# ■第5話タイトル **「未来の僕は、君を殺した」**
# ■第5話タイトル
**「未来の僕は、君を殺した」**
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夜。
夜守 恒一は眠れなかった。
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ベッドに横になっても、ゼロの言葉が頭から離れない。
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> 「あと七回眠れば、お前は“俺”になる」
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そしてもう一つ。
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> 「その少女は、お前が最悪の選択をした未来だ」
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部屋の電気は消えている。
でも暗闇が怖かった。
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枕元には、四枚の白い花びら。
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まるで“カウントダウン”みたいだった。
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## ■ヒロインの訪問
午前二時。
窓が静かに揺れる。
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白い髪の少女が、部屋の中に立っていた。
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制服姿。
少しだけ、現実に近づいた存在。
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「……また来たのか」
夜守が言う。
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少女は小さく頷く。
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「あなたが眠ってないから、不安定」
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その声は弱い。
ノイズ混じり。
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夜守は視線を逸らす。
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「だったら帰れよ」
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少女は少し悲しそうに笑う。
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「ひどい」
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その顔に、胸が痛む。
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## ■初めての“名前”
沈黙のあと。
夜守は小さく呟く。
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「……名前、必要だろ」
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少女が目を見開く。
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「え?」
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「ずっと“お前”じゃ変だ」
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少女は少し考える。
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「未来には、名前がないから」
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夜守は苦笑する。
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「じゃあ俺が決める」
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少女は静かに彼を見る。
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夜守は窓の外を見る。
降り始めた雨。
白い月。
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そして言う。
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「ユメ」
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少女の瞳が揺れる。
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「夢みたいに現れて」
「消えそうだから」
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沈黙。
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ユメは、初めて泣きそうな顔をした。
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「……ありがとう」
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## ■幸せな時間(重要)
少しだけ。
本当に少しだけ。
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普通の時間が流れる。
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夜守が缶ジュースを渡す。
ユメは飲み方がわからない。
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「未来に缶ジュースないのかよ」
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「未来は、あんまり余裕ないから」
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笑う。
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二人で。
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この“普通”が、後で効く。
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## ■異変
突然。
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ユメの動きが止まる。
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瞳が揺れる。
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「……来る」
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部屋の温度が下がる。
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窓ガラスにヒビ。
時計停止。
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そして。
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ゼロが現れる。
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黒いコート。
感情のない目。
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「また会ったな」
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夜守が立ち上がる。
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「お前……!」
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しかしゼロはユメだけを見ていた。
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「まだ消えていなかったか」
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ユメが怯える。
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夜守は気づく。
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彼女はゼロを本気で恐れている。
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## ■真実の開示
ゼロは静かに言う。
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「教えてやる」
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「なぜお前が“俺”になるのか」
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空間が歪む。
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夜守の脳内に映像が流れ込む。
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崩壊した世界。
割れた空。
燃える街。
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その中心で。
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“成長した夜守”が立っている。
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目の前には――
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血だらけのユメ。
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夜守の呼吸が止まる。
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未来の自分が。
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ユメを抱きながら泣いている。
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> 「ごめん……」
> 「ごめんな……」
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そして。
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未来の夜守は、自分の手でユメの首を締める。
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## ■崩壊
「やめろ!!」
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夜守が叫ぶ。
映像が消える。
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呼吸が乱れる。
吐き気。
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「……嘘だ」
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ゼロは無表情。
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「未来は嘘をつかない」
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ユメは震えている。
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「違う……!」
「違う未来もある……!」
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ゼロは初めて怒りを見せる。
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「その“違う未来”を増やした結果が、この世界だ!!」
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空間がひび割れる。
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「夢は可能性を増やす!」
「だが可能性は、やがて世界を食い潰す!」
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## ■主人公の絶望
夜守はユメを見る。
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怖かった。
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未来の自分が。
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ユメを殺す未来が。
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でもそれ以上に。
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ユメが消える未来の方が怖かった。
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## ■恋愛の確定
ユメが小さく言う。
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「……ごめんね」
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「私がいるせいで」
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夜守は震えながら答える。
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「違う」
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「俺は――」
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言葉が詰まる。
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でも、もう気づいていた。
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この少女を失いたくない。
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夢でも未来でも関係ない。
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## ■最後の引き
ゼロが去る直前。
静かに言う。
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「次の眠りで、“第五分岐”が始まる」
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「そこから先は、人間では耐えられない」
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ゼロが消える。
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静寂。
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夜守は崩れるように座り込む。
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ユメは、そんな彼を静かに抱きしめる。
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そして。
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彼女の身体が一瞬だけ透ける。
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消えかけている。
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ユメは小さく笑う。
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「……眠らないと、私は消えるよ?」
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夜守の瞳が揺れる。
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眠れば世界が壊れる。
眠らなければ彼女が消える。
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その選択だけが残っていた。
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# ■次回予告
**第6話「君を救うたび、世界は壊れていく」**




