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第百十三章 マリ、怪獣を撃墜する

マリは、アクロバット飛行チームのメンバーから二人を指名して待機させていると、怪獣出現の連絡を受けて、マリと合わせて三機でスクランブル発進した。

その二名のパイロットは、「今回は芹沢教官と出撃するから心強い。」と喜びながら出撃した。

しばらく交戦して、マリは先日ビデオで見て、何か感じた事の確信が持てたようで、部下に飛行コースの指示・作戦を告げて最終決戦に臨んだ。

その途中、マリが作戦外の飛行を行い、チームワークが乱れた。

何故か怪獣も飛行が乱れて、そこをマリがすかさず攻撃すると、怪獣は迎撃する余裕もなく全弾命中して撃墜に成功した。

マリの部下は、「教官、どうされたのですか?予定外の飛行をされますと接触しそうで危険です。」とマリの考えが解らずに、質問した。

マリは、「あなたの目はどこ付いているの!あの怪獣を良く見なさい!爆発炎上しながら墜落していくでしょう!生物が爆発炎上しないでしょう!あれは機械よ!こちらの無線を傍受して飛行していた事が何故解らないの!私が予定外の飛行をした為に、敵も焦ってペースを乱したのよ!情けないわね、こんな事も解らないとは!あなたにアクロバット飛行チームのメンバーは無理よ。死ぬ前に辞めなさい!」とマリは鬼教官に戻っていた。

マリは両隊員の燃料を確認の上、本部に報告した。

「本部応答願います。こちら芹沢です。任務完了。撃墜しました。」と報告した。

本部では、「さすがマリだ!」と万歳しているとマリは続けて、「尚、怪獣は生物ではなく、機械です。遠隔操作か内部に何者かが搭乗しているのかは不明です。墜落地点はXXXXです。後はお任せします。」と報告した。

指揮官は、「海軍に連絡しろ!」と指示し、連絡を受けた海軍は、水上飛行艇数機で現場に急行し、海上で撃墜した時の事を考慮して、海軍の軍艦や巡視船などが海上の至る場所で待機していて、マリが怪物と交戦状態になった地点へ向かっていた為に、最寄りの軍艦も急行した。

更にマリは、「私達の燃料が足りません。一番近くの空軍基地は沖縄空軍基地ですが、核兵器を投下しないと燃料が足りません。核兵器を搭載した状態ですと、日本の大阪空港までです。特例として、核兵器を搭載した状態で、着陸許可を日本政府と交渉願います。」と依頼した。

アメリカ政府が日本政府と交渉した結果、日本政府は、日本近海に核兵器を搭載したジェット戦闘機が墜落すると困るし、核兵器を投下されると、もっと困ります。それにパイロットは全世界の為に怪獣を撃墜したので、ここで日本が断ると、世界中から批判されて日本の立場が悪くなり、それも困ります。結局、今回のみ特例として条件付きで許可された。

日本政府からの条件は、燃料補給後、速やかに離陸する事。今回の指揮官の氏名は未発表でしたが、公開する事の二つでした。

アメリカ政府も、伝説の名パイロットの氏名は狙撃などを警戒して公表していませんでしたが、民間空港に着陸すれば解る事ですので、その条件を承認してマリに伝えた。

この事はニュースで報道されて、核兵器を搭載したジェット戦闘機が、民間空港に緊急着陸する事と、アメリカ全土に響き渡った、アクロバット飛行チームの鬼教官の正体が発表されると大騒ぎになった。

マリが勤める会社でも一部(課内)の社員は知っていましたが、殆どの社員が知らなかった為に、社員一同テレビに釘付状態の中、アナウンサーは、発表までの間、今までの情報を喋っていた。

「もうすぐ発表ですが、この鬼教官というのは、アクロバット飛行チームの指導教官で、パイロットが退役後、現在アメリカ空軍では伝説になっているらしいですね。しかし伝説の名パイロットと言えば、もう、かなりの歳でしょうね。鬼教官として恐れられていたと聞きましたが、先日アメリカ空軍きっての名パイロットの最後の言葉が、“セリザワ教官!助けて!”でしたので、信頼されていたのですね。世界一のアメリカ空軍アクロバット飛行チームが全力で攻撃しても歯が立たなかった怪獣を、たった数分で撃墜する操縦技術ですので、凄いパイロットなのでしょうね。噂では、その操縦技術は神業とも言えて、パイロットが“助けて“と叫んだのは、大空の女神様としても崇められていて、彼女に頼めばどんな事でも叶うというイメージもあるらしいです。退役後も、年に数回、アクロバット飛行チームの指導を行っているとの事ですが、どんなパイロットなのでしょうか楽しみですね。女神様だという事は、女性パイロットなのでしょうか。それにしても、アメリカで、“セリザワ”という名前は珍しいですね。丸で日本人のような名前ですね。あっ、そろそろ発表される模様です。伝説の名パイロットは、元アメリカ空軍中尉のマリセリザワパイロット。矢張り女性です。それも、かなり若いです!」と喋っていた。

