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魔封じの石

 私がある日図書館で出会ったアリーという名前のかわいらしい蜘蛛さん。

 大きさは私の何倍もあるのだが、話しているとそんなことも忘れてどこかのお嬢様と話しているようだった。


 「そう言えばアリシアさっき私に聞きたいことがあるって言ってたけどそれな何なの?」


 「ああ、そのことはまたあとで聞くわ。それよりなぜあなたがそんな姿でこんなところにいるのか話を聞いてもいいかしら」


 私の問いかけにアリーは何のためらいもなく口を開いてくれた。


 「私はもともとどこにでもいるような小さな蜘蛛だったんだ。それである日この王宮のまさにこの場所を通りかかった時に、どこからか魔法を唱える声が聞こえたから近づいてみるといきなり光に包まれちゃったんだよ。

 そして、その魔法を使った人は......」


 「死んじゃったのね。でもどんな魔法を使ったのかしら?」


 「それはすでに分かっているわ。私がかけられたのは巨大化の魔法、しかも二度と解くことができないように二重魔法がかけられているの。

  魔法をかけられた当初は何の変化にも気が付かなかったけど、少しずつじぶんの体が大きくなっていることに気が付いたの」


 「まぁあなたも運が悪いわね。たぶんその魔法使いは練習かなんかで使ったけど想像以上の魔力消費に気づかなかったんでしょうね。それでいつからここに住んでいるの?」


 「そうね、いつからかしらね。もう二十年は経つかしら?巨大化は十年ちょっとで止まったわ」


 「そうなの。で、その言葉はどうやって覚えたの?」


 「そんなの、こんな長い間住んでれば普通に覚えるわよ。最近はこの部屋の本も全部読み終わったし、暇をしていたんだけどね。

 ま、私の昔ばなしはここまでとして、さっそくあなたの相談を聞いてあげようかしら。人に相談してもらえるなんて初めてだからとっても楽しみなのよ。

 それで、あなたの悩みは何なの?」


 「じゃあ聞いてもらうわ。あなたは魔法使いの魔力が使えなくなる毒かなんかを知っているかしら?数日まえ毒矢にあたって寝込んでいたんだけど、それからというもの全く魔法が使えなくなってしまったのよ。

 今日ここに来たのはその手がかりを探るために来たのだけれど、本よりも優秀あなたは何か知らないかしら?」


 私の問いかけにアリーはう~んとうなっていたが、何かをひらめいたようで近くの本棚から何やら本をあさってパラパラとページをめくり始めた。

 あんなとがった手で、すごいわね。


 「あったわ、ここを見てこれなら可能性はあるわよ」


 アリーが見せてきたのは、魔封じの石のページだった。そこには使い方などが詳しく書かれていた。その中で一番使われている方法というのが、飛び道具の先端にくっつけて、体内に埋め込むという方法だった。

 おそらく私が使われたのはそのせいだろう。矢についていた毒はダミーどいうわけね。


 「それで治す方法は書いてあるのかしら」


 「ええ、載っているけどこれまたなかなか難しいわ。特にあなたのような友達作りの苦手な人にはさらに難しいわね」

 

 「アリーったら失礼しちゃうわ。私これでも友達は......あなたしかいないわね」


 「ここに書いているのは、大切なものを守りたいという強い気持ちが一番の解決方法と書いてあるわ」


 「大切なもの...ね。守るって言ってもそんなことめったに訪れることはないね。どうすればいいかしら」


 「どうするって言っても、ただひたすらに待つしかないわ。気長に行きましょう気長に」

 

 「他人事だと思って、とりあえず今日は帰るわ。マレから考えないといけないこともたくさんありそうだし」


 「そうね、今日は楽しかったわ。またいつでも来て頂戴、歓迎するわ」


 私はアリーの見送りを後にし図書館兼物置を出た。


 「さてとにかく何かいい方法を考えないといけないわね。

 その前に明日はあの埃だらけの部屋を綺麗にしましょう」

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