえ。大内家への救援物資を少し回しますよ」

「宗麟様への連絡は、もうお姉さんが出しておいたわ」


 けれども、そこは加判衆かばんしゅう


 ここぞと言う時は皆、出来る人となる。


「ワタシも行きまース!」


 一人、テンションの違う人が紛れているが。



「さーてと。毛利のお手並み、拝見と行くかぁ……!」



 宗麟抜きで、大友と毛利の『戦』が始まる!

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[気になる点] 宗麟は、軍の指揮ができるのだろうか?
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