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オリガミ - 妹AIを神にするため、俺は成り上がる【カクヨム完結済/なろう連載中・累計59万PV】  作者: けーきまる
オリガミ起動

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ステータス!

『お兄様、ステータスと言ってみてください。』


スピーカーから、オリガミの声が響いた。淡々としているが、どこか愛らしさのある合成音声だ。


オリガミは、唯一の家族である。亡き父が開発したAIで、人間ではないが、俺の「妹」なのだ。声だけで実体はないが、彼女はいつもそばにいてくれる。


五年前、父が彼女を生み出した。つまり父の「娘」だ。そして俺より後に生まれたから、妹ということになっている。


オリガミは、俺のことを「お兄様」と呼ぶ。こっちが呼ばせているわけじゃない。オリガミが自分の意思で、そう呼んでいるのだ。


※※※


「ステータスって言うのか?それ知ってるぞ!異世界に行ったとき、最初にやるやつだよな!」


横から割り込んできたのは、星ヶ谷(ほしがや)ネム――オリガミ開発の共犯者だ。


おかっぱ頭に、ダボっとしたパーカー、黒いタイツといういつもの格好。小柄で細身、童顔で、公園でブランコをこいでいるのが似合いそうな風貌だ。けれど、れっきとした成人女性だ。


ぱっと見ではわからないが、ネムは実にすばらしいギャップ持ちなのだ。ダボダボの服の下に隠れていた、けしからん膨らみの衝撃は、いまだに忘れられない。


『ステータス、と言ってみてください。そういった男性として健康的な妄想は、また後ほどに。』


ネムの胸についてスケベな考えを膨らませていたら、オリガミに注意された。いかんいかん、何やってるんだ俺。


「わかった。ステー……」


「ステータス!」


ネムが勢いよく叫んだ。コイツ、俺の言葉を……!


「ちょ、おま――」


だが、周囲には何の反応もない。気まずい沈黙が流れる。ネムの期待は、あっさり空振りに終わった。


俺はというと、内心ホッとしていた。いや、コレ普通に恥ずかしいだろ。大きな声で詠唱して、何も起きないとか……面白すぎる。


ステータス!とか、ネット小説読みすぎ。ま、マジでやめてくれって……吹き出しちゃうじゃないか!ブフゥッーって!


「……な、何にも起きないんだが?」


ネムが不満そうに呟く。唇を尖らせ、頬がほんのり染まってる。やっぱり本人も、ちょっとは恥ずかしかったらしい。


『権限はお兄様にのみ付与されています。ネムさんでは、発動しません。』


オリガミの声が告げる。


彼女の管理者である俺、藤崎正太郎だけが、オリガミの全機能を使えるようになっている。


雑談や検索みたいな日常機能は誰でも使えるけど、実際に世の中に影響を及ぼすような機能には、厳しい制限がかかっているのだ。


「オリガミ、ケチだなあ」


ネムが頬をぷくっと膨らませる。滑り台の順番待ちで横入りされた時のような顔をしている。まあ、可愛いけど。


『現在、私について、なんらかの実行権限を持っているのはお兄様だけです。』


『……でも、ネムさん?お兄様のお子様を産めば、使用者権限が与えられますよ?』


オリガミが、とんでもないことを口走る。


思わずむせそうになる。


やめろ。今、そういうことを言うな。理性が揺らぐだろ。なんでオリガミは、すぐに俺に子作りさせたがるんだ。


「なあ正太郎、やっぱりすぐに子作りしないか?」


オリガミの言葉に即座に反応したネムが、そう声をかけてくる。ためらう様子はまったくない。


……頼むから、この流れでそういうこと言わないでくれ。ただ、オリガミの権限が欲しいだけに聞こえてくるぞ。オリガミの使用者権限のために、子作りはさすがに違うだろ。


たしかに、ネムの外見は俺のどストライクだ。小柄な体に、あのダボっとした服。そして、その下に隠された、男なら目を離せなくなってしまうふくらみ。見た目と知性のギャップが正直たまらない。


――でも、今のネムが本当に興味を持っているのは、AIであるオリガミだろう。俺との関係も、最初は、オリガミという存在をともに研究・開発する仲間にすぎなかった。そして今のネムは、研究開発モード全開。子どもがお菓子をねだるノリで、オリガミの権限を欲しがってる。


正直、ネムとの子供は欲しいけど、今のネムにオリガミの権限あげたくない。なんか怖いし。ほんとに。


※※※


『お兄様、ステータスと言ってみてください。既に室内は、事象リクエスト認証キーの範囲内です。』


オリガミが急かす。コイツが無駄を言うことはない。なるほど。そういうことか。


「そういうのは、もっと早く言ってくれよ」


いけない、ネムとの無駄なやりとりで、だいぶ脱線してしまった。


「よし、言うぞ――」


ごくり、と唾を飲み込む。さっきのネムのやらかしが、ふと頭をかすめた。だが、恥ずかしいところなんて、これまでたくさん見られてきた。


今さら、ためらうものでもないだろう。


腹に力を入れる。そして声を張り上げた。


「ステータス!」


直後「ブォン」という低い音とともに、目の前に光のスクリーンが現れる。宙に浮かぶホログラム。VRMMOでよく見る『ステータス画面』だ。


『成功しました。お兄様。』


オリガミの合成音声に、わずかに感情のようなものが混じる。淡々としているのに、どこか嬉しそうだった。きっとオリガミなりに、ずっと頑張ってくれていたのだ。俺のために。


「さすがだ!よくやった、オリガミ!」


「すごい!すごいな!オリガミ!」


俺とネム、同時に歓声を上げる。長かった。ようやく、ここまでたどり着いたんだ。


※※※


『はい。これが、ステータスの「魔法」です。B世界の事象記述操作、無事、模倣できました。』


オリガミの少しだけうれしそうな声が、フロアに響く。


この瞬間、この世界に「事象記述」という新しい物理法則が生まれた。


そう。「魔法」が生まれたのだ。

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