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第百五章 マリの同僚、戦争に巻込まれる

マリは次郎の会社で、たまに通訳もしながらOLをしていたが、空軍との約束で、夏休みや正月休みなどの長期休みにはアメリカへ行っていた。

社員の近藤は、「社長の姪御さんは良いよね。皆、夏休みを返上して仕事しているのに、のんびりと海外旅行だものね。俺なんか、明日からいつ戦争が勃発しても不思議ではない東南アジアへ出張だぜ!」と不満で陰口を他の社員に広めていた。

他の社員は、「そう言わずに、そんなに危険な地域なら出張は許可されないだろう。考え過ぎだよ。それに芹沢さんは正社員じゃなくアルバイトなのだから彼女に当っても仕方ないよ。」とマリの肩を持つ社員もいた。

近藤は、「人事だと思って、お前はそこに出張に行かないからそんな事が言えるんだ。実際に出張に行く者の身になれよ。」と怒っていた。

不満を訴えながらも出張した近藤は、東南アジアで案の定、戦争に巻き込まれた。

マリは夏休み、アメリカに到着直後、“急に東南アジアで戦争が勃発し、体制が整ってない為に、出撃する兵士が不足しています。“と上官から指示されて、東南アジアへ出撃する事になった。

アメリカ本土から、一旦沖縄空軍基地に来たので次郎に電話して、急に出撃する事になった事を伝えた。

マリは、「突然、軍隊が越境して戦争が始まったので、東南アジアへ出撃します。もし私が帰らなかったら、戦死したと思ってね。」と冗談交じりで出撃する事を伝えた。

次郎は、「マリ、冗談言っている場合じゃない。社員の近藤君が、その東南アジアに出張していて、朝から何度も連絡しているのだが連絡が取れず安否が解らないのだ。」と心配していた。

マリは、「えっ、あの近藤さんが?解ったわ、私も気を付けておくわね。でも何でそんな危険な地域へ出張させたのよ。仕事と人命とどちらが大切なのよ。」と次郎の考えに疑問を抱いた。

次郎は、「いや、戦争がそんなに急に始まるとは思わなかったのだよ。」と弁解していた。

マリは、「何を言っているのよ。いつだって戦争は急に始まるものよ。いつから戦争を始めましょうと打ち合せして、戦争を始める国はないわよ。日本の真珠湾攻撃を見れば解るでしょう。」と次郎の非常識さに驚いていた。

次郎は、「いや、あの時、日本は事前にアメリカに通知したのだよ。ただアメリカの日本大使館が、これは重要な文章だと判断して、大使が事務員を使わずに自分で直接文章をキーパンチした結果、大使は事務員のように慣れてなかった為に時間が掛かり、結果的に真珠湾攻撃の方が先になってしまっただけだよ。」と説明した。

マリは、「解ったわよ。兎に角、戦地の状況を私が見てくるから捜しに行くような馬鹿な真似は辞めてよ。」と警告した。

次郎は、「いくら私でも戦争中の国には行かないよ。でも戦死したら帰って来ないと言っていたじゃないか。戦死しなくても、捕虜になれば帰れないのじゃないか?そうだ捕虜といえば、お前子供の父親の事は何度聞いても何も言わないのは、捕虜にされて敵兵士数人にレイプされて父親が誰なのか解らないのか?」と笑った。

マリは、「叔父さん!何てこと言うのよ。そんな事はありません!」とキレた。

次郎は、「そんなに怒るなよ。ジョークだよ。」と謝った。

マリは、「言って良い事と悪い事があるわよ。それはセクハラよ。兎に角、私が連絡するまで余計な事はしないで。」と再度警告した。

次郎は、「だから、戦争中の国には行かないと言ったじゃないか。」と何度も五月蝿いなと不機嫌そうでした。

マリは、「何を言っているのよ。先日韓国に行ったじゃないの。韓国は現在戦争中よ。北朝鮮との間にあるのは国境ではなく、休戦ラインよ。今は休戦しているだけで、戦争は終わってないのよ。」と忠告した。

次郎が、「えっ?それ本当か?」とあんな平和な国が戦争中だとは信じられずに確認した。

マリは、「何よ、その言い方は!丸で私が嘘を言っているみたいじゃないの。韓国に行った時に何も感じなかったの?例えば、民間空港が隣同士にあったでしょう?あれは戦争が再開すれば、一方の空港から戦闘機が飛び立つのよ。それに高速道路は、日本のように曲がってなかったでしょう?直線でしたしょう?それは高速道路から戦闘機が飛び立つからよ。今度行く時には気を付ける事ね。市内が一望できる高台等から写真を撮ると、スパイ容疑で逮捕されるわよ。叔父さんこそ捕虜にならないようにね。兎に角、軽はずみな事はしないように。」と警告してマリは出撃した。

マリの任務は、越境軍隊を爆撃する爆撃機の護衛と、陸上への攻撃と、必要に応じて着陸する為に、垂直離着陸機での任務でした。

爆撃機を撃墜しようと襲ってくる敵戦闘機をマリは撃墜し、爆撃機の任務は無事完了した。

爆撃機の編隊長はマリに敬礼しながらお礼して基地に帰還した。

爆撃機の攻撃終了後、マリは戦地上空から視察していた。

銃撃戦を避けて民間人がバラバラになり逃げている様子が確認され、その中の一人が兵士に銃で足を撃たれて倒れ、民間人に止めを刺そうとしていた兵士をマリが戦闘機から銃撃して、助けた。

