骨董品
アンカラ達がジェネラルと対峙している頃。
もう一つの入り口から突入したダルボンことアーサーは洞窟内にいたゴブリンを手早く処理していた。
両手に短剣を持ち、的確に喉笛を裂いてゆく。
「……」
小さな断末魔をあげて倒れるゴブリンたちを歯牙にもかけず、アーサーは光源を持たずに無言のままダンジョンを進む。
「グルルルルルル…」
奥から響く唸り声。
夜目を効かせて音源を探れば、洞窟狼に騎乗した五体のゴブリン達。
ゴブリンは騎士に成り切っているつもりなのか、首輪から延びた手綱を握り、どこか誇らしげに錆びた剣を持っている。
「ギャ!」
リーダー格らしきゴブリンが何か指示を下すと、四体の部下のゴブリン達は狼を駆って突撃。
瞬く間にアーサーの四方を取り囲み、攻撃の機会を伺う。
(浅知恵だな)
ゴブリンたちが一斉に突撃した刹那、アーサーは素早く走って包囲を抜けると、短剣を投げてリーダー格の首に突き刺す。
『最大の隙は攻撃時に生まれる』
アサシンの養成所でそう教えられたアーサーは、勝気になって油断している相手の隙をうかがうことで依頼を片付けてきた。
今回も例に漏れず、ゴブリンたちは相手を包囲しただけで勝ちを確信していた。
リーダーを討たれ、統率が乱れたゴブリンたち。
いかに数が多くとも、そうなってしまえば意味はない。
バラバラに襲い掛かるゴブリン達を洞窟狼と一緒に一体、また一体と的確に切り倒すと、再び前へと進む。
「これは、宝物庫か?」
目の前に現れた木製の扉。
ギィィィと音を立てて開けると、 彼らが集めた道具類が乱雑に並べられている。
森を通っていた商人から略奪したものなのか、値札の付いたアンティークがチラホラ。
中には盗品なのか、紋章の刻まれた宝飾品や輸出が規制されている禁制の品まで置かれている。
「価値の分からないゴブリン共め」
骨董品の雑な扱いに静かに怒る。
放置されていた事から劣化して壊れてはいるものの、修繕すれば機能しそうなものがいくつかあった。




