駆除
庭園の入口にある鉄格子の扉が音を立てて開く。
毒の効かないアンカラ単身で庭園に乗り込む。
ポーチの中にはナメクジの溶液と時間が経って腐った肉があり、右手には大きな網を持っている。
「手間がかかっているな」
色とりどりの花が咲き誇り、庭木は丁寧に整えられている。
メインの噴水は女神を模した彫刻が置かれ、両手で持たれた水瓶からは絶え間なく水が流れ落ちている。
「これは、水の魔石か」
水瓶の奥から発せられる魔力から、噴水の仕組みを考察する。
「ここに仕掛けるか」
湿気を好む蛇の習性から、直感で噴水前に腐肉を置いて距離をとる。
途端に集まりだすヴェノムサーペント。
八匹はいるだろうか?
植物の合間から体をくねらせて腐肉に群がったのを確認すると、網を被せる。
「ちょろいな」
動けなくなったところにナメクジの溶液を網越しに掛けると、ヴェノムサーペント達は途端に苦しみだす。
体は発熱し、シュゥゥゥーと音を立てて白い煙が上がる。
「なかなかえげつないな」
皮膚が溶解して苦しむ八匹の蛇たちの様子に、ちょっぴり罪悪感を覚えるアンカラ。
不意に、後ろから一匹のヴェノムサーペントが忍び寄り、アンカラの尻尾に嚙みつく。
「ふん」
尻尾を叩き、ヴェノムサーペントを叩き潰す。
さすがは邪龍というべきか、鱗でおおわれた尻尾には嚙み跡一つ付いていない。
「さて、次に行くか」
果てたサーペントを大きな袋に入れて腐肉と網を回収すると、場所を変えてひたすらに駆除を行う。
一匹につき三十セレカの駆除代が支給され、そのうえで素材報酬もつく依頼。
溶液を使えば素材報酬は激減するが、そもそも駆け出し相当のモンスター。
元々素材に大した価値はない。
溶液が無くなれば素手で一匹ずつ捕まえて首を折り、淡々と処理する。
ふと、庁舎を見れば領主と望遠鏡越しに目が合った。