銃撃した時に、地上近くを飛行した為に、会社でマリにイヤミを言っていた近藤である事が確認できた。

周囲に人影はなく、近藤は動けないようでしたので、マリは空軍に報告の上、近藤の近くに着陸して助けようとした瞬間、近くに隠れていた敵兵士が銃撃して来た。

銃弾は偶然マリが所持していた銃に当たり助かった。

敵兵士が何故近藤を撃たなかったのかは、マリが上空から近藤を助けた為に、垂直離着陸機なので、隠れていれば近藤を助けようとして着陸すると判断して、マリが着陸するのを隠れて待ち、パラシュートで脱出した敵戦闘機のパイロットが、垂直離着陸機を奪おうと攻撃して来た。

敵兵士はマリを射殺したと油断していた。

マリは拳銃で応戦して、その敵兵士を射殺した。

他にも敵兵士が隠れていた。

足を撃たれて動けない近藤を抱えている余裕はなく、銃を発砲しながら、痛がっている近藤の腕を引っ張り、半分引きずるようにして近くの瓦礫に身を潜めた。

銃撃戦をしていると、近藤は泣きながら、「助けて~死にたくないよ~。」と失禁していた。

マリは銃撃戦しながら、「こんな事で“おもらし”するとは情けないわね。男でしょう!いつ迄オシッコしているのよ。もっと確りしなさい。」と忠告した。

近藤はまだ泣きながら、「そんなの無理だよ~・・・ん?・・・あれ?女性なの?それに今、日本語で喋りましたか?」と何がどうなっているのか解りませんでした。

マリは銃撃戦の途中で攻撃を一時中止して様子を見ていた。

敵兵士は、パイロットが所持している銃弾の数は少ないと判断して、銃弾が底をついたと判断して、銃を構えて出てきた。

マリは、垂直離着陸機で着陸する可能性もあった為に、銃弾を多めに持ってきていて、敵兵士が出てきて、全員でてきた事を確認すると、敵兵士全員射殺した。

マリは、「私の声が解らないの?近藤さん。」とヘルメットの防風を上げた。

近藤は驚いて、「えっ?芹沢さん?何故ここに?」とマリが何故兵士としてここにいるのか理解できませんでした。

敵は、垂直離着陸機を奪おうとしていた為に、無傷でしたのでマリは、「それは後でゆっくりと説明するので行きましょう。もうオシッコは止まった?早く止めないと追手が来るわよ。ほら私の肩に掴まって。」と近藤を戦闘機に乗せて離陸した。

マリは上官の指示に従い、沖縄空軍基地へ向かった。

その途中で敵戦闘機に遭遇した。

マリは、「近藤さん、今から空中戦になるので確りと掴まっていてね。」と警告した。

しばらくすると、敵戦闘機と空中戦になった。

近藤は、「ウワーっ!助けて!目が回る、墜落する!死ぬ!」と戦闘機の後部座席で大騒ぎしていた。

敵戦闘機を撃墜後、マリは、「近藤さん、空中戦は終わったのでもう大丈夫ですよ。追手が来なければね。」と空中戦が終わった事を告げた。

近藤は、「全速力で早く逃げて!」と真っ青な顔をしていた。

マリは、「もう大丈夫よ。戦争空域を抜けたので心配しないで。」と近藤を安心させた。

近藤は、「戦争空域の外まで追い駆けて来ない?」と心配そうに聞いた。

マリは、「追い駆けて来る可能性はあるけれども、レーダーに反応がないので大丈夫よ。」と返答して、沖縄空軍基地に無事着陸した。

マリは近藤を医務室へ連れて行き、手当てして松葉杖の近藤を基地内の喫茶店へ連れて行き、「紅茶でも飲みながらゆっくりと休憩してね。」と安心させて、携帯で次郎に電話して、近藤さんを無事に救出した事を報告した。

「近藤さんは足を負傷しましたが無事救出しました。私は今から、もう一度戦地へ出撃します。近藤さんは今、沖縄空軍基地にいますので、携帯は繋がりますよ。」と次郎を安心させようとした。

マリは、「近藤さん、私が海外旅行しているので羨ましいような事を言っていたらしいじゃないの。今度は陸軍兵士と自動小銃片手に銃撃戦の中を走り抜けますが、そんなに羨ましかったら一緒に来ても良いわよ。」と悪口を広められたリベンジをした。

近藤は、「遠慮しておきます。」とまさかマリが軍人だったとは予想外でした。

マリは笑いながら、「もう、オシッコは止まった?今後の事は、この人に頼んでいるので心配しないでゆっくりとしてね。」と基地の事務員を紹介してマリは再び戦地に出撃した。

早速次郎から近藤の携帯に連絡があり、マリに救出されて無事である事が判り、安心していた。

次郎は、マリが近藤に紹介した事務員と相談して、近藤の家族を連れて沖縄空軍基地まで迎えに行った。


次回投稿予定日は、5月30日です。

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