第二章 13話 Red Error Zone
PC世界で物語の始まりである『空宙神異界』はバッドエンドで幕を閉じた…
これで終わると思っていた…
だが、改変影響を利用したナニカが新たな物語を展開させた…
真実が隠蔽された事件…世界の終焉…それは学校で起こった事が始まりだ
解決しない限りは進めない…
黒瀬 澪·猫又 一花は物語完結のために…そしてメイン階層である<CC-LS>に偏在するOfia5の根絶…
果たして第2章である『Red Error Zone』で
彼女らは無事に解決出来るのだろうか
「ここが物語階層無限…言わば異界側Ofia5を取り扱っていたメイン側OfiRea…」
初めて見るかのように見上げる澪と誇らしげに語る一花
「どうやら空宙は下層世界…ここは中央層世界と言ったところね…あっ下層世界は別名:仮想現実 又はシミュレーション世界)とも言われるわ
あそこがここより下の基底世界のコンピューター内で動いている世界だと推測している」
一花は笑顔で言う
「PC世界を管理してたのがReZなんだよ…この世界のテイサー(あいつ)が空宙神異界を管理してた…Areaちゃんやエリのあの子達もね…空宙神異界はいわゆる当小説のデモンストレーションの一環…それなのにあいつら…割に合わないことをしたのよねぇ」
一花はそう言い辺りを見回す
「まっここはちょっと違ったデモンストレーション…いえ、体験版として扱わせてもらうわ
そんで、あたしはCC-LSの者だし?異界だろうとここだろうと制限や干渉不可があっても上位には関係なしね」
澪は真新しい景色を見て居たがふと看板に不信感を得た
「ウラマリア?」
澪はたまたまあった案内掲示板を見て困惑する
地形は日本寄り…だけど名前も地区も違う
「ウラマリア?…なんやねんそれ…誰か恨んどるんか?マジで誰やねんマリアってやつ、クソな名前にはこうよ!」
一花が割り込んで言う
一花は掲示板に書いてある地名に触れようとした
澪は一花の手を抑える
「一花さん!貴方、地名書き換えようとしてるんですか!?」
澪にしては覇気がある口調だ
「な、なによ…この世界はPCじゃないのよ?現実よ、げ·ん·じ·つ…別に著者内のReal世界を変えようとしてないんだから…良いじゃない…」
一花は不満そうに反論する
「ここの世界が現実だとしても…著者が偏在する世界とは訳が違います…下手にやれば彼女も著者も…書き換えてしまいます…<CC-LS>にもたどり着けなくなります」
口だけでなく目でも食い止める澪
「まぁ<CC-LS>が本命だけど…」
目的となる学校までは目の前にある
「不思議よね~、わざわざOfiRea側のOfia5 って言えば良いものを異界側のーだなんてほざくんだから…」
学校へと歩いていく二人…
一花はただ…前を歩いて話すだけ
「というか、Ofia5 はどちらに…」
澪が歩きながら辺りを見回したがOfia5の姿が何一つ見つからない
「喪失してるようね…作業場は荒れてるし…PCもスマホも電源が落ちてる」
一花はデータを空中で展開して言った
「なんでOfia5の作業場にカメラがあんすか…」
疑問を抱く澪
「やらかし防止のため」
一花は「にひっ」と笑って言った
「外のユーザーさんは!?」
はっとしたように一花の方に振り向き言う澪
「残念ながらこの世界のユーザーは全員、死亡扱いしてるわ…行政は死んだ奴らをとりあえず"生きていることにする"という極めて非人道的な考えにしたらしいわ…死んでるんだから生きていることにするのは頭おかしいわよね」
<…この世界のユーザーは本質じゃない…>
「えっこれを見てる読者は…」
「あー<CC-LS>側の私達を見る監視者ね…それはそのままにしとき」
「あっ分かりました」
<諸君…そのまま監視を続けて…>
<退出する際は武運を祈っておりますユーザー>
「あってかここ物語階層2じゃないわ…〔物語/論理階無限層〕だった…」
一花は間違いを起こしたようだ
「この階層は…どうなっているのですかね?」
と考える黒瀬澪は猫又一花に聞く
「その質問…あんたのその階層上昇についての
質問として返すわ」
澪の質問を投げ返すように返されてしまった
「…」
澪はただ…黙ることしか出来なかった
「そもそも物語階層と言えるのかしら…超越さてる感覚が無いわね…まぁいいわ…もうすぐ学校へ乗り込むわよ」
と一花は走った
「あいや…待って、そういやあの学校って…距離が…違う待って…なんで?…なんか離れていく気がする」
