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刺客達と情報

~アスティア対ブラオン、ルベル、アスルサイド~



ピキィ ピキィ


「このおとってたしか~?」


アスティアは、音のする方に視線を向けた。


「おいっ」


きゅうに視線を在らぬ方向に向けたアスティアを訝しみ、ルベルが乱暴にアスティアを呼んだ。


「うん?どうかしたの?」


「あっちに何かあるのか?今は話の途中だったろう」


「うーん。たしかにそうだけど、もうきみたちとはなしているばあいじゃなさそうだからね」


「どういう意味だ?」


「たぶん、きみたちにもすぐにわかるよ」


ルベルは、アスティアの言葉に疑問を抱いた。何故なら、アスティアが嘘を言っているようには見えなかったのだ。つまり、何かがもうすぐ起こる?


ピキィ ピキィ パリーン!!


ドォーン! ドォーン! ドォーン! ドォーン!


ルベルがそう思っていると、何かが落ちたような音が周囲に響き渡った。


「なんだ?」


「何の音だ今のは?」


「今のは何処から?」


突然発生した大きな音に、ルベル、ブラオン、アスルの三人は周囲をキョロキョロ見回した。そして三人は、アスティアが見ている方向で視線が固定された。


「なっ、あいつらは!?」


「ああ、間違いない」


「俺達の村を滅ぼした」


自分達の視線の先にいるものを見た彼らの顔は、憎悪に歪んだ。


「あれっ?きみたちも、アレをしっているの?」


アスティアは、ルベル達の表情見た後に、そう言って自分が見ていたものを指さした。


「ああ、よく知っているぞ」


「ああ、私の故郷を」


「俺達の村を襲った連中だ!」


アスティアに聞かれた三人は、アスティアが指さした対象を敵意と殺意を内包した視線で見ながら、そう返した。


「ふうーん。やっぱりよそでもあばれているんだね、あいつら」


アスティアは、改めてその出現した連中の方を見た。


そこにいたのは、ここ最近ご無沙汰だった、影のような謎の存在であった。


今回の姿は、本や図鑑で見たやつだなっと、アスティアは思った。具体的には、蟹、ロブスター、貝、ペンギン、亀の海洋生物図鑑で見た生物のシルエットでまとまっていた。


「あれでかげみたいじゃなかったら、おいしそうなのに」


アスティアは、残念そうにそうこぼした。というか、あんなのを食べるつもりなのか?


「てっ、喰うつもりかよ!」


「お腹壊すからやめなさい!」


「絶対食中毒を起こすぞ!」


アスティアの発言を聞いた三人が、常識的な意見でアスティアを止めた。


たしかにそう考えるのが普通である。


「けど、ペンギンがたはしりませんけど、それはいがいしょくざいけいでしょ?」


「そりゃ、本物の話だろう!あんな化け物喰えねぇよ!」


「そうだよ。それとこれは別の話だ!」


「だいたい、アレに肉や身があるのか?」


ルベルは叫び、ブラオンはさらなる常識的発言をし、アスルは微妙に場違いな発言をした。


ちなみに、北海に棲息する水竜の類いは、ペンギン及びペンギン型モンスターを食べる種類もいるので、アスティアにとってはペンギンも食材カテゴリーに該当可能である。ただし、だいたいの水竜はペンギンを食材ではなく、ペットにしていたりする。


「じゃあ、ためしにわってみようかな。あれっ?」


アスティアがそう言って行動しようとして、その直後に疑問の声を上げた。


「あん、どうかしたのか?」


ルベルは、アスティアの様子からそう尋ねた。


「あれ」


尋ねられたアスティアは、影から少しズレた場所を指さした。


「「「うん?なっ!」」」


三人は、アスティアが指さした先を見た。そして、すぐに絶句した。


なぜなら、彼らの仲間の三人が影達に向かって突撃していたからだ。


「馬鹿かあいつらは!前衛の俺達がいないのに突撃なんて!」


「たぶん、憎しみでそのての判断が出来なかったんだろう」


「たしかに。俺達も、そこの竜の子供の発言にツッコミを入れていなかったら、あいつらのように突撃していただろうからな」


三人は、思い思いの感想を言い合った。


ピカッ!バリバリ!!


