闇
「この大会を楽しみにしてくれている人たちを、この大会に参加している人たちには悪いのだけれど、そんなにのんびりもできないのでね」
私は小さくそう言ってスタジアムの真ん中で武器を持っていない手をかざした。私の最近得意としている重力魔法である。
最近ではコントロールできるようになり、このスタジアムのなかだけに重力をかけるのはたやすいことだった。
あともう一つ、これからは魔法を使うときは技の名前を言おうと思う。
最近、技の名前を言うことに魅力を感じ始めたこの頃。
「グラビティールーム」
私がそう言った瞬間スタジアム全体にものすごい力の重力がかかった。
あまりのちからに、地面は一メートルほど沈んでしまった。ちょっとやりすぎちゃったかな。
観客のみんなは私を見て唖然としている。
「もう試合は終わりましたよ、ラジエル王子と戦わせてくれませんか」
私が見上げて国王にそう言うと、国王は口をぽかんと開けたまましゃべろうとしなかった。マキシムを見れば、力の差を見せつけられたかのように悔しそうな顔を浮かべていた。
「はっはっはっ、これはすごい。俺はここまで強い女を見たことがないぞ。
いいだろう俺が戦おう。まぁ俺に側近なんていらんがな」
静まりかえったなか、陽気に声をあげたのはラジエル王子だった。側近が要らないというのは私が負けるといいたいのか、冗談はやめてほしい。これは私の人生がかかっているのだ。
王子は数十メートルとあるところから飛び降り、スタジアムに現れた。
あれ?どこかで見たことあるような。
「さっきぶりだな女、俺のこと覚えているか」
確かにどこかで見たことがある。この偉そうは話し方と少し低めの声。
「あっ今朝小屋にいた男ね、覚えているわ。あんなに偉そうな話し方をした人はあまりいないから、でもまさかあなたがここの王子だったなんてね。どうりで王都に住んでいないのに王都のことをいろいろ知っているはすだわ」
「俺は今とても驚いているぞ、まさかあの時の生きのいい女がこんなに強いとはな。でもここまで来た意味がなかったな、お前はここで俺に負けるんだからな」
「何を冗談を言っているんですか、私は絶対に負けられないんです」
私たちが言い合いをしていると国王が口を開いた
「これより決勝戦を始める、試合開始」
開始の鐘が鳴った、それとともに観客の興奮が頂点に達した。無理はない今までに私ほどの人間が現れたことがないからね。
「それじゃあ始めましょうか、ラジアル王子
命乞いなんて聞きませんよ」
「それはこっちのセリフだ、あきらめるなら今のうちだぞ」
ラジエル王子がそう言った瞬間私にとびかかってきた。
私は距離を取ろうとしたが思った以上にラジエルの攻撃が速くよけることができなかった。
「どうだ驚いたか、俺ほどの速さを持つものは他にはいないだろう」
「そうね、私の開始早々血を流すとは思ってなかったですね。次はこちらから行きますよ」
私はそう言ってラジエルに攻撃を仕掛けたが、それはあっけなく防がれてしまった。
「久しぶりだわ、こんなに強い人と会ったのは」
「そうですか、では諦める気になりましたかお嬢さん」
私はその言葉に少しイラッとしてしまった。なぜそんなに私に諦めさせようとするのかしら、こうなったら何が何でも勝って見せるわ。
「ダークボール」
ラジエルが剣の先から黒いボールを飛ばしてきた。
驚いたわ、まさかラジアルが闇属性の魔法を使うなんて。闇属性の魔法使いはここ数百年か出ていないと聞いていたのに、まさかここにいるとはね。
「グラビティールーム」
私は瞬時に重力魔法を唱えた、その瞬間私はスタジアムの壁に叩きつけられた
なんで?
「どうだ驚いたか、これが闇属性の魔法の特徴だ。闇の属性を持つ魔法の攻撃は攻撃魔法では遮ることができない。唯一できるのは防御魔法だけしかないんだ。だがな、防御魔法を使えるのはこの世界を探しても数人しかいないだろう。 どうだ力の差が分かったか、今負けを認めれば許してやろう」
「忠告ありがとうございます。でも私はまだあきらめません」
「お前なぁその気持ちはすごいが、立っているのもやっとじゃないか。
その出血の量だと、早めに治療しないと死ぬぞ」
はぁ、どこまで私を今く見ているんだ。




