白銀の翼
昇級試験の許可が下りて一か月。
ようやく完成した装備を身に付けたアンカラ達は、ダンジョン攻略に向けたトレーニングを兼ねてモンスターの討伐クエストに赴いていた。
秋風の吹くアスリー平原。
角の生えたキラーウサギや近くの森から出てきたはぐれゴブリンなどのモンスターを次々と片付ける。
「アンカラさん、こっちは大丈夫です!」
響く声。
視線を向ければスライムの集団を討伐した、白銀の翼を名乗る駆け出し冒険者パーティ。
男女二人ずつの四人組で構成されたパーティは、アンカラと同じ昇級試験に向けて受験者同士の息を合わせるべく、クエストに赴いていた。
アンカラ達とは違い、採取依頼や落し物の探索など比較的安全なクエストを中心にこなしており、冒険者としての歴は一か月ほど長い。
「大分片付いてきたな」
両断したスライムの前で、依頼書を確認する。
モンスターの討伐のほか、平原における落とし物の探索や物品の運搬などの、所謂お使いのような内容が記された駆け出し用の依頼書を何枚も確認して達成の印をつける。
「それにしてもすごいですね、モンスターをこんなに簡単に討伐するなんて」
長剣を持ったリーダーの少年が青い鉢巻をなびかせてアンカラにそう口を開く。
アンカラよりも装備が充実しているが、それでも一体のモンスターを二人がかりで仕留められるほど。
「我の力ならばこの程度、大したことではない」
白銀の翼のリーダーことベルにそうイキる。
龍人であるアンカラの容姿とそのしぐさにベルが少年心をくすぐられていると、ショートヘアの少女が魔石を抱えてやってくる。
「ベル~魔石の回収、終わったよ~」
「お疲れ、ルシア」
ルシアと呼ばれる少女。
頭から足先まで白を基調とした防具で統一されており、清らかな印象だ。
奥では体格の良いローリアという男の子や眼鏡をかけた知的な雰囲気のオーセムという少女が、後から来た職員が回収しやすくなるようにモンスターの死体を一か所にまとめている。
曰く、四人とも幼馴染で勇者アルトロに憧れて冒険者になったらしい。
「さて、討伐クエストはこれで全部か?」
もう一度依頼書を確認。
「そのようですね、後は薬草の採集くらいです」
「もうじき日が暮れる、さっさと済ませるぞ」




