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黒天の破壊者  作者: Solu
第一章 暴食の大陸編
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第一章)第三十一話 理由

 洗いざらい吐かせた結果、やっぱり、雇い主はアルフォンス、つまり、俺の父親だった。


 「予想通りだが、さて、どうするか・・・」


 多分、今すぐにどうとしなくてもいいだろうな。襲撃が失敗したのはわかるだろうし、わかれば基本的に慎重になってくれるはずだ。まあ、無謀にも襲撃してきても、セレーナのそばには俺がいるし、襲われても何とかなると思うが。


 「ねえ、セイト君」


 そんなことを思いながら、いろいろと対策を考えていると、セレーナが話しかけてきた。


 「なんだ?」


 俺は一旦思考を中断し、セレーナの方を向く。


 「ずっと聞こうと思ってたんだけど・・・その・・・」

 「―――何で、助けてくれるのか、か?」


 セレーナの言いよどんでいることを言ってやると、セレーナは「うん」と答える。


 「さっき言っただろ、気に入ったからだって―――」

 「―――それだけじゃないよね」

 「・・・」


 ・・・一応、それだけ、ではないといえば、まあそうだ。


 「・・・さっき言った通りの理由だ。俺はお前のことが気にいったから助けているだけだ」

 「・・・確かにそうかもしれないけど、何か隠しているよね。多分、嘘はついてないけど」


 セレーナの指摘は的を射ている。

 俺は、セレーナの性格、実力、その他色々と気に入っている。セレーナが言っているのはこのその他の部分だ。

 実のことを言ってしまうと、俺がセレーナを助け、そばに置く理由は、このその他の部分が一番大きい。

 セレーナは、俺の表情を見ながら、言葉を続ける。


 「多分、私の裏人格みたいなのが関係しているんじゃない?」

 「・・・」

 「・・・やっぱり」


 正解を言われ、微妙に表情が動いたのだろうか。

 セレーナは俺の表情の動きから、自身の考えが間違っていなかったことを確認すると、俺に説明を求める。

 俺は、お手上げといった感じに両手を上げてから説明し始める。


 「まあ、あれだ。お前をそばに置いておく理由で大きいのが、裏人格の持っていた情報だ」

 「情報?」

 「ああ、詳細は言えないが、俺の強さの理由、といったところか」

 「それを私のもう一つの人格が見ちゃった、ってこと?」

 「いや、違う」

 「?」

 「あいつはもともと知っていた」

 「!?・・・それって・・・どういうこと?」

 「なんであいつが知っていたのかは知らないが、まあ、そういうわけだ。ついでに、それ関連であいつには聞きたいこともあるし」

 「・・・聞きたいことって?」

 「それは答えられない」


 聞きたいことというのは勿論、『計算行動』のことだ。まあ、一番重要なのは『計算行動』だけれども、一番気になっているのは他に言っていた『黒の力』の方だな。

 裏人格のセレーナは、俺が持っている、と言っていたが、前世で持っていた特殊技能に該当するようなものはない。あえて言うなら、『計算行動』あたりが当てはまるのかもしれないが、それは別枠で言われていた。となると、必然的に今世で手に入れた力、『魔法』だということになる。そして、他で確認されている属性を抜かすと、俺の固有ユニーク属性の『破壊』だけとなる。

 この属性『破壊』は、正直、俺自身は全く使いこなせていない。理由としては、他に使える奴がいないからだ。

 俺の『計算行動』は、元々俺が素質を持っていたことも大きいが、やはり、一番は、『師匠』がいたのが大きい。俺の技能は、基本的に模倣だ。というか、それしかできない。それなのに、『破壊』属性を使える人がいないため、ちゃんとは使えない。魔法だけなら問題ない。書物とかに載っているからな。しかし、書物にも載っていない『破壊』属性は使いこなせない。まあ、魔法自体、使いこなせているかといえば、そういうわけでもないと思うが。

 そんな訳で、何か知っているなら教えてもらいたい、というのが本音だ。使い方自体を知らなくても、その情報があるだけで、だいぶ変わるからな。


 「じー」


 ・・・会話中に思考に没頭していた俺を不審に思ったのか、セレーナが超至近距離で擬音語を言いながら、見つめていた。

 とてつもなく近かったので、流石に動揺する。

 なんというか、超至近距離で見ると、相手は7歳児なのに、かなり魅力的に見える。

 ・・・今日の朝は特に何も感じなかったのに、なんというか、急に感じ方が変わった。

 って、やばい。これだと俺がロリコンみたいじゃないか。


 「(俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない)」

 「・・・どうしたの?」

 「い、いや、なんでもない」


 動揺を打ち消すように頭の中で、俺はロリコンじゃない、を繰り返して頭を抱えていたら、心配された。超至近距離で。


 「・・・とりあえず、離れてくれ」


 ・・・なんというか、朝と全く逆だな。





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