第一章)第二十九話 捨ててこい
「駄目だ。捨ててきなさい」
「だから何故、と聞いているんです」
「駄目なものは駄目だ」
家に帰った俺は、セレーナのことを両親に言い、家に置いておくことを頼んだ。勿論、いくつかの情報は伏せてある。おそらく、性格的に断らないだろうと思ってのことだ。
しかし、帰ってきた答えは捨てて来いというもの。まさか、そう言われるとは思っていなかった俺だが、両親と比べれば俺の方が頭がいい。論戦になれば、俺の方が絶対に勝つ。両親もそれがわかっているのか、理由も説明せずに駄目の一点張りになっている。
「理由を説明されなければ納得できませんが」
「納得する必要はない。駄目なものは駄目だ」
事前にこのような事態が予測できていれば、対策などが取れただろうが、俺は大丈夫だろうと思い込んでいた。その為、俺の選択肢は少ない。そして、セレーナをここに居させるための手段はこの状況では1つしか思いつかない。
「―――では、この家を出ます」
「「「「「!!??」」」」」
その言葉に、その場にいた俺以外の全員が驚愕した。
―――――――――――――――
:セレーナ:
私は、セイト君に連れられて、彼のいる国であるミニマム王国にきた。そして、セイト君に向けられてくる視線におどろいた。
何か、とてつもなく危険なものを見るようなものだった。絶対に触れてはならない。そんなような視線ばかりだった。
私がセイト君と会ってからまだ1日くらいしか経っていないけど、周りの人の会話とか、見た感じとかで彼の特徴はいろいろと挙げられる。
金髪碧眼の女性のような整った顔立ち。歳に不相応な知識、判断力。そして、異常なまでの威力の魔法と他の特殊能力的なもの。性格は自己中心的だけど、基本的に自分に敵対しない人に対しては優しい。でも、逆に敵対する人に対しては徹底的に痛めつけるような人、だと思う。周りの会話とかを聞いていると。
セイト君がそんなような視線に晒されるのはつまり、そういう噂とかのせいだと思う。ギルドとかに入った時の感じからして、根も葉もないってわけじゃなさそうだけど。
そんな感じの視線を私も浴びながら、セイト君のお屋敷に連れられてきた。
セイト君のお屋敷に入ると、侍女さん達に珍しいものを見るような視線を受け、執事さん(だと思う)には2度見され、メイドさん(だと思う)は幻覚でも見たのかのように目をこすっていた。
セイト君が誰かを連れてくるのは相当珍しいみたいだった。
私は、セイト君に連れられるまま、応接室のような場所に通された。
そこには、さっき2度見してきた執事さんと、目をこすっていたメイドさん、それから多分、セイト君の両親だと思われる人がいた。
「セイト、どういうことだか説明してくれるよな?」
最初に口を開いたのはセイト君のお父さんだと思われる人だった。セイト君は、これまでの経緯を時々ぼかしながら説明した。
「―――ということです」
「・・・で、何故その子を家に置く必要があるんだ?」
「気に入ったからです」
「「「!?」」」
いきなりの発言に、私の顔が真っ赤に茹で上がった感覚がした。
「(き、気に入ったって・・・ま、まさか、私のことをす・・・す・・・)」
頭の中で変なことを考えながら続きを聞く。
「彼女の能力は極めて利用価値が高いです。加えて、頭の回転も早い。その他にもまあ、色々とありますが、当家に置いておくのにはこのくらいで十分でしょう」
・・・なんだ、そういう意味か・・・。わたしはてっきり、セイト君が私に気があるのかと思ちゃった。
でもまあ、多分、このくらいの理由があれば納得させるのには十分だと思う。だから私は、セイト君のお父さんが私を置いておけないといったのが全く理解できなかった。
「―――だから何故、と聞いているんです」
「駄目なものは駄目だ」
セイト君は何故駄目なのか理由を聞いているけど、論戦になればセイト君に言い負かされてしまうと理解しているのか、理由を言わない。
「理由を説明されなければ納得できませんが」
セイト君が当たり前のことを言う。
そうだ、何の説明なしじゃ納得できるはずがない。
「納得する必要はない。駄目なものは駄目だ」
は?
意味がわからなかった。
納得する必要もないからただ出て行け?
息子が連れてきた友達を訳も言わずに追い出すようなものじゃないか。
そう思うと、図々しくもなんというか、無性に腹が立ってきた。
相手がセイト君の親だということを忘れて、魔法を構築しようとして、
「―――では、この家を出ます」
「「「「「!!??」」」」」
セイト君の一言に思わず動きを止めた。
次話投稿は来週の月曜日です




