敵と味方
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「「「「「「何処だここ!?」」」」」」
「「「「「GUGYA!?」」」」」
アスティアが転移したちょうどその頃、アスティアによって飛ばされた刺客達と影達が、揃って呆然としていた。
彼らが今いる場所は、赤々と燃えるひの玉に照らされた、南国風の浜辺である。配置としては、やしのきが生えた浜辺側に刺客達。波打つ青い海の沖の辺りに影達がいる。
「ぼくのつくったあくうかんだよ!」
双方が状況についていけていないなか、転移して来たアスティアがそう言った。
「亜空間って、どういうことよ!」
「ここはどこなんだよ!」
ウ゛ェールとルベルの二人がそう叫んだ。
「うん?だから、ぼくのつくったあくうかんだって」
「創った?君がここをかい?」
ブラオンがアスティアに確認した。
「そうだよ。くうぞくせいでつくった、ぼくのはこにわだよ♪」
「箱庭。これが・・・」
「うんな馬鹿な」
ユウとアスルは、アスティアの言葉が信じられないようだ。
「・・・(なんで)」
各自が混乱しているなか、ブランが何かを呟いた。
「うん?」
「・・・なんで、私達をここに連れて来たの?」
「うーんとね、そこのおとこのこにいわれたからだよ」
アスティアは、ルベルを指さしながらそう言った。
「ルベル、あんたこの子に何を言ったのよ!」
「いや、俺はただ・・・」
アスティアの答えを聞いたウ゛ェールが、ルベルに詰め寄った。
「まあまあ。落ち着いてくださいよウ゛ェール」
そんなウ゛ェールを、ブラオンが宥めにかかった。
「ブラオン、今が落ち着いていられる状況だとでも思っているの!」
「それは・・・」
ブラオンは、言葉詰まった。
「話にならないわ、アスル!ルベルはこの子になんて言ったの?」
ウ゛ェールは、話の対象をアスルに移した。
「・・・ルベルのやつは、その子に影と戦う為に手を組まないかと提案したんだ。そしてその後、ルベルが言った敵の敵は味方という言葉を言って、俺達全員をここに飛ばしたんだ。そうだな?」
「うん、それであってるよ!」
アスルの確認に、アスティアは頷いた。
「じゃあ、あなたは私達と一緒に戦ってくれるの?」
ウ゛ェールは、期待するようにアスティアにそう尋ねた。
「ううん」
しかし、アスティアは首を横に振った。
「「「「「「えっ!」」」」」」
彼ら六人は、アスティアが首を横に振ったことに驚いた。
「じゃあ、どうして私達をここに飛ばしたのよ?私達と一緒に戦ってはくれないのでしょ?」
「てきのてきは、みかただからね」
ウ゛ェールは、アスティアに次の新たな疑問をぶつけた。そして、その疑問を聞いたアスティアはウ゛ェール達から影達、最後に自分を順に指さしながらそう返答した。
この場合だと、敵(ウ゛ェール達)の敵(影達)は(アスティアの)味方という意味だろう。
「なっ、なんでそうなるのよ!?」
「わかんないの?」
「ええ、私にはなんであなたがあいつらを味方だっていうのか、全然わからないわね!」
「じゃあ、おしえてあげる」
「ええ、お願いするわ」
ウ゛ェールは、憎々しげな顔でアスティアにそう言った。
「そもそも、きみのたのみはまとはずれだったんだ」
アスティアは、ルベルを指さしてそう言った。
「俺の頼みが的はずれ?それってどういう意味だよ?」
ルベルは、アスティアの言葉に首を傾げた。
「それをせつめいするにはまず、ぜんていからはなさないとね。まずぼくは、ミカくんのともだちで、ミカくんをまもってる」
「そうだな」
アスティアの確認に、アスルが頷いた。
「つぎにきみたちは、ミカくんをころしにきてる」
「そう、ですね」
ブラオンは、表情を暗くしながらも頷いた。
「さいごに、あいつらはきみたちをおそいにきてる」
「ちょっと待て。お前もあいつらに襲われたことがあるんだろう?なんで俺達に限定するんだよ!」
「ううん、あいつらはべつにぼくをおそったわけじゃないよ?」
「え?」
「あいつらのねらいは、ぼくがもっていたアンサラーだよ。アンサラーとであうまえには、いちどもおそわれたことははないもん。そして、アンサラーについてはもうおそわれるしんぱいはないんだよ」
「そう、なのか?」
ユウは、首を傾げた。
「うん、そうだよ。さて、つぎにたいりつかんけいについてだね。ぼくにとっては、あなたたちはミカくんをころそうとするてきだよ。それにたいして、あいつらはただあばれるだけの、やせいのモンスターとかわりないよ」
「まあ、そうでしょうね」
ウ゛ェールは、アスティアの言葉に頷いた。
「さて、つぎにきみたちのことだね」
「わかったわ。私達にとっては、君は王子の暗殺を邪魔する存在。そしてあいつらは、私の故郷を滅ぼしたやつの仲間だ!」
ブラオンは、搾り出すようにそう言った。