写真がテレビに写し出された。

それを見て、マリが勤める会社の社員達は総立ちになり、「女性で、“セリザワ”という名前だと放送していたので、しばらく有給で芹沢が休んでいるので、まさかとは思いましたが、あの芹沢が・・」と全員開いた口が塞がりませんでした。

テレビカメラは、航空自衛隊の航空機に切換わった。

そしてアナウンサーは、「もうすぐこの自衛隊の航空機を追越します。あっジェット戦闘機が見えました。ジェット戦闘機は、マッハ二で飛行している、この自衛隊の航空機を追越して行きましたので、マッハ二よりも速い速度で飛行しています。もうすぐ大阪空港に到着する模様です。」と解説していた。

マリの同僚達は、「芹沢さん、超音速で飛行している。凄いな。ジェット機というよりまるでロケットだな」と映像をみながら予想外の展開に驚いていた。

テレビカメラは大阪空港に切換わった。

大阪空港で待機していたアナウンサーが、「あっ!機影が見えました。いよいよ着陸する模様です。」と解説して、その後、ジェット戦闘機は、後部からパラシュートを開いて着陸すると、マリの同僚達は、「芹沢さんカッコ良いな。」とテレビに注目していた。

燃料補給の間に、マスコミがインタビューした。

最初の質問は、「アクロバット飛行チームには、世界一のパイロットが揃っていますが、どうでしたか?」と英語で質問した。

マリも英語で、「情けないヘボパイロット揃いですね。」と返答した。

アナウンサーは通訳に困り、「少し頼りないと彼女は仰っています。」と通訳した為にマリは、「え~」とちゃんと通訳してよと思っていた。

アナウンサーは、「彼女が何か言っています。聞いてみましょう。」とマイクをマリに近付けると、マリはアナウンサーの肩を叩きながら日本語で、「嘘ばっかり!私、そんな事は言ってないわよ!ヘボパイロット揃いだと言ったのよ。」と大笑いした。

アナウンサーは予想外のマリの言葉に驚いて、「えっ!日本語喋れるのですか?」と質問した。

マリは、「私はアメリカで生まれて、そこで育ちましたが、両親は二人とも日本生まれの日本育ちの日本人です。私は今、空軍を退役して日本に住んでいます。日本で就職しようと思っています。就職先が見付かる迄の間、叔父が経営している会社でOLをしています。」と返答した。

次にアナウンサーは、「退役したという事は、現在アクロバット飛行チームの指導は行ってないのですか?」と質問した。

マリは、「いいえ退役するのが、年に数回の指導と戦地への出撃が条件でしたので、現在も会社の夏休み等の長期休暇を利用して、パイロットの指導や、時には自動小銃片手に戦場を走り抜ける事もよくあります。」と返答した。

アナウンサーは、「空軍でもそんな事を、するのですか?」と不思議そうでした。

マリは、「いいえ普通はしませんけれども、私が空軍に入隊した頃に、軍人にしては精神力が弱いと上官から指摘されて、精神力を強くする為に、色んな事をして来ました。これもその一環で、上官を通じて陸軍に依頼して、作戦行動を共に遂行しています。」と返答した。

燃料が満タンになった為に、インタビューは終了してマリは部下二名と共に離陸してアメリカへ帰還した。

ある社員が、「誰だ、芹沢はいつものんびりと海外旅行していると言ったのは。自動小銃片手に戦場を海外旅行かよ。」等と、皆でマリの噂話をしていると、このインタビューでマリが日本で就職しようとしている事を知った航空関連会社からの問合せやマスコミから会社に電話が殺到して仕事になりませんでした。

そんな中、現在航空管制システムの商談中である小さな飛行場の桜田部長が、このテレビ放送を見て芹沢マリの名前を思い出して松田主任と二人で驚いて、「道理でパイロットの気持ちが良く解る筈だ。しかしパイロットは、あんなにも航空管制システムに詳しいものなのかな?」などと話をしていた。

松田主任は、「彼女をシステム開発のメンバーに加える事を発注の条件に加えればどうですか?」と桜田部長に進言した。

桜田部長も、確かに、これはチャンスだと判断して、発注にその条件を加える事にした。

「松田君、彼女は日本で就職しようとしているようなので、もっと確りしないと、君を解雇して彼女に来て貰うぞ。」と忠告してマリが務める会社に何度も電話していましたが、話中でしたので、営業マンの名刺を確認して携帯に電話した。

桜田部長は、「問い合わせの電話で大変そうですね。早速ですが、先日打合せをした芹沢マリさんは、かなりシステムに詳しかった為に、彼女をシステム開発のメンバーに加える事を発注の条件に加えます。」と伝えた。

その条件は、現在マリが有給休暇中なので、マリが出勤してから打合せる事になった。


次回投稿予定日は、6月28日です。

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