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第百九章 修、陽子の信頼に答える

怪我をした社員は病院のコンサルタントと相談して、陽子のサインがある診断書を会社に提出して障害が残った事を説明し、これは会社の責任なので、仕事が今迄のようにできなくても給料は今迄の給料と通常のベースアップと生活の補助も加えるように要求し、「認められなかった場合には、弁護士を通して慰謝料も含めて法律的に要求し、必要であれば告訴し裁判も考えています。」と伝えた。

最後にその社員は、「いくら業者に補助を依頼しても、家族の負担は大きくなり、私もトイレなど人に頼めない事もあるので不便になります。しかし、そこまでは請求していません。補助を依頼した実費と今迄の給料やボーナスやベースアップの保証だけです。請求明細に慰謝料がないのはその為です。事を荒立てると会社のイメージダウンになりますので、そこの所を御理解願いたい。」と伝えた。

会社の重役達で相談して、脚立から落ちたのは彼の責任で会社には責任はない。全て会社が悪い訳ではないが、彼が説明したように裁判になれば、会社のイメージダウンになる事は間違いなく、慰謝料の請求がない事を考慮して、更に補助を依頼した実費は、その上司の給料から天引きする事にすれば彼の要求を認める事が最良の選択だという結論に達した。

会社側は彼に、弁護士に依頼する前に会社に相談してくれた事を感謝し、要求に答える返答をした。

彼は、病院のコンサルタントには、慰謝料の請求もしたいと相談していましたが、コンサルタントは、「あなたも不便になり、家族の負担も大きくなる事は理解できます。金額にもよりますが、裁判になり長引く可能性があります。当然その間は、慰謝料も認められず、給料も今迄のように仕事ができない為に減額されます。そこで何を言っても裁判の結果で判断するという返答が予想されます。出費は多くなり、収入が少なくなれば困りませんか?あなたに金銭的な余裕があればあなたの判断に任せますが、そうでなければ今迄の給料の保証と、障害による実費のみを請求し、更に、慰謝料の請求をしない事で恩を着せて、認められなかった場合には、慰謝料も含めて法律的に請求すると要求すれば、恐らく認められるでしょう。不便であれば身障者用に自宅を改造するなど、ある程度の不便さは解消可能です。改造費は請求すれば、あなたの負担になりません。但し、会社からの返答は、会社に文章を書かすのではなく、あなたが弁護士と相談して文章を作成し、社長のサインを頂き、いざという時には、裁判でも通用するようにしておかないと後悔しますよ。」と説明し、慰謝料の請求は得策ではないと助言した。

会社側は、その社員の上司を社長室に呼び出して、「彼と病院に同行して東城先生の説明を直接聞いて来ました。先生は、“障害は心停止時間が長かった為に、脳にダメージがあった事が原因で、もう少し早ければ障害は残らなかった可能性があります。”と説明されました。東城先生の携帯の着信音に気付かなかったのなら兎も角、君は、着信音に気付いたにも関わらず、何故連絡しなかったのだね。頼まれていたのだろう?他の社員は、どこに連絡するのか聞いてなかった為に君に確認したが教えて頂けず、どうにもならなかったそうです。一言ショールームだと言うだけじゃないのかね?故意に教えなかったのは、彼に恨みでもあるのかね?今回の件は君の責任なので、君が彼を全面的にサポートし、それでも今迄こなしていた仕事ができなければ、君の責任でその仕事を行うように。更に彼に支払う生活補助金は君の給料から天引きします。生活補助金は毎月異なります。彼が補助の必要な時に業者に依頼して領収書を会社に提出する事になっています。業者の代わりに君が彼の家で補助をすれば生活補助金は少なくなります。どうするのかは君に任せます。」と社長と役員から指示を受けた。

更に、「もし君が転職しようとすれば、彼は障害が残ったにも関わらず、事を荒立てないように弁護士を通さなかった彼の気持ちを踏みにじる事になる為に、その時は、我社は君に賠償請求をするからそのつもりで。要は“自分のケツは自分で拭け“という事だ。」と補足説明した。

陽子は、着信を知らせてくれなかった為にサービスが悪いと判断して、今後のサポートの事を考慮して他の販売店にしようと検討していると翌日、その販売店の上司から大学の陽子の研究室に電話があり、その上司は、「社員の怪我に動揺して、あなたの携帯に着信があった場合の事を頼まれていたにも関わらず、着信に気付いても知らせなかった責任がありますので、三台中二台はサービスさせて頂きます。」と連絡があった。

陽子は、“責任は感じているようなのでまあ良いか。私もあの時、無理に携帯を取りに行くか、カバンを持ってきて貰えば、このような事にならなかったので、責任の一端は私にもある事だし・・・障害が残ったので親父狩りの標的にされないように、しばらく組員に護衛させるか。”とその販売店から購入して、必要なアプリケーションソフトやプリンター等の周辺機器と合わせて、大学の陽子の研究室に納入して貰い、セットアップとアプリのインストールはサービスで業者が行いました。

