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第九十五章 修、病院で陽子と鉢合わせする

看護師は患者の父親を止めながら、「刑事さん!この人を止めて下さい!この人が今手術室に入ると、東城先生が手術している患者は確実に死亡します!」と修と佳子に助けを求めた。

娼婦の命を守ろうとして修と佳子がその患者の父親を捕まえて、警察手帳を提示して、佳子が、「警察です。そんな事をすれば、私があなたを殺人罪で逮捕するわよ。」と警告した。

その患者の父親は、「私が殺人罪で逮捕されても、娘が助かるのならそれでも良い!」と強引に手術室に入ろうとしていた。

看護師は、「人の話は最後まで聞いて下さいね。東城先生からは、別の医師が助けられないと判断した場合の連絡先を聞いて主任に報告しました。」と説明した。

竹本は自分の耳を疑い動きが止り、「大学病院が何故別の病院に応援を依頼するのだ?反対だろう!」と納得できない様子でした。

看護師が説得していましたが、看護師の帰りが遅いので、主任看護師が心配して様子を見に来た。

主任看護師は、患者の父親と看護師が揉めている様子を確認すると、間に入った。

主任看護師は患者の父親に、「もう廃院になった関西病院に、以前神の手を持つと噂されていた、凄腕の芹沢外科医がいたと聞いた事があると思いますが、東城先生が連絡するように指示したのは、その外科医で、東城先生のお師匠さんです。先程病室に来られて診察され、“今直ぐに手術すれば助かります。”と仰ったので、今、娘さんは、準備してここに来ます。」と説明した。

その患者の父親は、「その先生に挨拶を・・・」と娘の事をよく頼んでおこうとしていた。

主任看護師は、「もう医師専用通路から手術室に入られました。もうすぐ手術が開始されます。」と説明した。

その患者の父親は、「その外科医は何故、東城先生だけを指導しているのですか?」とその理由が理解できない様子でした。

主任看護師は、「親が子の面倒をみるのは当たり前でしょう。東城先生が医学生の頃から指導していましたよ。」と返答した。

その手術が開始されて暫くすると、修が運び込んだ娼婦の手術が終了して、手術室からスタッフが出て来た。

手術室の外で待機していた修と佳子が、執刀医の東城外科医を捜すと、スタッフの一人が、「東城先生は直ぐに別のオペに入られました。」と告げて去った。

修と佳子は、先程急変した患者の手術に入ったのだと思っていると、その手術室からも外科医が出て来た。

確認すると、その外科医は、「まだ手術中で、東城先生が呼ばれた外科医の手術は早く、手術についていくのが精一杯でした。東城先生以上のあんな凄い外科医がいたとは驚きました。そこへ東城先生が助手として入られると、二人とも何も喋らずに進めるので、もう何をやっているのか解らないくらい早くなりました。我々は手術室で何もする事がなくなり出て来ました。」と説明した。

実際は、テレパシーのようなもので二人は意思疎通していましたが、これが、テレジア星人特有の意思波である事は二人とも気付いていませんでした。

修と佳子は、患者の状態や、いつになれば、話が聞けるのか等を確認する必要があった為に、病室で待っていた。

看護師が蒲団や医療機器のチェック後、修と佳子に、「東城先生は、先程手術が終わられたので、もうすぐ来られると思います。」と二人に告げて病室から出ると、「あっ、東城先生。」と挨拶していた。

病室の中で修が、「先ほど東城先生は腕のいい熟年外科医だろうと期待していたじゃないか。看護師に東城先生が独身だと確認していたじゃないか。ホラ、愛の告白するんだろう?早く行って。」と佳子の背中を押した。

佳子は、「勤務中、不謹慎よ。」と忠告しながらも嬉しそうに病室から出ると、佳子は外科医らしき男性が見当たらず、ネームプレートを確認して、「えっ!?東城先生って女性の先生?」と経験のある熟年男性だとばかり思っていたのが、若い女医だったので予想外の人物に驚いていた。

修は独身女性と聞き、良いところ見せようとして、警察手帳を出して病室から出て来て、「警視庁の梅沢ですが・・・えっ!?陽子?」と修も予想外の人物に驚いていた。

陽子も驚いて、「あら修ちゃん、警察官だったの?そんな事は聞いてないわよ。」と恋人が警察官だと都合悪いなと困っていた。

修は、「ちゃんと公務員だって言ったじゃないか。お前こそ外科医だったのか。なんで教えてくれなかったんや。所で患者の状態はどうなんや!」と確認した。

陽子は、「なんでそこで急に言葉使いが変わるのよ!まっ良いか。修ちゃんには言ったでしょう!私は、切った貼ったの世界で生きている女ですって。外科医だけが、人の体を切る事、許されているのよ。」と説明した。

修は、「違うよ。切った貼ったってバクチの事だよ。」と切った貼ったって陽子はやくざと関係があるのかと思ったよ、と安心していた。

陽子は、「あら、そうなの?」と知らない振りをした。

その後、陽子は、「手術は成功しましたが、まだ危険な状態です。助かるかどうかは患者の生命力次第です。これ以上は守秘義務があるので、家族以外には話せません。」と説明した。

