第一章)第三十話 早すぎ
:セイト:
「・・・ど、どういう意味だ・・・セイト?」
「言ったとおりの意味ですよ。セレーナを家に置くことを認めないというのなら、この家から出ていく、と言っているんです」
「な、何故?」
何故、と聞かれたが俺はそれを鼻で笑う。
「へえ、そっちはセレーナを置くことに反対する理由を全く話さないのに、何故、と聞きますか?」
ついでにとてつもなく軽い殺気を飛ばす。相手に余裕を失わせ、判断力を低下させるためだ。と、いっても、この世界の奴らに必要かどうかはわからんが。
俺の飛ばした殺気で、意外にも母が気絶してしまう。・・・まさか、この程度で気絶するとか、完全に予想外だった。受付嬢さんでもギリギリ大丈夫だったから、大丈夫と思ったんだがな。・・・まあ、別にいいか。ちなみに、それ以外の面子は冷や汗をかく程度にとどまっている。
俺の様子に、流石に戸惑ったのか慌てて取り繕ってくる。
「そ、それには色々と深い訳があっt」
「どんな訳ですか?」
「い、いや、それは・・・」
「答えないなら、出て行くだけですが」
「・・・」
ここまで言っても、理由を言わないか。流石に、理由がない、ということはないだろうけど。
10秒待っても返事がない。
よし、予想通り。
「答えがないようなので、出て行きます」
そう言いながら、俺は後ろを向いて、セレーナの腕を掴み、出ていこうとする。セレーナは急に俺に腕を掴まれて困惑していたが、おとなしくされるがままになっている。
「ま、待て」
予想通りすぎる反応に、笑いをこらえながら、出来る限り威圧するような声で言葉を出す。
「・・・何ですか?」
その声にたじろぐが、声を返してくる。
俺の予想では、ここで理由を話してくるか、残る方がいい的な感じで説得してくると読んだのだが、予想とは違った答えを返してきた。
「お、置いておいていいから、出て行かないでくれっ」
・・・色々と用意していたセリフが無駄になった。
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その後、俺は自分の部屋にセレーナを連れ込んだ。文面だけを見れば、なんか、変態のように見えるが、これからセレーナがこの部屋で寝泊りするからだ。
・・・更にいかがわしく見えるが、護衛しやすいという理由だ。
おそらく、というか、ほぼ確実に両親はセレーナを殺そうとしている。理由は、セレーナを置いておきたくないのと同じだろうな。詳細はわからんが。
とりあえず、俺と離れるのは危険だと判断し、両親の反対を押し切り、俺の意見を通した。
「セイト君の部屋って、なんか大きい・・・」
「まあ、一応、上級貴族の一人息子だからな」
セレーナの呟きに、適当に返しながら、俺は『計算行動』で周りの気配を探る。すると、案の定、屋根裏を通って近づいてくる気配があった。・・・寄越してくんの早すぎだろ。
俺は、大雑把にそいつの足を狙って、『破壊』属性魔法を行使する。
「ぐぎゃあッ」
急に天井裏から聞こえてきた男の呻き声に、セレーナがビクッとする。
俺はセレーナの反応を無視し、風属性魔法で天井の一部を正方形に切断。そこから魔法で押し出させ、俺の前に落とす。
全身黒ずくめの両足を失った男だった。まあ、両足をやったのは俺だけど。というか、両足の傷口から流れる血がすごいことになっていた。汚れが気になるけど、魔法でなんとかなるとは思うからいいか。
とりあえず俺はそいつに向かって、ニタ~、と悪い笑みを浮かべ、
「さてと、洗いざらい話してもらおうかなぁ」
と言った。




