森の奥で
「はぁはぁ…」
深い森の中に建てられた廃教会の中に、黒いローブの男達の荒い呼吸が響く。
「ない…どこにも…!」
教会地下に安置されていた宝物箱を片っ端に開きながら、焦燥に満ちた声を漏らす。
「おい、アレはまだ見つからないのか!」
部下を急かすリーダー格の男。
首には不気味な紋章の首飾りがかけられており、一対の口髭を生やしている。
「ダメです、どこにも見つかりません」
廃教会を捜索すること更に一時間、どうしても目的の代物が見つからないことに音を上げた部下が男に報告する。
「くそ、どうして見つからない!?
あれは先代様の遺品の一つだぞ!
まさか、誰かに持ち去られたというのか!?」
右手に持った杖で地面を打ち付けて男は怒りを表す。
「くそ、こんなこと、あのお方には報告できないぞ!
どんな手段を行使してでも探し出せ!
それとここの宝物は運び出し、教会は焼き払え!」
「よろしいのですか!?」
教会を焼き払えという命令に動揺する黒いローブたち。
「部外者が侵入して盗み出した恐れがある。教会を焼いて我々の痕跡を消し去れ!」
「承知しました!アンバリラさま!」
リーダー格の男もといアンバリラの命令を承諾する男たち。
教会内の財物を運び出し終えると、証拠隠滅のために火を放って撤収する。
メラメラと音を立てて燃え上がる教会。
「……」
森の茂みの中。
遠くから身を隠して事の一部始終を見ていたコノハがゆっくりと立ち上がる。
首元にはアンバリラが身に付けていた首飾りと酷似したデザインのアクセサリーが火焔の光に照らされて不気味に輝く。
「あれはラグナース教の関係者か?」
自身の首飾りを見ながら、そう呟く。
護衛依頼の合間の呪物収集で見つけた廃教会。
その地下に安置されていた財宝の一つである首飾りを手に入れた後、さらなる呪物を求めて再び立ち寄った先で遭遇した謎のローブ集団。
彼らの後をつければさらなる呪物を手に入れるかのしれないと、俄かに期待してコノハはその場を後にする。
教会がガラガラ音を立ててと崩れだし、落下した鐘楼の鐘が森の中で「ゴーン」と不気味に響き渡る。




