決闘の結末
うん、掴みはばっちりだな。王もフォルクスさんも王子同様に驚いてる。
でもフィーレさん、そのドヤ顔は何だ。アンタ何もしてないだろ!
「何故だ、どうしてその木刀は燃えないっ!」
「何故と言われましても……」
別段燃えないように意識した覚えはないが、強いて言うならまぁそれなりに戦える木刀作れたらいいなーっと思って果物を作るのと同じ感覚で木刀も作ったんだけどな。
神補正で勝手に強化されたんだろう。
だから王子に質問されたらこう答えるしかないよね
「燃えないから燃えないんですけど……」
「答えになってない!ええい、貴様馬鹿にしているな!」
怒りに任せ、王子はぶんぶんと剣を振るってくるが、難なく避ける。
しかし、最初の一撃はよかったなぁ……あれは、ちゃんとした剣の訓練もしていたという事か。
まぁそうでなければ、外に出て魔獣を倒してくるなんて無理だろうな。
「ちっ、貴様疲れを知らないのか?当たらなくとも熱が貴様の体力を奪っているはずだ!」
ほう、王子も闇雲に剣を振るっていたわけじゃあなかったのか。
確かに暑いと疲れやすくなるよなぁ、夏とか基本的にそうだから困る。
ぶっちゃけ全然熱くない。ちょっと温かいなっと思うくらいだ。
んー流石に避け過ぎか、防戦しているようじゃ駄目だな。攻勢に出るか。
俺は軽く力を入れ木刀を振るい、王子の剣にぶつける。
「なっ!?」
ちょっと弾き返せたらいいなーっと思って振るったんだが、王子の驚嘆の声とともに剣は王子の手から離れ、勢いよくドームの膜を突き破り壁に刺さってしまった。
うん、やり過ぎた!!
「何だ!貴様は何なんだ!炎神の加護を持った俺が愚民なぞに!」
「挨拶はしたはずなんですけど、ルーマル家の領主、ラディに拾われた孤児ウルトルです。」
「そういうことを聞いているのではない!」
分かってますよ、王子。分かっているからこそはぐらかしているんじゃないですか。
さて、今ちょっと聞き捨てならない単語が聞こえたな。炎神の加護、ねぇ。
一瞬エンジンの加護かと思ったけどそんなのこの世界にあるとは思えないからこの場合は炎神であっているだろう。
なるほどね、王子が子供にしては異常に強いのと炎を操るのはそのためかー。
炎神って名前だけで攻撃力もブーストしてそうな感じだしな。
「クソ!クソクソクソ!愚民が孰れ王となる俺を馬鹿にしやがって……こうなったら俺の最大の力で貴様を消し炭にしてくれる!!」
いや、だから何で傷つけないことを前提としたこの決定で消し炭とか言っちゃうのかなこの王子!本当にこのドーム、体の修復能力あるのか心配になって来たぞ!?
「この魔法を受け、消し炭にならなかった魔物はいない。光栄に思いながら死ぬといい。愚民が!」
王子が空中に字を綴り始め、書かれた文字が焔を帯びていく。
いやぁ幻想的だなぁこう言うの見れただけでも決闘に応じた意味はあるな。
そういやユッテは氷魔法使えるんだっけ、王子のように字を綴ったら凍った字が見れるのだろうか。やっべ、超見たい。
あ、そんなこと考えていたら準備完了みたいだな。しても悠長だなー王子。
綴ってる間に俺一撃入れてもよかったんだよ?無粋かと思ってやめたからいいけど。
「燃やし尽くせ!"鳳凰の紅焔《フェニックス・ブレイズ》"!!」
おぉ、火の塊がでっかい鳥の形になったなぁ。フェニックスだとか言っていたな。
じゃああれ鳳凰を象った火魔法なのか、へぇ凄いなぁ。こんなのCGで再現するの難しそうだなぁ。
おっといかんいかん、あの鳥こっちを睨んでいるぞ。俺を敵として認識したか。
王子が手を振りおろした瞬間、鳥がこっちに突っ込んできた。
「ウルトル様っ!!」
フィーレさん、何を慌てているんだろうか。いや、慌てもするかぁ。でっかい炎の鳥が6歳の子供に突っ込んでくるんだもん、衝撃的映像だよ。
やられるつもりはないんだけどね?
俺は指をクイッと動かし意識を集中させ、地面に力を注ぎ込む。
ちょっとばかし力入れてもいいよね!あっちも全力なんだからこっちもそれなりに力を入れるよ!
「生えろ。」
俺の声に同調して、地面から数多の植物のツタが生えてくる。
んでもって
「縛り上げろ。」
ツタたちは俺の指示のもと、一斉に炎の鳥にぐるぐると巻き付き始める。
「馬鹿め!そんなツタぐらい、こいつは難なく燃やし尽くす!やれ!」
「KYUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
お前、鳴き声出せたんだなぁ。意志を持った魔法ってこいつ結構すごいの行使したな。やっぱり王子優秀なんだな。
ただまぁツタだから大丈夫とかそんな軽く考えちゃあ駄目だよ。
確かにツタは巻き付いた傍から燃え始めているが、だからどうした?
ならさらに巻き付けばいいじゃない。
自由にさせる暇なんて与えないくらい巻き付いてしまえツタ。
王子はまだ余裕そうな表情だが、これからどうなるのか全く考えていないのだろうか。
「王子、あの鳥って魔力で動いてるんですよね?魔力で炎放出しているんですよね?」
「だったら何だ!」
どうやらその通りみたいだな、安心しましたよ王子。
「じゃああの鳥、いつまで燃えていられるんでしょうかね?」
「何っ!?」
俺の厭らしい言葉に王子はハッとし、鳥を見上げる。
しかし時すでに遅し。いや、気づいても仕方ないよな。俺が力を使った時点で詰みだろう。
ツタから洩れている鳥の炎は次第に衰えていき、鳥自体が小さくなっているのか、ツタの縛っている部分が段々と小さくなっていき、最後には
「KYUAッ」
小さな断末魔の声の後グシャッとまぁ、縛り潰してしまいましたとさ。
「な、な……」
まさか自分のとっておきの魔法がツタという有利な相手に負けたことが信じられないのだろう、王子はへたり込み、鳥がいた場所を未だに見続け、震えた声を漏らす。
んーどうやったらこっちの勝ちになるんだろ。
王子、戦意喪失してそうだけど……まぁちょっと俺の憂さを晴らさせてもらうかね。
「王子。」
「あ、あ……」
王子の目の前に立つと王子の視線がこっちに向く。ちょっと、そんな化物を見る目止めてくださいよ。傷つくなぁ
最後はキチッと終わらせてあげようか。これがフォルクスの言っていたコテンパンの範囲かは知らんけど。
「王子、俺の勝ちという事で、おやすみなさい。出来ればユッテには近づかないでくださいね?」
そう言うと俺は王子の頭に木刀をポンと当て……
ボゴォ!
「え?」
あ、変な音が……あれ?強すぎた……?
王子が白目をむき声も出せず倒れた。
やっちまった。