一花は立ち止まり違和感を感じ始める
「…到達不可の防衛結界の範囲に入ったようですね」
澪も止まり呟く
「これじゃあ侵入出来ないじゃない!」
あと少しなのに辿り着けない…まるでループしているかのようだ…
「安心してください、これで終わりますよ」
澪は一花の目を隠し…澪も目を閉じた…そして
彼女らは本舞台である学校の昇降口に到着した
「速!?」
一花は目を丸くしその場で驚いた
「どうやったの!?教えてよ!?」
一花は澪の肩を掴みグイグイに迫る
「秘密です…近いです…ぶん殴りますよ」
一花の顔面を見ず澪は少し後ずさりし拳を構えて言った
「意地悪ね」
むっとした表情で一花はそのまま昇降口へ入る
「開いてる…封鎖してるにも関わらず…周辺以外の防犯はがら空きなのね」
「にしても暗!?」
と一花はそのまま玄関を開けた
キィっと音を立てて開く昇降口の玄関…そこまで古くないようだ…むしろ真新しい
「んー…これと言って普通ね…電気は付かない、か」
一花は電気のスイッチを押したようだが…無反応みたいだ
空の下駄箱…日常的な空気と湿気…壁に貼られた手洗いと消毒遂行のポスター…とても事件が起きた起点とは思えない綺麗さだ
「この世界は下位存在と中位存在が偏在している…だから常に治安が維持されている…」
と一花は「治安維持」のポスターを見て撫でるように触れて言った
「それは…つまり?」
横覗き込むように聞く澪
「……ヨザトスが居そうね」
聞いたことがない……いやある
ヨザトス…物語と人間·生物·動物の治安悪化を防ぐために改変しては監視している中位存在…でもおかしい
「澪ちゃん…気付いたようだね」
一花は澪の察しが最初から分かっていたような口調で言う
「えぇ…治安維持しているはずのヨザトスが行ったであろう改変を…この世界は全く影響を受けていない…という点ですね?」
考え付いた推論を一花に言う
「んー厳密には…"学校がヨザトスの改変能力影響を受けていない"だね…まぁ半分合ってる感じにはなるかな」
ブォォォン…重低音のような音がし始めた
「!?」
二人は振り返る…が、なにも無かった
一花は気のせいかと思いながら探索を再開した
しかし、澪だけは、ただ…そうはいかなかった…
「上空にて目のような…◇(ひしがた)のような次元割れを感知しました。」
と澪は探索再開していた一花に言う
「!?…それって…」
「ELYSIONVeilです…気をー」
そう言いかけた瞬間
彼女らの目の前に黒いオーラが撃ち放たれた
凄まじい音と耳鳴りがする
「くっ…!また邪魔しに来たのね!!」
この風はさすがに吹き飛ばされそうよ…
そして例の彼女が現れた…だが彼女の周りに居た3人が居ない…本来は居るのが当たり前だった
「また邪魔しに来たのね!?じゃなかったら何しに来たの零!」
一花は体勢を立て直しながら言った
「すまない…君たちを攻撃するつもりは…今はない…ただ、真実を言いに来ただけなんだ」
いつもの零らしくないことを発言した
「真実?真実って何よ"!"」
一花はまた吹き出しのコマ「!」を手に取り戦闘態勢を取る
「それは…この学校内のどこかにREZ側のOfia5リーダー…テイサーが居る」
とんでもない真実だ
あのテイサーが?本命のOfia5 じゃないが…この中に?
「嘘じゃないでしょうね?」
一花はさらに詰めようとする
「私は嘘を付かない…Veilに言われてるからな」
「しばらく…君たちの下に付くよ」
時雨零は膝を付き…下に付くと言った
「あなたのお仲間さんは?」
澪は膝を付いている零に問う
「彼女らか…彼女らは…バグに呑まれたよ…今は、私しか居ない」
呑まれた?…<CC-LS>のELYSIONならそう簡単には呑まれない…てことはこのELYSIONVeilは《Red Error Zone 》側の組織となる…さっき零が言ってたOfia5 テイサーも本質じゃない
いや、どんだけ居るのよ…本質のELYSIONは平行世界で何をしているの?でもこのELYSIONは信用出来そうね
「分かった…あんたは裏切らなそうね」
と一花は安堵し吹き出しのコマ「!」を元に戻した
「あんた…なんか情報持ってる?」
警戒心はまだある一花は時雨零に聞いた
「私が知っていること…か…強いて言えば
現在、<CC-LS>が<Nu-ll>となっていること」
一花と澪は零がワケわからない言っていることに顔がひきつる
「<Nu-ll>?どういうことよ」
「<CC-LS>が"存在していない"だ」
本命が…存在していない?