最後に業者は、「念の為にテストします。」とテスト印字や電子メールの送受信、インターネットへの接続等の確認後、帰った。

二台サービスというのは、その上司は今回の件は自分の責任として、責任を取るという事で、一台は上司が自腹で支払い、もう一台は販売店からのお詫びという事でした。

勿論、陽子には、一台分の代金は上司が自腹で支払った事は知らされませんでした。

その上司は陽子だけではなく、障害が残った社員宅へも手土産を持って、本人と家族に謝りに行った。

社員の女房が、「主人は障害者になってしまったのよ。今後の生活をどうしてくれるのよ!子供が結婚する時も、いくら説明しても、“本当に事故ですか?障害は遺伝しないだろうか?”と疑われて結婚にも影響が出る可能性もあるのよ!」と今後の生活を心配して怒鳴った。

上司は、「申し訳御座いません。子供の遊び相手をするなど、どんな詰まらない事でも遠慮なく私に相談して下さい。今後、できる限りの援助をさせて頂きます。」と謝った。

社員の女房は、「当たり前です!」と怒っていた。

上司は、「申し訳御座いません。」と再度謝って帰った。

その上司も最初は色々とサポートしていたが、彼は、「私達は夫婦共働きで、家事は分担しています。洗濯は女房で掃除は私で、食事の準備は交替でしています。」とか言いながら、ハウスクリーニングや家政婦などを依頼し、週末は朝早くから呼び出されて、丸で奴隷のように扱き使われて、段々と嫌気がして来た。

しかし、元を正せば自分の責任なので、正面切って苦情を訴えられない為に、闇討ちしようとして、昔の不良仲間に親父狩りに見せ掛けて襲わせる計画を立てていた。

ある日、彼が一人で帰宅している所を、不良仲間に襲わせると、近くにいた丸東組の組員に、「お前ら、身障者を痛めつけようとするとは情けない奴やな。男と男の勝負をする度胸もないのか!」と睨まれた。

不良仲間達はバッジを見て、「やばい!丸東組だ!逃げろ!」と逃げた。

組員から報告を受けた陽子は、“矢張り組員に護衛を頼んでおいて良かったわ。”と思いながら、「まさかとは思いますが、念の為に、その不良の事を調べて。」と組員に調べさすと、彼の上司の同級生でしたので、驚いていると、組員から、“その上司が刃物を購入していた。”と報告を受けた。

陽子は修に、組員が助けたのを、通り掛かりの人が助けた事にして、今迄の経緯を説明して、“偶然彼の上司が刃物を購入している所を見てしまいました。彼は左マヒなので性格が変わったのかもしれませんが、彼を助けてあげて。”と頼んだ。

修は、「左マヒと性格は関係あるのか?」と陽子の言葉に驚いて確認した。

陽子は、「左マヒは、右脳に障害があるのよ。右脳は性格も司っています。逆に右マヒの場合は失語症になる事が多いです。」と説明した。

陽子も念の為に様子を見ていると、彼の上司は、刃物で彼を刺し殺そうとして、「死ね!」と襲って来た。

助けるには間に合わないと判断した修は、空に向かって銃を発砲し、その上司に、「警察だ!刃物を捨てろ!」と銃を向けて一喝した。

修は、その上司に、「殺人未遂並びに銃刀法違反の現行犯で逮捕します。」と逮捕理由を告げて手錠を掛けて署に連絡し、パトカーで連行した。

警察署で、佳子は修に、「修も刑事らしくなって来たじゃないの。陽子さんのお陰でね。」と感心していた。

修は、「陽子さんのお陰だけ余計だよ。逮捕は僕一人でしたんだよ。陽子はただ、情報を流してくれただけだよ。でもその時、近くに、先日姉ちゃんがやられた丸東組の大物幹部がいたよ。」と大物幹部が何をしていたのか理解不能でした。

佳子は、「修に情報を流してくれた陽子さんの信頼に答える事ができて良かったわね。丸東組の大物幹部がいたのは偶然でしょう。でもそんな大物幹部が何をしていたのかしら。調べてみる必要があるわね。」と丸東組が何か企んでいるのであれば未然に防ごうとしていた。

修は取り調べで、「彼は君に怒って仕返しのつもりで扱き使っていたようです。もう少し我慢すれば、彼も落ち着いて、今迄の様に扱き使われる事はなかったと思いますよ。」と彼の上司に伝えた。

彼の勤務する会社では、以前から移転する話があり、移転先を捜していて、その移転先として、車の運転ができない身障者の彼が、電車を三本乗り換えなければならない場所に、事務所を移転した。

彼は生活が掛かっていた為に、頑張って通勤していると、会社は彼に、給料の減額と、毎月の補助金の上限を定める事により、実質上、補助金も減額した。

彼には何の相談もなく、一方的に通知して来た為に、彼も慰謝料を含めて、裁判所に告訴した。彼は病院のコンサルタントの助言に従い、弁護士に文章を作成して貰っていた為に、裁判では、会社が一度は生活補助金を支払っていた為に、非を認めたと認定して、彼が定年するまでの給料と慰謝料と今迄の生活補助金の平均から、男性の平均寿命までの補助金を一喝払いする事になり、彼も定年までの給料を受け取った為に、会社を退職した。


次回投稿予定日は、6月14日です。

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