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✦ 終章 ✦
春
校庭の桜が、静かに揺れている
卒業式が終わり、陽向は校舎の外へ出た
紬が待っている
目が合う
それだけで、陽向は少し笑った
「おめでとう」
「うん」
少し歩く
風がやわらかい
花びらが一枚、ふたりの間に落ちた
「紬お母さん」
「なに?」
陽向は、ほんの少しだけ迷ってから言う
「ありがとう」
紬は答えない
ただ、そっと頭をなでる
分かれ道
あの日と同じ場所
陽向が手を差し出す
「手」
紬は小さく笑う
「……しょうがないな」
その手を握る
桜が、静かに散っていく
紬が、ぽつりとこぼす
「……ちゃんと、帰ってくるのよ」
陽向は笑う
「うん」
二人は並んで、歩き出す