佳子が、「修、東城先生と知合いなの?」と二人の様子から知り合いのようでしたので、その関係を確認した。

修は、「陽子、紹介するよ。僕の姉で刑事の佳子です。」と紹介した。

陽子は、「佳子さんですか?以前もお会いしましたね。」と恋人の姉が、以前私に一人で挑戦してきた女刑事だったとは不味いな。と困り、佳子が気付くかどうか、確認した。

佳子は、「えっ?何処かでお会いしましたか?」とまさか優秀な外科医が、丸東組の大物幹部だとは夢にも思っていませんでした。

陽子は、「ええ、お会いしましたが覚えていませんか?話もしましたよ。」と佳子が気付かなかったのでホッとした。

修が、「姉ちゃん、物忘れは老化現象の始まりだよ。そうだよね、陽子。」と佳子をからかった。

陽子は、「そうね。スポーツをすれば、老化現象はある程度遅らせる事ができますよ。所で、この患者は狙撃されたという事は、狙われているのよね?安全面は大丈夫なの?」とこの話題が続けば不味い為に話題を変えた。

修は、「それはもうバッチリ。この病室は二十四時間体制で警備するから。」と説明した。

陽子は、「修ちゃん、何か勘違いしてない?私の言う安全面は、この患者だけではなく、他の患者や看護師等のスタッフの身に危険が及ばないかということです。」と看護師の肩を叩きながら説明して、「もし、他の患者やうちのスタッフに、もしもの事があれば、この患者には出て行って貰います!」とスタッフを守ろうとしていた。

別の看護師が、カッターで紙を切っていて指を切って怪我したので陽子は、「ほら、怪我した。」と笑った。

修は、「そんなん事件と関係ないやん。それにこの病院は、こんな重症患者を追い出すのか?」と陽子に迫った。

陽子は、「それじゃ、私達が納得のいく警備計画を説明してよ!」と交渉していると、患者である証人の家族が病院に到着して、陽子が説明に行った。

しかし家族は、「突然行方不明になり、保護された時には身体はボロボロで、おまけに銃で撃たれて死にそうだなんて・・・」と取り乱していて、とても説明できる状況ではなかった為に、「今は、まだ危険な状態です。病室は警察が警備しています。」とだけ説明して、落ち着いてから患者の状態を詳しく説明する事にした。

その家族は、「母は取り乱していますので、今日は顔を一目見て一旦ホテルに戻り、落ち着いてから、明日もう一度来ます。」と病室に立ち寄ってから帰った。

その後、病院内の会議室で、警備についての打合せがあり、病院側から、陽子と主任看護師と警備主任と司会進行役の事務長が出席した。

病院警備について打合せた後、陽子が、「外部から侵入した犯人が、看護師や医師の白衣を盗む事も考えられますので、白衣に騙されないようにして下さい。」と忠告した。

修は、「あのなあ、お前な!俺達に看護師や医師などのスタッフ全員の顔を覚えろとでも言うのか?」と不満そうに反論した。

陽子は、「お前とは何よ!あんたにお前呼ばわりされる覚えはないわよ!だいたい、あんたがドジなので親切に教えているのでしょう!ネームプレートを確認すれば解る事でしょう。」と怒りながら反論した。

修も、「あんたとは何や!それに俺はドジじゃないぞ!」等と二人で口喧嘩を始めた。

それを見かねた佳子は姉として黙っていられなくなり、「はい!仲の良いお二人さん、ちわ喧嘩はそのぐらいにして!」と止めた。

その後主任看護師が、「東城先生が仰ったように、ネームプレートの確認をして下さい。具体的には、職員のネームプレートには顔写真があります。顔写真の確認をして下さい。」と説明した。

修は腹の虫がおさまらず、「ネームプレートはスタッフ全員装着しているのか?例外はないのか?」と不満そうでした。

陽子は、「例外はないわ。ネームプレートのない職員がいれば身柄確保してください。ここまで説明すれば、修ちゃんでも理解できるでしょう。」と確認した。

修は、「仕事中は、その修ちゃんというの辞めろよ。」と不満そうに怒っていた。

会議の議長が、「また始まりましたので、主任が説明した東城先生の案に特に問題がないようですので、私達はちわ喧嘩に付き合っている暇がないので会議は終了します。」と宣言して、会議は終了した。

会議室を退出する時に、修が先頭でその後に佳子が続き、最後に陽子の順で退出した。

陽子は修に、「このタコ!」と後から言ったので、修が振りかえり、「なんやと!」と言い返そうとした。

陽子と修の間にいた佳子が、「いい加減にしなさい。」と止めた。

陽子は修にアッカンベーをした、その瞬間に佳子が振り返り、陽子の顔の表情を見て、思わず笑ったので、陽子は恥ずかしそうにして辞めた。


次回投稿予定日は、4月21日です。

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