「そうですか。さいごにあいつらだけど、あいつらにとってぼくはどうでもいいそんざいだとおもうんだ。あいつらにとっては、きみたちのほうがてきだろうからね」
「たぶんそうなるわね」
ウ゛ェールは、アスティアの予想に賛成した。
「ここでまとめだよ。たがいのかんけいをふりかえると、ぼくときみたちには、そうほうたたかうりゆうがあるよね。きみたちとあいつらとのあいだにも、たたかうりゆうがある。ぼくとあいつらとのあいだには、たたかうりゆうなんてないんだよ。これがけつろんだね」
アスティアは、まとめた結果をルベル達に告げた。
「たしかにそうなるわね」
「そうだな」
ウ゛ェールやルベル、それ以外の刺客達もなにも言えなくなった。
「だからね、ぼくにとってはかれらのほうがみかたにできるてきなんだよ」
アスティアは、最初の答えを告げた。
「たしかに、そうなるわよね」
ウ゛ェール達は、先程アスティアが言った言葉の意味を理解した。
「それにね、いまのはなしをものがたりでたとえるなら、ストーリーがつながってないしね」
アスティアは、意味深な言葉を追加した。
「それってどういう意味だ?」
ルベル達は、アスティアのその言葉に首を傾げた。
「ものがたりだと、さいしょはてきたいしてたけど、とちゅうできょうとうしてなかまになるパターンがあるよね」
「あーあるある。冒険ものとかでよくあるパターンだな」
「たしかに、向こうの漫画とかによくある展開だな」
ルベルとアスルが頷いた。
「これって、ないじつをしらないと、ぼくらもこのパターンだといわれそうでしょ?」
「あー言えてるわね」
「・・・(コク)」
現状を思い返してウ゛ェールとブランが頷いた。
「けどじっさいは、このパターンのぜんていじょうけんをみたせていないんだよね」
「前提条件?」
「うん、そうだよ。このパターンのぜんていじょうけんとしては、まずはじめにたたかっていたひとたちがきょうとうかのうであることがあげられるよね?」
「まあ、共闘が出来なきゃこのパターンには入れないよな」
「きみたちは、ぼくとのきょうとうをのぞんだよね?」
「ああ、俺が頼んだな」
「けど、きみたちはミカくんのてきたがら、ぼくとはそのじてんできょうとうがふかのうだよ」
「まあ、友達を殺そうとする相手に協力する人は、普通はいないね」
「たしかに、前提条件の最初の部分で躓いているわね」
ブラオンとウ゛ェールが納得したように頷いた。
「つぎにひつようなじょうけんは、せいりょくバランスだね」
「「勢力バランス?」」
六人は首を傾げた。
「そうだよ。だって、ふたつのせいりょくがたんたいでたおせないつよいせいりょくを、きょうとうして倒すパターンなんだから」
「二つの勢力が共闘して、強い勢力を倒すパターン。たしかに漫画だとそんな構図だったな」
「そうだな」
ルベルとアスルが頷いた。
「たがいのせいりょくとかんけいだけど、ぼくはきみたちをたおせるし、めいかくなてき。あいつらのほうもちょくせつ・かんせつてきにたおせる。けど、あいつらにたいしては、おそわれたらやりかえせばいい」
「まあ、さっきまで僕達を手玉に取っていた君なら、そうなるよね」
「じゃあ、俺達の方はどうなんだ?」
ブラオンはアスティアの意見を肯定し、ルベルは他の仲間に質問した。
「うーん僕達の場合だと、彼とは出来るだけ戦闘を回避したい相手だね。僕達としては暗殺対象じゃないし、彼の方が強いからね」
ユウは、そう考えを告げた。
「それにたいして、あいつらは絶対に復讐しなければいけない敵だ!」
「けど、攻撃が通じていなかったろ?」
「それは、・・・」
ウ゛ェールは憎しみの言葉を吐き、ルベルは現実を告げた。
「そうだよ。あいつらにしてみると、きみたちはめいかくなてきで、じぶんたちよりよわいあいて。そして、ぼくのほうにてをだすりゆうがあいつらにはない」
「さっきの話だと、そうなるな」
「だから、きょうとうかんけいがはっせいするのは、ぼくとあいつらだけなんだよね。わかった?」
「ああ、わかったよ。たしかにそうなるよな」
「そうよね。というか、さっきのパターンにあてまめると、強さだと私達とあいつらが手を組んでこの子を倒すことになるわね」
「別の共通パターンだと、共通の敵と戦う場合、この子が言ったとおりこの子とあいつらが共闘することになるな」
ウ゛ェールとアスルが、それぞれのパターンについて口にした。
「はあっ、ここまで解説されると俺でもよくわかるな。たしかに俺の頼みは、的はずれでズレていたな」
「「「「「ルベル」」」」」
落ち込んだルベルを、他の仲間達が心配そうに見た。
「じゃあ、そろそろせつめいはおしまい。がんばってね!」
そんな彼らをしりめに、アスティアはそう言って掻き消えた。
「「「「「GUGYAAAAAA!!」」」」」
それと同時に、影達の咆哮が亜空間内に響き渡った。
こうして、刺客達と影達の戦いの火蓋が切って落とされた。