どういうこと?
二人は険しい顔をする
「奴らの次元に行き着くために必要な要素
及び行き着くために必要な "ほとんどの哲学や論理が破綻している"…だからNull化している」
と零は説明する
「つまり、零さんの仮説では…今現状は『本命が封鎖されている』ということですね?」
と澪は推測を交えて答える
「おおむね合っている…この破綻を超越や内包などの上回ったり(自分の)ものにする系では通用しない…ましてや次元どうこうや階層などの優位性でさえ…逆説的破綻させてる」
「だが、この「仮説」もおそらく破綻か矛盾しているのだろう」
零は苦の顔をして言う
と澪は答える…
「お前まさか…逆説的破綻を根拠として封鎖している<CC-LS>を逆説的破綻させる気か!?」
零は驚く…いや驚くしかない
そりゃそうだ…破綻しているのに…それをまた破綻させることは不可逆にも可能逆にも程があるからだ、いくら利用したところで破綻であること自体は変わらない…こいつは…何を考えてるんだ…
「一花さんの能力が有効です」
澪は返答した
確かに一花のパラドックスはどんな設定や能力であろうと効かない…だがそれはそれに通用するパラドックスだけだ…こいつの能力がそうでも対応出来るかどうか…私が定義能力をぶつけても無駄なことしたんだ…
「いくら彼女の能力でも適応出来るかは、分からないじゃないか…澪」
と零は反論した
「価値はあると思います…やらないで知る後悔よりやって知る後悔では訳が違います」
と澪は常識観点を放った
「澪のくせに…当たり前なこと言うじゃねぇかよ」
と零微笑む
「だが、今はまだやるな…この謎を解かない限りは進めない、それに"奴らも来る"」
奴ら…零が言う"奴ら"とは…
「零さん…奴らって-」
澪が言った瞬間、叫び声がする…校内玄関でも分かるくらいに反響している
「まさか!?…ゾンビ!?」
一花は怯えているが…笑みだけはしている
興奮と恐怖が混じっているようだ
「逃げるか…戦うか…」
奴らが来る…走る音がこっちに来る
零は片手でセラフィムキューブを出して構える
零の目には「覚悟」が見える
「お前ら…私の耳をふさげ」
それぞれ耳を塞ぐ
「セラフィム起動…《<モスキート>》…」
キィィィィィィィィィィィ
セラフィムからモスキートーン音がする
耳を塞いでも痛い…
「零さん!、なん、なんですか、それは!」
澪が耳を塞ぎながら聞く
「奴らは!モスキートに弱いんだ!」
モスキートの中でも澪達に聞こえるくらいデカイ声を出す
「こんなデカイ音!耳死ぬわよ!…あんたなんで平気なのよぉ!」
基本的な耳を塞ぐが…ミミだけは防げておらず
致命的なモスキートーンが一花だけ食らう
奴らは怯えて逃げ去る
それと同時にセラフィムから発するモスキートが徐々に消える
「…お前らに良い部屋がある…着いてこい」
零は澪達のことを振り返って見たり彼女らの言葉を待たずに突き進む
「零さんは…何を…考えているのでしょうか…」
澪はそう言い後を追う
「出会ってそうそうツイてないわね~…ミミ痛い…」
一花はだるそうに澪の後を付いていく…ミミの心配をしながら
---[保管庫]-------------------------------------------------
「着いたぞ…ここだ」
零が一つの扉の前で立ち止まる
「ここは…保管庫?…どうしてここに」
澪は困惑する…いやするしかなかった
「まだ歩いてそう遠くない…奴らも復帰に時間がかかる…今なら好都合だ」
零はそう言って扉を開け中に入る
「一体…何があるんですか?」
澪は辺りの資料を見渡しながら聞く
「<CC-LS>とまでは行かないが…少なくとも…この「ReZ<OfiRea>」の規模及び次元の事が知れる…彼らは研究していたみたいでな…」
零は一つの紙切れを見ながら発言する
「…それって…この世界における宇宙論…」
澪はそう理解した
後から一花が来る
「あいにく…荒れているせいで少し、頭の整理が出来ないかもしれない…だが君たちなら…ここを抜け出す手がかりがあるかもな」
零ら一冊のノートらしきものを澪に渡す
「この学校にそんなのがあるのね…」
一花も散らばった紙切れを眺める