三人が言い合っている間も、状況は進行を続けた。ウ゛ェール、ユウ、ブランの三人は、雷属性の攻撃を影達に向かって叩き込んだ。


「やったか!?」


「いや、土煙のせいでまだわからないよ?」


「だが、僅かでもダメージを受けていて欲しいものだな」


「たぶんむきずだとおもうよ?」


三人は、彼女達の攻撃に希望的観測を言い合った。が、その三人の願いをアスティアはすぐに否定した。


「おいおい、そりゃあさすがにないだろう?」


「今の攻撃なら、多少はダメージがあるはず」


「いくらなんでも無傷はないはずだ」


三人は、すぐにアスティアの言葉を否定した。


「けど、ほらっ」


そう言うとアスティアは、土煙が薄くなった辺りを指さした。


「「「なっ!?」」」


そこには、無傷で立っている五つの影達がいた。


「なんで無傷なんだよ!?」


「今の攻撃で無傷?」


「雷の無効化能力でも持っているのかよ、あいつらは!?」


三人は、状況が理解出来ずに混乱した。


「たんじゅんに、いりょくぶそくだとおもうよ?」


「威力不足?あの規模の攻撃でか!?」


アスティアからの無情の追撃に、ルベルは絶叫した。


「うん。だってあいつらの、りゅうクラスのこうげきいがいできずついたすがたをみたことないもん」


「竜クラス!?あいつらって、そんなに硬いのか!?」


「うん。だって、バジリスクのぼくのおにいちゃんのこうげきをうけても、うごいてたよ」


「なっ!?バジリスクっていったら上位竜種じゃねぇかよ!」


「その攻撃を受けても動けるだと!?」


「どんな化け物だ!?」


「あんなかんじの、にくしょくじゅうみたいなやつ」


アスティアは、まだまだ手を緩めなかった。


「「「・・・」」」


アスティアの言葉に、さらにルベル達三人は絶句することになった。


「それに、たぶんだけどこっちのほうがかたいとおもうよ?」


「「「えっ!?」」」


「だって、ペンギンがたのかげいがいは、こうらとかからがついてるもん」


「「「あっ!」」」


アスティアは、さらなる絶望的情報を告げた。


しかも、全て事実であるがゆえに、救いようがなかった。


バジリスクの攻撃を喰らっても動けていたのも本当なら、あの影達の方が硬そうなのも動かしがたい事実である。


四足獣型は毛皮。鳥型は羽毛。紐状型については不明だが、正体が爬虫類型なら鱗。軟体動物型や植物型なら粘液や表皮が身体を覆っていたことだろう。それにたいして、今回の影のシルエットから身体を覆っているものを推察すると、蟹型、ロブスター型、貝型は殻。亀型は甲羅である。どう考えても、後者の防御力の方が上だと考えられる。


「さてと、どうしよっかなぁ?」


「「「はっ!」」」


アスティアが次の行動に悩みだすと、ブラオン達の意識が戻ってきた。


「・・・なあ」


「うん?なぁに?」


「なぁ、ここは手を組まないか?」


ルベルは、アスティアにそう提案してきた。


「おいルベル!」


「こんな子供に何を頼んでいるんだ!」


それにたいして、アスルとブラオンからは批判の声が上がった。


「俺達だけであいつらの相手は普通に考えて無理だ。だけど、こいつの力を借りられれば、いけるとおもうんだ!」


「いや、たしかにそれはそうかもしれないが」


「だが、今まで戦っていた相手にするような提案か?」


ブラオンとアスルの二人は、ルベルの提案を否定出来なかった。


「けど、そのていあんにぼくがのるひつようはないよね?」


そんな三人の会話に、アスティアが加わった。


「たしかにな。だけどさ、敵の敵は味方っていうだろう。なあ、頼むよ。俺は、仲間を死なせたくないんだ。このとおりだ、頼む」


そう言うとルベルは、アスティアに向かって土下座した。


「「ルベル!?」」


「うーん。てきのてきはみかた、ね」


アスティアは、土下座したルベルと、その他の刺客達。影達を交互に見て、視線をアンサラーやミカエルの方に向けた。


「ふむ」


そして、アスティアは何かを決めたように一つ頷いた。


「てきのてきは、みかた。そうだね」


「「「えっ!?」」」


アスティアのその言葉に、ルベルは顔を上げ、ブラオン、アスルの二人もアスティアの顔を見た。


「《空間転送》」


アスティアは三人のことを見ずに、魔法を発動させた。


すると、ルベル達刺客の六人と、影達五体の姿がファブルの森から掻き消えた。


「さて、ぼくもいこうかな」


「アスト!」


アスティアが転移しようとしていると、遠くからミカエルがこちらに向かって来ようとしていた。


アスティアは、手を出してそれを止めた。


「《空間転移》」


そして、《空間転移》でファブルの森から刺客と影達を送った空間に移動していった。



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