帝国の街
翌日、アルトロ達は帝都の街の散策に出ていた。
王国よりもはるかに進んだ機械文明の街をガイド役のルビスを先頭に進む。
整備された道路には人を乗せた魔導車両が行き交い、帝国の民たちはお洒落な服に身を包んで道を歩く。
「まるで別世界だな」
帝都を見まわしてそう呟くアルトロ。
レンガ造りの建物が主流の王国とは違い、見渡す町並みはシンプルな構造の建物が並ぶ。
冒険者時代に帝国に来たことはあるが、帝都に来たのは今回が初めてであり、スケールの違いに全員が圧倒されている。
特に目を引くのは天に届きそうな程の高層の建造物。
「あれは、ヴァルマン城に次ぐ帝国の高層建造物です。
最上階からは帝都全域を見渡すことができます」
「これを人が建てたなんて、信じられないですわ…」
目の前にあっても信じられない光景に、絶句するクラン。
皇族の敷地ならばいざ知らず、民間人の行き交う地でさえこのような建造物を建てる辺り、帝国の力を実感する。
ルビスに案内され、屋内に入る。
そこには清潔感のあるロビーが広がっており、二基のエレベーターが設けられている。
エレベーターに乗って上昇すること二十秒。
四方がガラス張りの最上階へと着く。
ルビス曰く、神界をイメージしてデザインされたらしく、ガラス越しに帝都を見下ろす心情はまさに天上人の様である。
「すごいな…」
ガラスに手のひらを当て、地上を見下ろす一行。
地平線の彼方までが視界に映る。
備え付けられた大型望遠鏡を使って帝都をつぶさに観察するアルトロ。
無数の人々が行き交い、沢山の車両が人や荷物を載せて道を走る。
「…」
望遠鏡を動かして視点を変えれば、帝都を囲む巨大な運河が映る。
先々代の皇帝主導のもとにが行われた巨大事業によって建造されたこの運河は、物流の活発化と帝都防衛を目的に築かれ、帝都を難攻不落の城塞都市としている。
「帝都を守るロレスト運河は二レス川から引かれ、三百キロ離れたダラッド公国の領海へと続いております」
「ダラッド公国と手を組んで運河を築いたのか?」
ルビスの口から出た「ダラッドの領海」という言葉にグレゴールが質問する。
「当時は帝国領でしたが、紆余曲折の末にダラッド公国の手に渡り、現在のような形となりました」