「<CC-LS>の奴らが何を考えているのか分からない…そもそも「CC-LS」も…あのテイサーと同じ彼らの…集団的作者らの組織名かもしれない…今はそう解釈している…情報が、無くてな」
保管庫の扉に鍵をかける、奴らに入らせないためだ
「私はここのアバターだが…「ReZ」の世界を知りたいんでね…しばらくセラフィムで防衛をしておく」
そう言い零は施錠した扉の前でセラフィムキューブを起動し「防衛」展開をした
「そういや例の奴らの名前だが…名前は《<セプター>》…『王権」や「統治権』とも言ったりするらしいが…おそらくPhobiaと同じく実際の名ではないのは確かだ、《バグ》という名のウィルス影響で正式名が書き換えられているってことだ…」
あの時、私は本当に「セプター」が本名だと思っていた…
なのに、いくら情報収集が上手い私達ですら手を焼く程、書き換えられている名前…
固定名を語るしか位置付けや整理が上手く行かない
「セプターは擬態も出来る…あまり信用ならない…厄介なものだ…呆れる」
零はポッケに手を入れ答える
「なるほど」
「そうなのね」
二人はどこか納得したようだ
「侵食された学校であるここが起点…バグという名のウイルス…このThe陰謀って感じの世界終焉は手に終えないかもね」
一花はノートをパラパラと捲りながら言う
「ところで…黒瀬澪…聞きたいことがある」
澪は手に持っていた紙を下ろす
零の質問には些細な事だと思っているような表情だ
「これは<CC-LS>の私達から<ReZ>の私達へ来た"確認を基づいた質問"だ」
「はい、何でしょう」
澪にとって大したこと無いのだろうか…
「どうして…"A-10とPobia…そしてBo1を殺した"?異界側の<OfiRea>では…あいつらが主役のはずだ…なのにあんたは視点を勝手に変え…主役がお前へと入れ替わった…これは間違いなく異常だ…その異常事態にも関わらず…歴史改変をし…修正能力にも抗った…お前は彼女らを殺したんだ」
零の目が威圧なオーラを感じる…獲物を見定めるかのように…まるで<CC-LS>の彼女らが憑依したかのように、その目は鋭い
「んな……」
澪は後退った…この目の前の奴に後ずさりをしたのは初めてだ…
何かの殺意を感じる…この女に…額に汗が出る…恐怖なのか…違う…本能だ
「答えろ澪…お前はなんで…彼女らを殺めた?ゴミみたいな終わらせ方をしたせいで第1章が終わっちまった…何が目的だ」
ギロッとした目に…言い訳など無意味のようだ
「わ、私はー」
澪は答えようとするが
「いややっば話すな…これは私のやり方じゃない」
零は話を止めた
「二人に私が…いえ…私の脳内が知っていることを教えます」
澪は冷静に言う
「この<Rez>(せかい)は"四次多元宇宙そのもの"と言うのが公理となるか…それとも定理とするか…いずれにせよ…ウロボロスの輪と同義に過ぎないと考えています…でもこの選択肢はとても良いものでも無いようです」
零はこめかみに人差し指を向けながら言う
「四次多元宇宙だと!?…ふざけるな!四次多元宇宙はこの世に存在する限りの集合や宇宙の全てだぞ!だがそれは現実世界だけの話であって!ここはー」
零は、はっとした…そうだ…そういうことか…
この世界は一種の"現実"だ…しかも四次多元の理屈はおそらく成立している…この世に存在する限りの集合…能力も一種の集合だ
数学的思考ではないが…どれも集合という絶対的な区別が存在する
四次多元宇宙は究極集合のような理屈破綻…あるいは言葉で表すことが出来ないような代物ではないためこの世に存在しているものがある…だがそれは公理として成立するのか?
いやしない…もししてしまえば意味が変わる…それこそ…破綻や矛盾などにも繋がる恐れがある…
「…ここは公理として土台成立や定理の結論として成立するのもやや破綻気味になり咎めてしまうでしょう…」
この澪の説明だけで零は少し恐怖を覚えた
<ReZ>の時雨零は黒瀬 澪に尋問をしようとした…しかし自分のやり方ではないと話を止めた二章の第一話として良いものだろうか…
だが、問題はそこじゃない…論理がどうReZに繋がるか…導き出される結論とその答えを…知る必要がある




