歌の祭典1
十分後
「あー、俺も緊張してきたかも…」
「だらしがないぞタイリ」
「うるせえよ、兄貴だってこういうの弱いだろうがよ」
「そんなことあるわけないだろう。…タイリ、お前はあまり体力がないんだからきつくなったら私に言え。絶対だ。」
「あー、わかってるよお兄ちゃん」
「タイリさーんはこくさーん、本番行きますよー大丈夫ですかー?」
彩音の声にすべてを持っていかれる。この祭典は彩音の一番の願い、そしてタイリやハコクたちの願い。
「みなさーん!始まりました歌の祭典!!みんなこの日をどれだけ楽しみにしていたことでしょう」
司会をしているのはみんなおなじみテンション高い作曲家、エルフの女性でラップの腕は世界一のKEIさんと
「そうですねぇ、皆さん本当に楽しみにしていたみたいですねぇ。熱気がここまで伝わってきますよぉ」
ほんわか草食系男子、でも中身はかなりのドSで噂されている人間作曲家の男性ANZUさん
「相変わらず素敵よねぇANZUさんは」
「いやいやKEIちゃんも負けてないぜぇ」
観覧席では人々がKEIさんANZUさんに歓声を送っている。
「では、まいりましょうか!トップバッターはこの人たち!!」
「白銀の世界から王子様たちがやってきた」
「その名もー…」
「snowfox!!」
歓声とともに壇上に出てきたのは白い衣装に身を包んだ人たち。雪のように白いスーツに狐の尻尾を模したファーのロングコート。
「メインボーカルの石威白亜。よろしく」
石威白亜と名乗ったその人は、白狐国の王子で白い紙にシルバーの瞳をした好青年…に見られがちだが実際はとても我儘でいかにも温室育ちのお坊ちゃまである。
「ベースを担当いたしますアンティーク・ギャラガーです」
彼は白狐国国王の石威幽かの執事で、国の多くの人からの信頼がとても厚い。
「月山雪。ドラムでーっす」
陽気な笑顔を見せる彼は白狐国の王室付き庭師でとても悪戯好きである。
「スモーク・リフキンドギター担当してます。彼女募集中です☆」
きらきら笑顔がまぶしい彼は白狐国の騎士でいろんな人にやさしく特に女性に対しては甘いそうだ。
「今日は初披露ですが、緊張は一切してません。一曲目行きます。」
彼らは優雅にバンドを演奏する。それはさながら雪の中に咲く一輪の薔薇のようで。多くの人たちが彼らのバンドに魅了されていった。
曲は全部で三曲流れた。女性たちは誰もがうっとりだ。三曲目が終わったその瞬間…激しい爆音とともに次の組が壇上に上がってきた。
「き、きましたー!」
「きましたねぇ。彼らはKEIちゃんが一押しのメンバーでしたよね?」
「あたりまえですよー!彼らのラップはすごいんですから」
「では、紹介をお願いします」
「黒狼国からやってきた!ゴシックルックが魅力的な彼らはその名も!」
「darknesswolf’s」
紹介の後にはこれまた大きな歓声が沸き起こる。




